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人材サービスと未来の労働環境への投資【日経STOCKリーグレポート紹介③】|専修大学渡邊ゼミ

こんにちは!
専修大学商学部の渡邊隆彦ゼミ(以下、渡邊ゼミ)広報部です!

今回も私たち渡邊ゼミの活動の一つである日経STOCKリーグで作成したレポートをご紹介していきます!

日経STOCKリーグとは、中学生、高校生、大学生を対象にした金融・経済の学習コンテストです。

仮想のお金(500万円)を使って、ポートフォリオを組んで、実際の株を売買するシミュレーションを行いレポートを作成することで、株式投資や経済の仕組みを学びます。

↓↓日経STOCKリーグについてはこちらの記事もご覧ください!↓↓

今回はチーム③のレポートをご覧ください!



・投資テーマ「人材サービスと未来の労働環境」

表紙(一部)

・第1章 投資テーマの選定

・第1節 2025年問題による労働市場の現状

日本では長年、少子高齢化が大きな問題として取り上げられてきました。75歳以上の後期高齢者の人口は、1950年には約100万人でしたが、2025年には約2200万人まで大幅に増加すると予想されています。このような「超高齢社会」の影響により、生産年齢人口の減少による労働力不足、特に医療や介護分野での人手不足が深刻化しています。高齢者の増加に伴い、医療や介護サービスの需要が高まる中、医師や介護職の人手不足はさらに厳しくなっています。

このような労働力不足を改善するためには、企業と求職者を結びつける役割を担う人材サービス事業を行う企業が必要であると考え、そのような企業を選定の対象としました。

・第2節 自分たちの考える人材サービスの理想

人材サービス業界を考える上で、私たちは1つの目標を設定しました。それは、「労働者一人一人のスキルアップ支援と最適な労働環境の提供を通じて、働くことへの意欲や充実度を向上させ、少子高齢化による労働力不足の解消を実現すること」です。

近年、大手求人広告企業のサイトに闇バイトの情報が掲載されたり、執拗な連絡を受けたりするなどの問題が発生しています。これらの問題により、企業と求職者の間に情報量の差が生まれ、求職者側が不利な立場に置かれることがあります。このような情報の非対称性を解消し、企業と求職者の対等な関係を築くことで、私たちの考える理想的な人材サービス業界を目指すことができると考えました。

・第3節 人材サービス業界における求人広告

一口に人材サービスと言っても、さまざまな事業があります。人材業界は、企業に求職者を紹介する「人材紹介」、自社に登録している従業員を企業に派遣する「人材派遣」、企業の求人情報を自社メディアに掲載する「求人広告」、企業の人事戦略など人材分野における専門的なアドバイスを行う「人事コンサルティング」の主に4つに分けられます。

その中でも、私たちが目にする機会が最も多い求人広告の企業にスポットを当てることにしました。以上のような観点から、人材サービスを行う企業、特に求人広告を行う企業をスクリーニングの対象としました。その中でも、私たちは求人広告の企業に注目することにしました。消費者である私たちが最も多く目にする求人広告こそ、2025年問題による労働力不足に直接的な効果があると考えたからです。また、近年では闇バイトなど、求職者が情報不足によって不利益を被る事件も多く発生しています。求人広告の企業を調べることで、このような問題を解決し、労働力不足の解消に繋がると考えました。

以上の観点から、求人広告事業を行う企業をスクリーニングの対象としました。

・第2章 ポートフォリオ構築

・第1スクリーニング

第1スクリーニングでは、人材サービスの事業である「人材紹介」「人材派遣」「人材コンサルティング」「求人広告」の中から「求人広告」を事業とする企業を選定するため、総合企業情報データベースの「eol」を使用し、「求人広告」のワードでキーワード検索を試み、67社を通過させました。求人広告のみを選定した理由として、事業が身近に感じられ、最も目にする機会が多いことが挙げられます。人材サービスの事業は、比較的他の業界よりも社会人向けのサービスがほとんどです。そのため、学生である私たちが目にする機会はほとんどありません。しかし、求人広告であれば、新聞、テレビ、ポスター、インターネットなど、多岐にわたる媒体があり、求人募集や就職活動の中での求人広告アプリなどを目にする機会が多いため、私たちが求める労働環境の理想にどう影響を与えていくかがより鮮明に想像できると感じたからです。eolのキーワード検索で通過した企業の中には、求人広告を運営している企業のほかに、求人広告を使用するのみの企業や、求人広告を主な事業としていない企業も見られました。

