整理整理整理

「令和」に年号が変わってからの、この数年の私の印象は、この間「前時代」を全体的に整理しているなという感触。もうそろそろいいんじゃないか、という気が。私は個人的には。

小山田圭吾氏のオリンピック関連の今回の騒動にまつわる、’90年代前半以来の「鬼畜系」回顧も、その一つですね。

竹熊健太郎《地球人》@kentaro666·8時間
小山田圭吾がいじめ告白をした90年代前半の「クイック・ジャパン」で私も仕事をしていた。小山田インタビューを担当した編集者も知っている。あの当時もそれなりに衝撃的な記事だったが、炎上することはなかった。ネットが未発達だったこともある。

竹熊健太郎《地球人》@kentaro666·8時間
返信先: @kentaro666さん
90年代は95年の前と後では全然ムードが違う。私の記憶では、90年代前半に流行った「悪趣味」「鬼畜系」ブームの中で、その変種として受容されたのではないかと感じている。鬼畜系の出版をよく出していたのがデータハウスと太田出版で、太田出版からは「完全自殺マニュアル」がベストセラーになった。
https://twitter.com/kentaro666/status/1416513354588319744

私自身は、「鬼畜系」にはまったクイック・ジャパン等のポジティブな読者ではないが、同時代を生きているので、確かに視界には諸々入っていた。私が大学・大学院学生時は’80年代後半だが、私の身の回りの親しい同級生は、皆(回顧的に古本で?)『ガロ』を読んでいました。根本敬や蛭子能収、平口広美などを。こういうのは、’90年代前半以後の「鬼畜系」の前身と言えるのではないだろうか。私は読んでいないが、同級生の会田誠の部屋で手に取ってパラパラ見る程度で。これにはまっていた同級生とは、詳しく記せば会田誠・小沢剛・羽柴秀美、等。彼らは、私が主宰・編集する同人誌『白黒』に書き手として集まってきていた人々。

同人誌『白黒』については以下を参照。

『白黒』における小沢剛《地蔵建立》
https://www.waseda.jp/flas/glas/assets/uploads/2019/04/KANENAGA-Takako_0853-0871.pdf

会田誠は大学院時に、私の研究室の部屋に(空間が空いているので)、例の『犬』の絵画シリーズの(おそらく最初のものを)持ってきて描いていたし、これもアートの分野の、’90年代前半以後の「鬼畜」の分類には入るのではないだろうか。のちに近年私がツイッターで紹介した、会田誠の実際に行った「トイレ覗き」を題材とした短歌は、当時私が編集していた同人誌『白黒』に掲載されたもので、これを私がツイッターで自ら問題化したのは、編集の立場の責任と贖罪の意識がある。ゼロ年代半ば以後だったと思うが、キュレーターになった同学部同学科の下級生で、熱烈な『白黒』の読者だったという東谷隆司が私に、「あなたが彼らにやらせていたんだろう?」と私に直截に問うたが、そうだとは、私は言わなかったと思いますね。しかし、彼らが私の下に集まっていたことを、私自身が面白がっていたことは否定はできない。良い問いだと思う。卒業後(正確には我々がともに大学院修了後)、’90年代初頭、彼ら(具体的には会田・小沢)がこのグループでアーティストとして活動を始めないのか?と、確か二度確認するように言ってきたが、私は否定した。違うと思ったのですね。しかし、’90年代前半のアート分野における「鬼畜」要素を『白黒』がその一画であっても準備したという側面は、確かにあると私も思う。


[追記] 『白黒』に関する資料は、小沢剛氏に問い合わせれば、色々と持っているはずです。集まりの様子なども、当時小沢氏が(歴史の記録だと明確に称し)撮影班のような役割を、自ら率先してやっていたので。


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