My sexuality was never a problem in San Francisco.
人の視線に息が詰まる。無表情に潜む先入観、偏見、思い込みも含めてピリッとした空気が僕らの周りに渦巻くだろうか。もし日本で同性の恋人と手を繋いでいたら。
大好きな恋人が出来たら、Instagramにデートの様子を載せるんだ。クリスマスには洒落たディナーに行って、店員さんにツーショットを取ってもらう。それで「お似合いですね!」なんて言われちゃったりしてさ。いい雰囲気になったら手をつないで、腕を組んで歩きたい。周りからどんなに鬱陶しいと思われてもいいから街中でハグでもさせてよ。
日本に暮らすゲイの僕がこんな望みを叶えるのは簡単な事じゃない。僕くらいの年齢の学生は大体みんなやってるのに、ズルい。「恋愛なんて人に気にせず好きなようにやりなよ、誰も気にしないよ。」という言葉は、強い力や権利を持つ人の言葉で、何かと気にしいな僕には相応しくない言葉。
そんな気持ちをズルズルと抱えながらも、新しい世界を見れば何か変わるだろうかと考えながらアメリカに留学をした。そして運よく大好きな恋人が現れた。時々日本で感じていた息が詰まるような感覚は何だったんだろう。この国、そして彼のそばにいるとそんな感覚もどこかへ吹き飛んでしまいそうだ。
恋人とのバレンタインデーの旅行と称してアメリカはカリフォルニア州サンフランシスコに来た。といっても2人きりのデートというわけではなく恋人の友人たち10人ほども一緒。今では僕と恋人共通の友達。一回遊べば友達、オープンマインドで行こうぜ、それがアメリカ流。
一日目はSan Franciscoで行われていたEDMのコンサートに行った、というかメインイベントはこれ。
ライブでは異性カップルも同性カップルも思い思いに恋人に寄り添ってリズムにのってダンスをしたり、ライブ中に気持ちよくなってハグしたりキスしたり。僕も恋人に抱きしめられながらメロウなビートに乗っていた。人生で一番気持ち良くて、暖かくて幸せなライブだった。
コンサート終了後の写真撮影で恋人とのツーショットを撮ってもらった。最初は肩を組んだ写真を取っていたけれど、"Kiss on his cheek!"と友達がありがたいヤジを飛ばしてくれたので、彼の頬にキスしている写真を撮った。彼も僕の頬にキスをした。
2日目はSFを散策。世界で最もLGBTQsフレンドリーな地区、Castroを訪れた。まず大きなレインボーフラッグが出迎えてくれる。ゲイバー等のナイトライフだけじゃなくて、昼間も観光地として活気がある場所。
レインボーな横断歩道もある。
この旅行中、街で手をつなぐ同性カップルに明るく”Happy Valentine!!!"と声をかける通行人に出会った。手を繋いで堂々と歩ける。人目を気にしなくていいし、好きな人に好きなだけ愛情を伝えていい。カミングアウトもしなくていい。友達に紹介する時は”He is my boyfriend ”のワンセンテンスでうまくいく。変な沈黙も気まずさも起きない。すんなり認めてくれる。これがアメリカ、特にサンフランシスコにおける当たり前なのかと衝撃を受けた。
州や街にもよるけれど、一般的に西海岸側はSFほどリベラルではないけれど同じような雰囲気がある気がする。
僕が暮らしているアメリカ西海岸側は遠い昔メキシコの領土だった過去があり、人種問わず移民が多い。特にカリフォルニア州にはアジア系も多くてなんだか安心する。政治的にみてもBlue Stateつまり、リベラル層がマジョリティを占める。そんな理由もあって暮らしやすいのかも。逆にテキサス州等のRed Stateはかなり保守層が多いのでまた雰囲気が違うかもしれない。
あとは、同性婚という法律の保障はやっぱり大きいのかなと考えている。もしも自分が何かしらのヘイトクライムや差別にあったとしても、法律という絶対的な指標を通して自分に起きた差別を跳ね返すことができるだろうし。婚姻という部分だけではなく、社会的にかなりメリットは大きいと思った。
最近、自分が正直でいられる事にすごく心地がいい。僕の日本人の友人に恋人を紹介したけれど、「素敵な恋人だね」と言われて何か認められた気がしてすごく幸せだった。僕の好きな人達に堂々と恋人の事を好きだと言えるのが本当に嬉しかった。
いつか日本でもこういう色々な性の形、愛の形がある事が当たり前になるように。僕にも何かができる事があるはずだ。