・第2スクリーニング

第2スクリーニングでは、eolの業種細分類にて「求人情報・人材紹介サービス」に該当する企業の事業内容を目視で確認し、29社を通過させました。事業内容の通過基準としては、求人広告サイトを運営している企業を通過させました。求人広告サイトの運営をしている企業を選定した理由は、私たちが考える人材サービスの理想に近づけていくために必要不可欠であると考えたからです。幅広い層へのアプローチが可能となることにより、少子高齢化が進む現代、そして今後の労働人口不足に貢献できると考えました。目視での確認では、検索エンジンの提供や企業と運営元との仲介を行う企業が多数見られましたが、今回は求人広告サイトの運営元のみを通過させました。

・第3スクリーニング

第3スクリーニングでは、定性分析を行いました。定性分析では、数値には表れにくい働き方や労働の持続可能性の視点から項目を考案しました。この理由は、労働環境の改善は、自社の利益だけを考えている企業には実現できないためです。求人広告事業は、労働者と企業をつなぐ存在であるからこそ、手本として理想の労働環境を実現しなければならないと考えています。そのため、長期的な視点を意識した分析指標となっています。

上記の図は、項目別に点数を付けて表にまとめたものです。
合計得点が0~20のものは赤色、21~30のものは黄色、31以上のものは青色で表示されています。
合計得点が21以上の19社を第3スクリーニング通過としました。

・第4スクリーニング

第4スクリーニングでは、企業の収益性や成長性などの分析を行いました。株価純資産倍率(PBR)、自己資本利益率(ROE)、インタレストカバレッジ・レシオ、流動比率を指標として分析しました。

流動比率については、流動資産と流動負債のバランスを示す指標です。短期的に支払いが必要な流動負債と、短期的に現金化できる流動資産のバランスを見ることで、短期的な事業の安全性を判断するために採用しました。通過基準としては、130%以上としました。人材サービスは業種別に分類が難しく、サービス業といった大きな分類でのデータしかないため、今回は流動比率のボーダーラインとして、安全圏ともいえる130%を設定しました。

PBRは、企業の資産内容や財務状態をもとに株価の状態を判断する指標です。今回は、株価の妥当性を判断する目的で使用しました。PBRの算出に用いられる純資産額は、当期純利益のように短期間で大きく変動しにくい傾向があります。したがって、企業の安定性を把握する上で役立つほか、期間ごとの比較がしやすいと考え採用しました。PBRについては、1以上を通過基準としました。

自己資本利益率(ROE)は、株価と純資産の関係を表す指標です。経営の効率性・収益性を示すことから、ROEの上昇は自己資本を効率よく活用できていることを意味します。投資家にとっては、少ない自己資本で大きな利益を出せる企業は投資対象として魅力的だと考え、この指標を採用しました。ROEについては、8%以上を通過基準としました。

インタレストカバレッジ・レシオは、会社の債務返済能力を測る指標であり、主に金融機関が安全性分析として用います。支払利息や社債利息などの金融費用に対する事業利益の比率を示すことで、借入金の元本ではなく、「利益を支払うための十分な利益を獲得できているのか」をチェックするために採用しました。インタレストカバレッジ・レシオについては、1以上を通過基準としました。

その結果、第4スクリーニングを通過した企業は10社でした。

※上記図は、定量分析を表にあらわしたものです。
通過基準に満たない数値に色を付けています。

・投資比率の決定

スクリーニングにより選定した10社の最適な投資比率を決定するために、ポートフォリオの効率的フロンティアを作成しました。しかし、今回のポートフォリオのテーマは「人材サービスと未来の労働環境」であり、最終的には求人広告を通じて持続可能な労働環境を作ることを目指しています。また、効率的フロンティアを用いた場合、保有比率が0の銘柄が存在することが分かりました。そのため、企業の最低投資比率を設定することにしました。

