母へのカミングアウトとその後。
お久しぶりです。本年も宜しくお願い致します。
さっそくですが、2020年の年の瀬に母に同性パートナーがいることを伝えました。すごく突然だったので記憶に残っているのは断片的にですが、当日必死に残したメモを基にnoteに書き残しておこうと思います。
1.経緯
パートナーは僕の昔の留学先アメリカに住んでいて、12月に会いに行く予定でした。危険なのはわかっていたけれど、ただ会いたかった。コロナによって僕の帰国も急だったし、帰国した日は彼の誕生日の前日。外務省の渡航レベルは瞬く間に上がり、大学からも帰国の指示が出て、何もできないまま悔しさを胸にして日本に帰りました。
”長く一緒に過ごせる時期が大学卒業前の”今”という事、自己隔離できる時間はあるし、お金もアルバイトで貯めたので会いに行けるなら実現させたい”、”不安だけれど不可能なことではない”、そんな想いがありました。今考えれば甘くて浅い考えですが、その当時それは叶うと信じていました。
母に、「自己隔離もするし、”友達”に会いたい。急に帰国することになって十分にお別れもできなかったんだ。」と伝えたものの、答えはNO。『コロナが終わればいつだって会いに行ける。今は”友達”に会いに行く時期ではないでしょう?』そんなやりとりが1ヶ月くらい続き、私はひどく落ち込み疲弊していました。
同時に、「僕とパートナーは”友達”ではないと伝えたい。」という想いも増していきました。そして、母に打ち明けたのです。
2.最初の反応
大事な話があると母に話し、彼は友達ではなくパートナーだと伝えました。こんな事突然伝えてしまってごめん。と謝罪をそえて。
最初の反応は『パ、パートナー...?』と明らかに困惑している様子。付け加えて『ごめん、ちょっと意味があんまりわからないんだけど...』と。
間をおいて、『〇〇(パートナー)もそういう人(ゲイ)なの?』と聞かれ、「うん。」と答えました。
沈黙が続き、固まった空気の中で母の出した答えは再度NO。当然ですが。
その時伝えられたのは、
『あなたの人生だから誰と付き合っていようが別に構わないよ。ただ、あなたが付き合っている人が男性女性に関わらず今渡航するのはやめてほしい。危ないから。』
そして、『そもそも〇〇は本当に信用できる人なの?大切にしてくれてるの?あなたに今の状況で”アメリカにおいでよ”なんていうような人が?』ということ。
なんとなくこの言葉たちを聞いたら自分が受容されている感覚を覚えたのか「渡航しなくてもいいや。」と気持ちが落ち着きました。一旦母との話し合いを終え、パートナーと電話をしました。
3.公園でのパートナーとの電話
家では気まずかったので、電話をするために近所の公園に行きました。
彼にカミングアウトをしたことを伝えると「You are so brave and strong!(勇気があって、強いね!)」と言葉をくれました。
将来的に私の母に嫌われたくないし、危ないからという理由をお互いに話し合い、渡航を止める決断をしました。
4.帰宅して母に言われたこと。
公園から帰宅すると母は台所で料理をしていました。
何かのタイミングで私の横に座り、涙ぐみながら『どんな事があってもあなたはあなただから。謝ることじゃない。何があっても変わらない。』
付け加えて『(世の中には同性と付き合う人だけでなく)皇室の人だって色んな人に反対されても自分の信じた人を選んだり、マッチングアプリで結婚相手を探す人もいる。お母さんにはその全てが正しくて誰もが祝福されるような関係性とは思えないけど、そういう選択をした人もいる。最近思うの、私はいつまでも生きていないから自分の道は自分で選んでと。』そう言うと母は台所に戻り料理を続けました。
5.その後
ほんとにカミングアウトしたんだろうかというのが正直な気持ちです。あれ以降、あまり進展はなく落ち着いています。
ただ、親に伝えたとしてもジェンダー平等やLGBTQ+に対しての考え方は急速に変わる事はないのだなぁと思いました。たまに女性は、男性はという二元的な主語で話しますし、同性婚の存在もあまり知らないのか、私が結婚せず子どもも迎えないと思っているみたいです。そこら辺はまた時が来たら地道に伝えていけばいいかなと。まずはここまで進めたことを誇りに思いたいです。