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アンパンチと正義と育児の話
とあるSNSにて、
「アンパンマンは何故暴力を振るうの?と、子供に尋ねられたら、なんと答えたら良いでしょうか?」
という話題がでていたので、自分なりに考えて見ました。
そもそも作者(やなせたかし先生)はどう考えているか
まず、アンパンマンとは何なのか考える必要があります。
では、やなせたかし先生に聞いてみよう。
やなせ たかし(本名:柳瀬 嵩、〈読みは同じ〉1919年〈大正8年〉2月6日 - 2013年〈平成25年〉10月13日)
もう聞けない.....どうしよう!
あっ先生見つかりました!!!
Twitterにいらっしゃいました!!
先生ご教授お願いします!!
ぼくのポリシーというのは、いつも「正義について」というふうに考えています。(今はバイオレンスのものが多い。人の心の奥底には悪を喜ぶ気持ちも潜んでいるから、作者はつい暴力的なものに頼りたくなるのだろう。プロなら、そうした手法を使わずに、おもしろいものをつくらなければいけない)
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) June 20, 2014
どうやら先生の定義では、アンパンチは暴力では無いようです。
先生の正義を深堀ります。
僕は今年で91歳ですから先の戦争に兵隊として参加していて。「これは正義の戦いだ」と言って送り出されたんですが、敗戦を迎えると一転、今度はぼくらが悪者になってしまったんですね。
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) March 3, 2020
忠君愛異国の思想で育てられ、天皇は神で、日本の戦争は聖戦で、正義の戦いと言われればその通りと思っていた。正義のために戦うのだから生命を捨てるのも仕方がないと思った。しかし、正義のための戦いなんてどこにもないのだ。正義は或る日突然逆転する。正義は信じがたい。
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) March 3, 2020
“正義”というものが、何なのかわからなくなってしまうんですよね、戦争ではそれを痛感しました。
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) February 27, 2020
悪人を倒すことよりも、弱い人を助ける。僕が望む正義は、それほど難しいことではないのです。(いろんな兵器が次々出て一種の「戦争賛美」のように思え、子供達の潜在意識に悪い影響が残らないか気になる。その疑問から、正義を行う新しいヒーローを描きたいと思った)
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) February 27, 2020
ウルトラマンにしても、スーパーマンにしても、怪獣や悪者をやっつけて正義ということになっています。私はそれに納得できなかったのです。怪獣や悪者にも理屈があるはずです。
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) February 28, 2020
正義のための闘いなんて、どこにもないのだ。
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) March 1, 2020
ケンカに勝った方が正義だから、どちらが本当に正しいのかは判断できない。そこで、揺るぎのない正義があるならどんなもんだろうと考えたら『飢えている人を助ける』ことなんじゃないかと思い至ったんです。
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) February 13, 2020
アンパンマンは、自分の顔をちぎって人に食べさせる。本人も傷つくんだけど、それによって人を助ける。そういう捨て身、献身の心なくしては正義は行えない。
— やなせたかし先生 ☆響くメッセージ☆ (@ksdetr88) February 6, 2020
先生、めちゃくちゃイイことおっしゃっている!!
戦争を経験し、正義とは何かを考え抜き、アンパンマンで表現し、伝えた。
そんな感じがしますね。
個人的「やなせたかし先生の考えのまとめ」
僭越ながら、簡単にまとめますと、やなせ先生はアンパンマンを通じて
・正義とは何かを考えること
・正義を掲げた戦いなどないこと
・戦うということは、双方に理屈がある
ただ、それは正義ではないということ
・正義とは弱いものを助けること
・正義とは自己犠牲を伴うこと
を伝えたいと解釈しました。
「アンパンチは暴力ではないのか」(個人的見解)
少し調べたところによると、アンパンマンはバイキンマンを直接殴ったことがないようです。
つまり、バイキンマンが操作する、バイキンメカを殴っている。
ここから想起したイメージですが、
「攻撃的してくる他者自身を攻撃しているのではなく、その他者が纏っている誤った手段や理論武装を攻撃している」
、そんな気がしました。
そして、当のバイキンマン自体は、少し怪我をすることもありますが、ほぼ無傷で、「ばいばいき〜ん、覚えてろよ〜」と言えるほど元気です。
また、バイキンマン自身も、生身で軽い悪さをすることもありますが、基本的にはバイキンメカで弱い者を苦しめます。
これも、「本来的には、人は人を苦しめないが、誤った理屈などによって、攻撃する」と見ることができます。
最後に、アンパンマンがパンチを繰り出すタイミングですが、常に専守防衛です。
すなわち、「守り」と解釈できます。
上記の理由を元に、アンパンチは暴力か否か。
私個人としては、暴力ではないと判断します。
ではどのようにして子供に伝えるのか
基本的には、上記の解釈を伝えるでよいと思います。
しかしながら、このメッセージはかなり深く、子供に伝えるのは難しい。
故にこう思います。
「それぞれ親自身が、やなせ先生の考えに触れた上で、正義について深く思考し、如何にして子供に伝えるか、を考える。
そして、子供に伝え、子供と共に少しずつ考えていく。」
アンパンマンとは、幼児向けの番組に見えて、
「その解釈をどのようにして、こどもに伝えるか」を親に問い、親子の成長を期待した作品なのかもしれません。
読んでくださり、ありがとうございました。
なお、何か気づきや感じたことがございましたら、気軽にコメントを頂ければと思います。
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