2017年日本山岳耐久レース長谷川恒男CUP
日本山岳耐久レース長谷川恒夫CUP完走できました。
目標だった11時間台には程遠いのですが、初出場、試走なし、昼間は暑く、夜は霧雨というコンディションでは無事にゴールできて良かったと思います。
【はじめに】
ランランニングを始めて2年10ヶ月、ハセツネは出ることはないだろう、完走なんて絶対無理だ、超人しかできないだろうと思っていました。
今年の5月下旬に山の中で足を捻り、靭帯損傷してしまい、6〜8月の3ヶ月は回復とリハビリで全く走りませんでした。
それでもゴールできたので、やってできないことはないなと少しだけ自信になりました。
レース翌日は膝や腰も痛く無く、びっくりする程の筋肉痛も無く、程々な痛みです。
レース中、心拍は上がり続けて息苦しくなることも無かったなぁと少しだけ寂しさがあります。
やってよかったことは、レース前におにぎりを食べたこと、レースで飲む水分以外をレース前にたっぷり飲んだこと。
やればよかったことは、やることを腕に書き出しておくこと。
そうすれば内臓がやられても胃薬を飲み忘れることはなかったと思います。
それからレース装備で8時間以上の行動。
ウエストライトの揺れや、それによる内臓へのダメージの蓄積について対策がとれたのではと感じました。
【準備】
レース経験者から昼間は暑く、夜は寒い、
去年は水切れでリタイア者が多かったと聞いていました。
そこで汗でベトベトしない、汗冷えし辛い
ウエアリングにしようと考えました。
ウエアはMONTURA ACTIVITY T-SHIRT、
RUN FAST SHORTS、
PRO-RACE SLEEVE 、
ヘッドバンド。
ソックスはDRXMAX。
シューズはMONTURA BEEP BEEPとsalomonのsence rideと迷いましたが、履き慣れている後者にしました。
BEEP BEEPはグリップも良く、ソールは硬めなので、下りでの安定性は抜群です。
ハセツネのような後半下り基調なコースでは疲れた足でも安定した足さばきができるのではと思います。
ヘッドライトはSUPRABEAM V3、
ハンドライトは閃、
ウエストライトはultraspireのルーメン600。
暗くなってきてからは霧も出て、ウエストライトをメインに使用し、テクニカルな箇所のみハンドライトを点け、ヘッドライトはほとんど使いませんでした。
ザックはoxsitisの7LとsalomonのXR SENCIBELT。
水はトータル2.5L。
ソフトフラスク500ml2本、ウエストへ500mlのボトル、ザック内に500mlのペットボトル2本。
ジェルを17個、ベスパを4個、MAGMAを4本、ハニースティンガーグミ1袋、炎熱サプリ1袋、m&mのチョコ1袋、おにぎり5個、レインウェア上下、ウインドブレーカー、finetrackのベースレイヤーのタンクトップと長袖、ファーストエイドキット。
補給は1時間毎にジェル1個、炎熱サプリ1個、
2時間毎におにぎり1個、
4時間毎にベスパ1個、MAGMA1個。
MONTURAのウエアのおかげで昼間の暑さでの汗のベトベトは無し、休憩は10分以内と決めていたので汗冷えはありませんでした。
アームカバーで体温調節できて良かったです。
買い忘れのない様に、パッキングは前々日に済ませました。
【レースについて】
では、長々とレースを振り返ります。
レース当日。
朝5時、娘の夜泣きで起床。
寝ようとしたが寝られず、起きて伸縮性のあるテーピングを肩、腰、膝、ふくらはぎ、足首、足裏に貼りました。
朝食を摂り、8時半に自家用車で出発。
10時過ぎに駐車場到着。
運転中に持ってきた水筒500mlを飲みきってしまい、ヤバい暑さだなと思い、いなげやでポカリ1.5L買います。
10時半頃会場入りし、MONTURAのブースで挨拶、談笑、準備しました。
12時頃、嫁の握ったおにぎりを2個、ジェル1個を食べて、MAGMA1個、ポカリを500ml飲み、スタート地点へ並びに行きます。
偶然にもランニング仲間に会えたのでお互いの健闘を祈り、開会式、エアロビにて準備運動。
いよいよ、13時スタート。
アップしなかったので、ゆっくりスタートでちょうどいいペース。
