交易へ

精神医学の話題でよく私が思い出すのが、精神科医・内海健氏(東京芸大保健センター)が語った「フッサールは自閉症スペクトラム」という話。10年代後半の東大でのシンポジウムで。私が個人的に懇親会の場でそう判断する理由は?と聞いたところ、内海氏「いやほら、フッサールは金勘定が細かい」と。

そうではない例として、ラカンとピカソの関係の話を内海氏は挙げていた。ピカソが自作をラカン宅に頼んで置いていたりと。これは実は、ハイエクが『致命的な思い上がり』で語るような「交易」方向の関係ではないか。

政治信条で、「保護主義」と「経済自由主義」に巷でもよく対立するのを目にするが、これにも対応する図式では。コロナ禍においても、「統制主義」と「経済自由主義」とにきっぱりと論者は別れた。曰く「鎖国」か「開国」かという旧来からある議論も同様に。

また、私の学生時代には今思えば前者の「自閉」方向の芽は私の周囲にも多数あったと思い当たる。酒を飲んでいて、「タバコ1本ちょうだい」と言って、あげると(当時)10円渡さないと私がいいよと言っても落ち着かない奴。「これで貸し借りゼロだからね」が口癖な奴。

また何につけても蘊蓄が細かい。これは一体美点だろうか?(笑)。反対に、私が「消しゴムかして」と言うと、「消しゴムかすと減るんだよ」とか言う奴も。そんなこと分かっているわと(笑)。こういう傾向の人々が20代の私の周りには今思えば異常に多かった。

今の知識による、これは私自身の記憶の再構成・再編成ですね。

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