泳ぎきったマーメイド
こんばんは。noteではかなりご無沙汰しております。
「鉄は熱いうちに打て」と言いますよね。
そんなわけで、かわむこと川村文乃さんの卒業コンサート、「ANGERME 10th ANNIVERSARY TOUR 2024 AUTUMN ”ROOTS”★KIRA KIRA★」参戦してきました。終わって約24時間、思ったこと、考えたこと、感じたことを一気に書き綴ろうと思い立った次第です。
11月28日朝、私は羽田空港に降り立ちました。本当はここから武道館に向かい、グッズを買おうと思いましたが、どうしてもお昼から別件の用事があり、戻れないという最悪の状況だけは避けたかったので、空港のラウンジで休憩し、用事を済ませ、ホテルに一旦余計な荷物を置いてから武道館に向かいました。
武道館はかえでぃー(加賀楓さん=当時モーニング娘。’22)の卒コン以来、およそ2年ぶり。アンジュルムの武道館は、あやちょ(和田彩花さん)の卒コン以来、実に約5年ぶりです。
初めて武道館のファミリー席という場所から見るステージ、わりと見やすいなあと思っていたら、オープニングでロージークロニクルが登場しました。オリジナルではなく、カントリーガールズの「VIVA!!薔薇色の人生」は意外でしたが、きっと卒業するかわむ(ニックネームの最後の「ー」を省くのは私の癖です。りなぷとかうえむとかも同様なのでご容赦を)へのはなむけだったのかもしれません。
そしていよいよ本編。「愛のため今日まで進化してきた人間 愛のためすべて退化してきた人間」「アイノケダモノ」「次々続々」の3曲はこれまでの秋ツアー「ROOTS」と一緒でしたが、「次々続々」の2番の”コドモだねぇ”を私の最推しであるもいもい(下井谷幸穂さん=公式ニックネームは「ゆっぴょん」だけど、もう一人の推しであるケロ<川名凛さん>だけはなぜか「もいもい」と呼んでいるので、私はケロに倣ってもいもいと呼ぶようにしています)が受け持っているのが嬉しいし、その後のラップ部分の”ほんとの気持ちはいつだってひとつしかない”を、ぺい(平山遊季さん)がこれまで受け持ったメンバーと違った表現をしているのが、かっこいいなと思います。このフレーズに強烈な感情を込めていて、本当に数秒のこととはいえ、ここに堕ちた女性ファンはかなりいらっしゃるはずです。
4曲目は「愛されルート A or B」が「赤いイヤホン」に代わってセトリに入りました。この曲はなんたって、りかこ(佐々木莉佳子さん=2024年6月卒業)とかわむのダンスから始まるのですが、今回は当然かわむだけになりました。そして次回からこの曲は誰がここを受け持つのか、興味津々です。
「愛さえあればなんにもいらない」新曲の「初恋、花冷え」「Uraha=Lover」「愛・魔性」と続き、一瞬静まった会場に流れた短いイントロ、久しぶりの「カクゴして!」。れら(伊勢鈴蘭さん)の歌い出しで会場がドッと沸きました。ここも最後の”カクゴして”をぺいがビシッときめるんですよね。要所要所で存在感を発揮している彼女は、実は加入してまだ3年経っていません。
そして10曲目、これまでの秋ツアーでは一切セトリに入っていなかったスマイレージの曲がついに登場します。しかも初期メンバー(いわゆる4スマ)時代の「◯◯がんばらなくてもええねんで!!」ときたもんだから、スマイレージがハロヲタの「ROOTS」である私は大歓喜です。実は前の「カクゴして!」の時に、スタッフさんがメンバー全員分のマイクスタンドを用意していたのが見えたから、もしかしてもしかすると…という期待はありました。
ここでメンバーが一旦衣装チェンジのために捌けます。その間に流れた映像は、秋ツアーと同じく、アンジュルムの10周年を祝う「キラキラパーティー」でした。
衣装を変えたメンバーが再び登場して最初の曲は、「明晩、ギャラクシー劇場で」。まさにアンジュルムのキラキラした劇場が開幕したという空気が武道館を包んだ後は、再びスマイレージ曲である「有頂天LOVE」を、かわむ、かみこ(上国料萌衣さん)、りんりん(橋迫鈴さん)、しおんぬ(為永幸音さん)の4人でパフォーマンス。令和に蘇る「4スマ」だ!と、一人でニヤニヤしながら(キモいですね)見ていました。ここからしばらく、かわむと一部のメンバーで歌う曲が続きます。かわむ本人はスマイレージが好きだから、きっと今回はセトリにスマ曲が入ると思ってはいたけど、やはり個人的にとても嬉しいです。
次は「泳げないMermaid」。こちらはわりと最近のアンジュルム曲です。はなな(後藤花さん)の落ちサビ前のフェイク、すごかったです。ここ数ヶ月での彼女の成長、想像以上で驚いています。そこにあの底抜けの明るさがあるし、私は密かにアンジュルムの天才だと思っています。
スマ曲、アンジュルム曲ときて、次は再びスマ曲かなと思ったら、これまた懐かしい「シューティングスター」。この曲はいつ以来だろう、ひょっとしてめいめい(田村芽実さん)の卒コン以来ではと思ったけど、違ったらすみません。かわむもこの曲が出た当時は、まだ小学生。地元の高知で歌ったこともあったかもしれませんね。
やはりスマ曲とアンジュルム曲が交互に登場ということで、次は「SHAKA SHAKA #2 LOVE」。こちらは「SHAKA SHAKA TO LOVE」の別バージョンですが、ライブでの披露は珍しいです。