この最低投資比率を用いて効率的フロンティアを作成した結果、期待リターン1.1、リスク20.47となる配分が得られました。

以上を「次世代求人広告サステナブルファンド」として、ポートフォリオを構成しました。

・第3章 ポートフォリオ分析

・第1節 銘柄紹介

以下が「次世代求人広告サステナブルファンド」の内訳となります。

  • パーソルホールディングス株式会社(2181)
    投資比率:16.14%、金額:807,500円

  • 株式会社学情(2301)
    投資比率:5%、金額:250,000円

  • 株式会社キャリアデザインセンター(2410)
    投資比率:5%、金額:250,000円

  • エムスリー株式会社(2413)
    投資比率:6.46%、金額:323,000円

  • エン・ジャパン株式会社(4849)
    投資比率:6.47%、金額:323,000円

  • 株式会社スポーツフィールド(7080)
    投資比率:5%、金額:250,000円

  • 株式会社フォーラムエンジニアリング(7088)
    投資比率:24.79%、金額:1,240,000円

  • KIYOラーニング株式会社(7353)
    投資比率:6.49%、金額:324,500円

  • 株式会社広済堂ホールディングス(7868)
    投資比率:13.8%、金額:690,000円

  • スローガン株式会社(9253)
    投資比率:10.81%、金額:541,000円

・第2節 保有銘柄

上記は、今回ポートフォリオに組み込まれた銘柄の平均リターンです。1%に満たないものも多く残ってしまいました。しかし、政府の職業安定法改正により、「募集情報等提供」の定義が拡大されました。この影響で、改正前には募集情報等提供事業者として扱われていなかった事業者の扱いが変わり、適切な届出と法律に基づいた運営が義務化されました。これにより、業務として届け出を行っていなかった業者が違法となり、今まで業務として法に則り求人広告を打ち出していた企業は、有利な状況となります。そのため、今後業績が伸びていくことが期待できます。

・第4章 終わりに

最終レポートを作成するにあたり、投資先銘柄を決定するまでの多くの段階を経て、多くの知識を得て学びの幅が広がり、投資スキルの向上に繋がる経験ができたと感じています。

単なる「会社調べ」ではなく、普段見ることのない経営の内部状況を記した資料に目を通して、数字的な面から分析すること、ホームページから細かな事業内容や経営方針、福利厚生を調査することは、膨大な情報量を目にすることとなり苦労しましたが、こうした丁寧な調査方法こそが投資家と企業間の信頼関係を深め、適切な投資に繋がると感じました。また、ただ投資先企業を決定するために分析するのではなく、各社が私たちが設定したテーマにおいてどのような役割を果たしているのか、またその企業に投資することで今後の日本の社会がどうなってほしいのか、日経ストックリーグの活動を通して、学生ながらも日本の将来性を重視し、考えるきっかけとなりました。

投資という分野は今はまだ関わりが少ない分野ですが、活動を通して分析方法や、どんな指標を算出するのか、どんな視点で企業を見るのかなど、多くのことを学びました。得た知識や重要だと感じたことを学んだままにするのではなく、実践することを目標として、来年度の日経ストックリーグの活動に活かしていきたいと考えています。

日経ストックリーグの活動で得た様々な視点から企業を捉えるというスキルは、就職活動でも大いに発揮できると感じました。就職活動ではまず、業界やその企業を知るということが重要だと考えています。就職活動で必要となる企業分析の能力を向上させるため、来年度の日経ストックリーグにも力を入れて取り組みたいと思います。

今まで触れることのなかった分野に積極的に参加することは、自分の成長とスキルアップに繋がり、将来活かせることを得ることができると思います。今後も初めての分野に常に積極的な姿勢で挑戦することを心がけていきたいと考えています。


今回のチーム③のレポートの紹介は以上となります!
最後までご覧いただきありがとうございました!

次回の投稿もお楽しみに!!

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