スタートから500m程の場所でソフトフラスクが3本ほど落ちていたり、ジェルもいくつか落ちていました。
2kmほど行った道が狭くなる所で大渋滞。
2~30分待ちました。
変電所では人がバラけてきました。
子供の写真が落ちているのが切なかったです。
今熊神社入り口も渋滞無し。
トレイルに入るとシングルトラックでずっと人が繋がっているので、前の人のペースで走ったり歩いたりの繰り返し。
遅い人が前にいると変にブレーキをかけるので余計に筋力を消費しました。
市道山、醍醐丸、生藤山は素通りして浅間峠までの22kmを4時間22分。水の消費は500mlぐらい。
水分摂取量が少なすぎて少し焦り、こまめに給水します。
思ったより汗も出ず、喉の渇きもなく、第一関門までは周りに人が居てペースはゆっくりでした。
浅間峠は建物に付けられたLEDが光り人も多く、応援の声が凄く多くて感動し、早くもウルウルきてしまいましたが、ゴールまで涙はとっておこうと我慢し、トイレのみ済ませました。
座り込んで休む人、寝てしまっている人が50人以上いてびっくり。
あと50km残っているのに大丈夫かなと心配しつつ、先に進みました。
浅間峠を出てすぐ、人が一気にいなくなったのでサブ12目指してかなりペースを上げましたが、無理をし過ぎたので下りで急に右太ももがつりました。
残り50kmあるのにもう足がつって大丈夫か、引き返せばすぐそこに浅間峠だからリタイアするかと、すでにリタイアがよぎりました。
しかし、制限時間残り19時間以上あり、体力は全然あるし、水もたっぷり残っているのでゆっくり行けば回復するだろうと先を急ぎます。
気持ちの良い走れるトレイルでしたが、少しだけ焦っていたようで、今度は両ふくらはぎがつりました。
ジェルを食べ、落ち着いてストレッチをし、疲労が溜まる前に定期的にストレッチをします。
辺りが暗くなり、ヘッドライトを使います。
霧がすぐに出てきたのでヘッドライトを消してウエストライトを点灯します。
ハンドライトを手に持ち、凸凹のある場所や木の根が出ているところ、前に人がいなくてコースを探す時にハンドライトを使いました。
スタートから7時間以上経過した午後8時ごろになると、周りに人がいなくて1人で真っ暗な山道を進むことが多くなりました。
狭い道。
粘土質の泥が前日の雨で滑りやすくなっており、斜面で足を滑らせた跡が多数ありました。
こんな時にMONTURA BEEP BEEPだったら滑りづらいのかなと思います。
時折、木の陰に人が寝転んでいたり、座り込んでいる人にびっくりしながら西原峠へ。
32km地点の西原峠で初めて腰を下ろして5分ほどゆっくり休みました。
隣りに座っていた方と話しをすると水が残り500mlも無く、給水所まで10km、三頭山を越えなくてはいけないのでリタイアするか迷っていると言っていました。
自分の水は残り1.2Lほど。重いので捨てようかと思うぐらいの量です。
その方は携帯でコースとコース断面図と睨めっこをし、係員にリタイアを宣言、その後回収車のある方向の闇の中へ消えていきました。
三頭山への登りはキツかったのですが、記録は諦めて完走を目指すことに切り替えたので、休み休み進みます。
途中の急登には座り込む人、うつむく人、嗚咽する人が多数。
避難小屋を過ぎて係員の方が、
「三頭山山頂まで残り700mです!頑張ってください!」
と言っていたのですが、ボロボロの自分は山頂まで15分かかりました。
距離700mを進むのに15分。
凄い急登で想像以上に過酷でした。
36km地点。ようやく半分。
三頭山山頂で腰を下ろし、携帯電話で子供の声を聞こうとしましたが電波が入らないので、写真を眺めて完走を誓ったことを思い出してヤル気を出します。
気持ちとは裏腹に、足はつったままで下りで踏ん張れません。
ダラダラと歩きと走りを繰り返し、第二関門の月夜見山駐車場の応援をもらえれば力が湧いてくるんじゃないかと希望を抱きます。
月夜見手前のロード。
練習では嫌いなロードも、山の登り下りを繰り返している中では天国の様でした。
第一関門では応援が凄かったので、第二関門はどんな元気な応援なのかと期待して月夜見へ。
9時間1分で42km地点の第二関門通過。
応援は数名でしたが、声をかけてくれることが嬉しくて力が湧いてきます。