「エイティーン エモーション」はかわむ、かみこ、れら、ぺい、もいもい、はななの6人でのパフォーマンス。もちろん「6スマ」時代を思い出したのは言うまでもありません。
そしてやってくるんです、アンジュルムの卒コンの中締めとなる「交差点」。逆に言えばメンバーの卒コンでしか披露されない曲です。この曲はアレンジが聴く人を泣かせるようになっているんです。そういう構造のズルい曲なんですが、今回の最大の「事件」は、わかにゃ(松本わかなさん)が出だして泣いて歌えなかったことでしょう。どの先輩が卒業しても、しっかり歌ってきたわかにゃが…ほんとにまさかの展開でしたが、あれで泣いたという人がかなり多かったですし、実は私も涙が溢れてしまいました。
そして実は次の「君だけじゃないさ…friends」までが、泣かせるセットだったのではと思います。かわむがアンジュルムに加入してすぐの曲でもあるから、本人も思い入れが強いはずです。歌いながらいろんなことを思い出していたかもしれませんね。
りんりんがMCで「しんみりしてたらもったいないですよ」と言っていたように、後半は新曲の「悠々閑々 gonna be alright!!」から始まり、アンジュルムの一丁目一番地的な「大器晩成」、そして「上手く言えない」「いとしといとしと Say My Heart」「愛すべきべき Human Life」「臥薪嘗胆」と、新旧折り混ぜてたたみかけてくるのが、アンジュルムの真骨頂です。いつもアンジュルムのライブを見ていて思うのは、前半もだいぶ飛ばしているのに、後半もガンガンくるんですよね。しかも特に卒コンの場合は、途中でみんなかなりの涙を流しているのに。だけどそこに惹かれてみんな見ているのだと思います。もちろんそれだけではない魅力的要因も、見る人それぞれにあるはずです。
本編はあっという間に終わり、再びメンバーが捌けると、武道館がライトパープル(メンバーカラー)一色に染まり、あやのコールが起こります。卒業するメンバーの晴れ舞台、どのようなドレスを着て登場するか、コールの大きさが期待の大きさでもあります。
一人で登場したかわむ。メンバーカラーを基調とした衣装は、裾になんと魚の模様(?)をあしらっていて、きれいでもあり不思議でもあり、なによりキラキラしていました。そしてファンへのメッセージは手紙ではなく、その場での自らの言葉でした。5年前のあやちょがそうだったから、それなら私もと思ったかはわかりませんが、1万人の客席に向けて、しっかり伝わったことでしょう。
そして卒コン恒例のソロ曲になるわけですが、なんと「夢見た15年」でした。それこそあやちょの卒コン以来、ある意味で「封印」されていたこの曲は、あやちょの卒業に向けて、同じ初期メンバーだったまろ(福田花音さん)が作詞しました。ハロプロエッグ(今の研修生)時代から苦楽を共にした盟友だからこそ書けた歌詞は、境遇は違えど、同じく15年という歳月をアイドルという仕事に費やしてきたかわむに、あまりにもきれいに、いやキラキラと受け継がれたのです。
他のメンバーも登場し、次はどんな曲かと期待していたら、なんと卒コンでは絶対最後を飾る「友よ」、しかもふなちゃん(船木結さん)の卒コンと同じ(一部がピアノアレンジになっている)バージョンだったのです。アンジュルムに一緒に加入したふなちゃんへの想いが、このチョイスに込められていたのでしょう。
ここでメンバー一人一人が小さなメモを取り出し、かわむへのメッセージを読んでいくのですが、やはりいちばん感動したのはりんりんでした。アンジュルムに加入した時期としては2年ほど違い、先輩後輩という立場になったものの、元々は研修生の同期。だから最後ぐらいは「川村さん」ではなく「文乃ちゃん」と呼んでほしいと願っていました。そのひそかな期待通り(?)に、りんりんはまさに同期としてメッセージを伝えたんだなと思いました。
さて、最後は「友よ」ではないとなると、どの曲で締めくくるのかと思っていたら、スマ曲で確実に盛り上がる「スキちゃん」!やはり間奏で「◯◯がスキちゃん」とコールするのが楽しいです。
そして最後の最後、この卒コンを締めくくるのは「46億年LOVE」。アンジュルムとは何か、川村文乃とは何か。
「結局はLOVEでしょ!」
そうなんです。これだけ愛というものをテーマとしてこだわるアイドルグループは他にいないと思います。「諦めるよりこだわり抜く」を座右の銘にしているかわむは、自身の活動はもちろん、メンバーやファンに注いできた大きな愛も、全てこの言葉にリンクしてきたアイドルだったのです。
マグロ解体師の資格を取ったり、ハロウィンで「そこまでやるか」と周りを驚かせるようなコスプレ(?)をしたり、全国をツアーで回る際はちょっとしたパンフレットのようなものを作ったり…決められたトラックフィールドを駆け抜けたというより、広い海の中で円転滑脱に泳いできたアイドル人生。それが川村文乃というアイドルの美学と信念だったと思います。
全ての曲が終わり、最後はマイクなしでステージから感謝の言葉を伝え、スモークと花火に包まれてステージから消えてしまうという、本当に最後の最後まで本当におもしろいアイドルでした。
今まで本当にありがとう。意思が強い人だから、芸能界引退を宣言した以上は、もう戻ってくることはないでしょうけど、これからの人生が幸せな日々であることを願っております。
そして、りかことかわむという、将棋で言えば「飛車角」を失ったこれからのアンジュルムがどのような景色を我々に見せてくれるのか、ぜひ期待したいものです。