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イバン族の夢占い  01/05

イバン族のシャーマンの解く、語り継がれる夢の意味の片鱗。 


 昨日、夜寝ている時に、右側から何かが近寄ってきた。その何かの冷たい感触が、背筋を凍らせた。そして、身動きの取れない私の膝のあたりで止まると、2本の牙が皮膚を突き抜けている感触が伝わった。痛みは、ほとんどなかったが、膝のあたりを見てみると、蛇だった。「しまった。蛇に噛まれてしまった」と慌てていると、目が覚めた。蛇も、蛇の牙の感触も、全て夢で、金縛りにあったのだと気付き、ほっとした瞬間、又、深い眠りの世界へ入っていった。翌朝、この話を友人にしたら、大笑いされた。蛇に噛まれる夢は、誰かから結婚を申し込まれる暗示だそうだ。しかし、女性がこの夢を見たらの場合に限るそうだ。この友人に、もし男だったら、どういう意味か聞いてみたが、残念ながら、分からなかった。夢占いというのは、フロイトを始めとする心理学の一要素でもあるが、一方で、ボルネオ島に住む先住民族の中では、伝統的に、夢のお告げというのは、非常に意味があるもので、シャーマンは、その夢判断も一つの技量である。



イバン族のロングハウスでの出来事。ロングハウスは、川沿いに建てられているのが慣わしだが、そのロングハウスから見て、川の対岸に1本の大きなフタバガキの木があった。5年に一度の割合で、花を咲かせ、実をつけると、その樹冠の部分が、赤く染まる。何故、赤く見えるかというと、その実は、羽子板の羽根の様にになっていて、その羽根の部分が赤く、いざ実をつけると、これは、樹冠を覆いつくさんばかりに、実をならす。これが、樹冠を赤くみせるのだ。その川の川岸には、この木が沢山あるのだが、村の人が言うには、この木々は、30年程前に村人で植えたものだそうだ。ちょうど、その頃、鉄砲水が相次いで、川岸の木々を悉く薙倒したので、表土流出を防ぐ為に、このフタバガキの木を植えたそうだ。その5年に一度の実をならした時に、たまたま、ボートでその村へ行く機会に恵まれると、その赤い樹冠のアーチ状のトンネルをくぐる時、その実がその赤い羽根をクルクルまわしながら、ゆっくりと水面へ落ちていく様は、非常に神秘的だ。


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