幽霊画のつまらなさ
笹山直規君がやっている「幽霊画」って、何が面白いのか?私にはさっぱり分からない(本音)。
その系統が、よく見ると日本には異様に多いことに気づく。
大体「幽霊」を人前でわざわざ怖がってみせる表現の人って、一体何なんだろうね?
日本の「現代アート」界隈にも多そうだが。総じて、人格が成熟していないというのは、一つには言えそうだが。
「虚仮威し」を互いにし合ってじゃれ合う、子供心が長じても全体に巣くっている。
笹山君と初めて話したのは、随分前だが、初めて会ったときはわざとらしいゴシックの格好をしていた。SNSでは、ネットで集めた死体写真を元に、それを描き写すことで自ら「芸術」と称していたが、日常的にそういう写真を多量に見ているので、かなり夢が酷いと言っていた。脂汗が出るというような表現。
最近はそれを多少ポップ化することで、延命を図っているようだが、どちらにしろ私から見ると「凡庸」に見える。
自宅外にある郊外のアトリエに、私が電車で通っていたのはゼロ年代だが(最近はロードバイクでの往復)、その頃から見聞きする主に若者の言動・行動に、変化を感じたことから、それを私は美術家として観察対象としていた。
人身事故が増えている印象があった。電車がストップする。連れあっている若者の一部を中心に「ギラギラ」したものが生じる。男子学生二人連れが、時間を空けて動き出した窓外を嬉々とした表情で眺めるが、ホームに横たえられた事故当事者の遺体の前をゆっくりと通り過ぎる刹那、おそらく両者ともに表情が蒼白に変化している。次の下車駅までは言葉が少ない。先ほどのギラギラは完全消失。下車する直前に、互いに別れに交わす言葉は、「今日寝れないだろうな」「夢に見て、脂汗をかくだろうな」の類の一言。
この言動・行動の(よくある)パターンには、「反復強迫」的なものがおそらくある。
去年の秋、航空自衛隊・小牧基地でF-35戦闘機のテスト飛行(ちなみにパイロットは自衛隊員ではなくボーイング社のパイロットか、在日米軍の兵士だと言われている)を500mmの望遠で連続的に撮影に行っているときに、私に話しかけてきた人がいた。所謂女言葉で話す男性。何度目かに会って話したときに、「こんなことを言うと、あなたに嫌われるかもしれないが」と言い私に差し出したのは、金の印章が入り、毛筆で所属団体名と、理事という肩書きと氏名が書かれた名刺。ここ地元を本部とし、全国に支部がある右翼団体の跡取りだと言う。幼少期に京都の芸者の置屋に預けられて育ったという話、高校生の時に、右翼団体を継ぐのが嫌で、同級生女子と家出をし熱海の旅館で1ヶ月住み込みでアルバイトをしたという話、同じく女子と京都に家出をし、到着直後に待ち構えていた警察に補導され連れもどされたという話、父親は古い軍国主義的な右翼で、自分は中曽根康弘の新自由主義を信奉する新右翼であり父親とは対立しているという話、親類縁者・家族には、自衛官・三菱重工社員・警察関係者等がいるという話などは特に面白かったが、この人が「私は幽霊を見る」と言う。自宅の居室にしょっちゅう現れるので、共存していると。次回、会ったときに私に取り出して見せた、小さな額縁に入った自らが見て描いたというその対象の絵を。これは、本物の「幽霊画」であった。絵の傍には「女神様」と書かれていた。この人曰く、ここ航空自衛隊小牧基地の傍にはかつて山がありそれを切り崩して飛行場に造成をしたと。その山は部落であり、私が見るのはそこに住んでいた女性ではないかと思っていると。自分は源氏の末裔だとも言っていた。おそらくそうなのだろう。皇族系統であると。(「血が濃い」ということを意味しているのか)片方の足が若干悪いということも、私に言っていた。「うちらはヤクザはこわくないです」と。指で数えて、「やくざ、暴力団(この2者は違うものだと)、総会屋、右翼団体、的屋、これらは社会の屑です」と私に表現していた。これらで、ある意味一番悪いのが、右翼団体ではないかと。私は幽霊は見ませんよと言うと、「あなたには寄ってこないんだ。」と言っていた。私のことを「あなたは何も怖くないだろう。」と言っていた。「名刺はお守りがわりに持っておいて」と。芸術に関心を示していた。住所・電話番号を交換し、私が気兼ねなく書くと、それを「額に入れて飾っておく」と・・。