月夜見駐車場では水500ml、ポカリを1Lもらい、ブルーシートに座ります。
大きなブルーシートが4枚敷かれていて、何十人も横たわっていました。
足が限界にきていたのでここでは10分ほど休みました。
ヘッドライト、ハンドライト、ウエストライトの電池交換。
おにぎり、ハニースティンガー、MAGMA、ベスパ、ウイダーinゼリーを投入。
だいぶ胃腸の調子が悪く、吐き気もありましたがお腹が空いていたので食べました。
「お腹が空くのは消化している証拠。まだ食べられる。次はお腹が空いたら食べよう。」
今回、胃薬を持っていっていたことを完璧に忘れていたことを後悔しています。
残り30km。
忍野トレイルロングぐらいの距離。
身体はかなりの疲労。
リタイアしようか迷いましたが、制限時間もあるし、歩けるから行けるところまで行こうと決めました。
「まだ限界じゃない。」
月夜見の簡易トイレの臭いで強烈な吐き気に襲われましたが、なんとか用を足しました。
あれを片付けるスタッフの方を尊敬します。
月夜見を後にして進みますが、この頃から走ると内臓が痛くなって走れない、ふくらはぎがつりそうな状態、しかも霧雨と雨の中間ぐらいで体が冷えそうでした。
ふと何かを感じ、手を何度か叩き音を出します。
動物の気配を感じました。
その時はこんなにランナーが走っているのにまさか熊なんているわけないだろうと思っていました。
優勝した上田瑠偉君は大岳山で熊に遭遇したそうですが、もしかしたら自分が気配を感じた動物も熊だったかもしれません。
残る大きな山は御前山、大岳山。
大丈夫、行けると自分に言い聞かせます。
夜景は見えない、真っ暗、周りには誰もいない、走れない。
うずくまる選手、リタイアするのか逆走する選手。
「こんなはずじゃなかった…」と泣いてるような声で話す女子選手と、話しを聞く男子選手。
自分自身も「もうセンスないからトレランやめた方がいいんじゃないか」と思ってしまう程ネガティヴ要素は多かったのですが、トボトボと歩いて御前山通過。
そこから少し復活したので大ダワまでの下りを10人ぐらいの集団で走りました。
つづら折りで何度も何度も折り返し、まだかと思いましたが、周りの選手について行こうと頑張りました。
49km地点大ダワ到着。
下りで頑張りすぎて足にきてしまい、歩けないところまできました。
ここではリタイア者が多数おり、「リタイアします」の声を何人も聞きました。
ここで初めて横になって休みます。
しかし、硬い地面に横たわっても一向に回復する気配がありません。
水もポカリも少しだけ飲みます。たくさん飲んだら吐いてしまいそうな状態でした。
残り22km。
ここまできたらゴールするしかないと、リタイアは全く考えませんでした。
ゆっくり休んだので平坦な道では少しだけ走ることができました。
途中、MONTURAのBEEP BEEPを履いている方と話しをしましたが、グリップもクッション性もあり、初心者やロングレースではありがたいとお話しされていたのが印象的です。
そして大岳山の登り。
岩場を四つん這いになって登り、鎖を掴んだりしながら登ります。
スタート前にteton brosのウエアの話しをした方に会い、お互いを励まし合ったので少し気分が紛れました。
身体は第二関門以降、水もポカリもおにぎりもジェルも受け付けにくくなっていましたが、53km地点大岳山到着。
元気をもらおうと家族に電話しようにも電波が届かず、携帯の写真で元気をもらいます。
後は下るだけ。
地図では悪路と表示されている道を下ります。
ほぼ記憶のないまま58km地点第三関門御岳山を14時間21分に通過。
時刻は午前3時半近く。眠気は全く無く、集中力もあるのが不思議でした。
下り基調だったのでここでは休まなかったと思います。
少しだけ民家の中を通過し、誘導係員の人に応援されて力が戻ります。
早くゴールしたい。
それだけを考えていました。
日の出山の登りは、ここにきてキツく、もう何人に抜かれてもいい、ゴールだけしたいという思いだけでした。
60km地点日の出山到着。
まだ暗い中だったので、夜景を楽しみました。夜間走で景色が見えたのはここだけです。
たぶん午前4時前後だったと思います。
不思議と眠気は無く、
「早く帰ってベッドで寝たい、温かい味噌汁が飲みたい!松屋に行く!」
