反芸術は近代で古い
「アクション云々」は、工藤ではなく、篠原有司男じゃなかったかな。確か誤記だと、赤瀬川がどこかに書いていたか、工藤氏本人が「赤瀬川が間違えているんだよ」と、私が学生時に言ったか。
それはともかく、反芸術は近代でいい加減古いと私は思うが。
私は工藤氏逝去後、古本屋や図書館で雑誌のバックナンバーを漁るなどし、工藤の生前の発言をできるだけ網羅しようと試みたが、その中で印象的だったのが、「ルネッサンスみたいな健康的なのはダメだ」という発言内容の箇所。比較的若い時期。そして、これは晩年だが工藤氏が私に手渡したIBMの季刊誌『無限大』掲載のシンポジウムの席で、「自分はフランスでは病気の神様と呼ばれている」と。司会の芳賀徹氏が、「病気を治す神様じゃなくて、神様自身が病気なのね」と。工藤氏確か「そうそう」と。
ここで、工藤氏が「ルネッサンスみたいなの」と言ったときに、そこに私としてはレオナルドが入っているのかどうか?というのが問題。つまり、私は最近、ルネッサンスの例外者としてのレオナルド・ダ・ヴィンチ、という言い方を何度もしている。例えば他の同時期の芸術家に比べ、レオナルドは無名であった。それと、最近の彦坂尚嘉氏の「レオナルド・ダ・ヴィンチに犯罪性を感じる」という発言。最新の氏のニコニコ動画で。
レオナルド作品を、「何だろう?と思った時に、犯罪性という言葉だった」と、彦坂氏の表現。私は、この点がとても興味深いですね。
[追記]
それから、工藤哲巳氏でもう一つ思い浮かんだこと。確か針生一郎との『みずゑ』誌上での対談で、70年代前半の、工藤は「産むのは産む、兵隊は兵隊、いっそ蟻みたいになっちゃったら良いんですよ」と、「いつかなるでしょう」と、反戦とは全く反対のことを言っていたこと。
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