と、ゴール後のことを考えてヤル気を出します。
休んでも回復しないことが分かっていたので、1分ほどの滞在時間で再スタート。
残り11km。歩いても2時間でゴールできる。
すぐの下りの木段は一段一段の段差が低すぎて歩き辛い。
一段飛ばしで行こうにも、雨で濡れた木段で滑りそうなのでゆっくり行きます。
そしてこれからが走れて楽しいらしい、金比羅尾根。
この辺りに来ると道端でしゃがんでいる人はおらず、みんな走っています。
途中、補給食のベスパの臭いがしましたが、きっとラストスパートで投入して吐いてしまったものと思われます。
たまに走りますが、多少のアップダウンと、まだあるのかと思うぐらいの登返し。
日の出山の誘導員は、
「後は下るだけですよ。」
と言っていましたが、登ってますよ!と心の中でつっこみました。
結局走り出しても足がつりそうか、内臓が痛いかのどちらかで金比羅尾根はほぼ歩きました。
抜きつ抜かれつを繰り返していた女性ランナーに、
「お先にどうぞ」
と道を譲りましたが、
「どうせ抜かれるので大丈夫です」
と言われつつ、すぐに見えなくなった時は男として情けなくなりました(笑)
だんだん夜明けが近づくに連れて空が明るくなってきました。
暗い空からオレンジ色の空。
太陽は希望を与えてくれました。
日の出が先か、ゴールが先か。
競走することにしました。
相変わらず早歩きのスピードで走ってる風な自分。
遠くで聞こえる車の音。
ゴールまでもう少し。
ひらけた場所に椅子があり、薄っすらオレンジがかった街並みが見渡せました。
思わず「うわー最高だな」とつぶやき、この時間になってしまったことも良かったなと思えるようになりました。
ついにトレイルが終わり、舗装路の下り。
係員に会い、応援を受けてなんとか走ります。
住宅街に入り、ゴールの瞬間のポーズを考えますが、ガッツポーズでいいかと決めます。
きっとゴールは人がいっぱい待っていてくれるんだろうなと期待して…
大会ゴールの中学校の裏側が見え、身体の痛みを押し殺し、ギアを上げます!
ついにゴールの直線へ入りました!
観客の皆さんが手を振ってくれてます!
疲れと夢にまで見たレースが終わってしまうことの寂しさで無心でゴール。
ゴールのガッツポーズは忘れてました。
71.5km。
16時間46分40秒。
2332人中724位。
完走率74.2%。
リタイア者602人。
自分の誕生日が7月24日なので、この順位にも納得します。
天候やレース中の体調はとても辛かったのですが、ハセツネに出て良かったです。
【終わりに】
MONTURAは何点か所有しているので、使い勝手の良さ、ストレスフリーな着心地は分かっていました。
今回、MONTURAウエアのおかげでレースを完走できました。
昼間の暑さでかいた汗のベタつきは無く、夜間の霧雨に濡れてもベタつきや冷えはありませんでした。
予備で持っていたドライレイヤーは着ず、ウインドブレーカーは座って休憩する時だけ着ました。
それだけウエアの着心地が良かったです。
また、RUN FAST SHORTSの後ろにあるポケットにはウインドブレーカーを丸めて入れられ、走っていても揺れを感じませんでした(極薄のウインドブレーカーに限ると思います)。
デザインは派手ですが、どんなデザインのウエアにも合わせやすいですし、短パンは派手な方がお洒落感は出ると思います。
着るだけでヤル気になる、テンションが上がる、自分にとってMONTURAはそんなウエアです。
シューズのBEEP BEEPは履きこむ時間が無く今回は履けませんでしたが、練習で履いた感じではクッション性が良く、グリップが効くので下りが怖いと感じる初心者〜中級者に履いて欲しいですし、上級者の方にも100マイルレースなど、足に疲労が溜まる距離のコースには使えると思います。
また、洗った際の水はけの良さにびっくりしました。
雨の中のシチュエーションでの水はけは試し履きでは分からない大事なポイントです。
次のレースは伊豆トレイルジャーニー。
12月で寒さもあるかと思うので、今回と同じMONTURAウエアにMONTURAのベストで走る予定です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。