偏愛たべもの
半透明で弾力のある食べ物が好きだ。例えば、春雨、ビーフン。春雨は煮てもサラダでも、ビーフンは煮ても炒めてもいい。この両雄はどんな料理法でも弾力がへこたれないところが偉い。フォーもいい。生春巻きは、ライスペーパーの中の具がほんのり透ける感じと歯ごたえが完璧だ。エスニック料理周辺は、私にとってのパラダイスゾーンかもしれない。和の食べものなら、煮凝り、くずきり。ところてんは、関東は酢醤油で食べるが、関西はくずきりのように黒蜜で食べる。どちらも甲乙つけがたい。洋物なら、ゼリー。フランス風に呼ぶならジュレ。テリーヌ。ごちそうではあるけれど、もう少し歯ごたえが欲しいところではある。中華なら、なんといってもくらげの冷製。フカヒレ。弾力性にやや難はあるものの、ピータンも悪くない。そうそう、点心を忘れてはならぬ。蒸し餃子の、あのあえかな透け感。金魚や動物に見立てた形も愛おしい。さて、食材そのものが半透明で弾力のあるもの、といえば、まずは海藻。とさかのり、みる、めかぶ、きくらげ、わかめもまあ半透明と言えば言える。煮物もいいがサラダに入れれば、こりこりとした歯ごたえがたまらない。こんにゃく。しらたき。このあたりは満点でしょ?と言われそうだが、原料である芋のもっそり感をほのかに感じさせるのがやや惜しい(え?!私だけ?)。しかし、半透明弾力のとっておきを挙げるなら、お菓子・デザート部門に集中してしまう。グミ。いちど食べ始めたらなかなかやめられない。グミにもいろいろあって、私の理想形はハリボー。砂糖がまぶされず、ゴム感が強いもの。ひと粒ずつなんてまだるっこしい、3~4粒をほおばって、ぐにぐにする感覚をひたすら楽しむ。それからタピオカ。ココナッツミルクに入っているのも好きだけど、やはりタピオカミルクティー。ストローを吸いこむと、弾力のある大粒が口の中にぱふっと飛び込むふしぎ。寒天。正直、弾力はもう少し欲しいけれど、あのつるりとしたやさしい風情は特別だ。寒天が関わると、和菓子は一気につやめく宝石のように変貌を遂げる。ああ、そしてナタデココ。一大ブームが去った後も、私のオールウェイズベストワン。いったい、何の植物をどう加工すれば、こんな触感が生まれるのか。蜜につかったナタデココをざるにあけてさっと水洗いし、ヨーグルトに投入する。スプーンですくい、口に含むとつるんとした中に、ほんのわずかなぎしっ、とした感触。思い切って噛めば、どこまでも抵抗したのちに、くんっと弾けるように噛み切れる。フルーツ缶との相性も抜群だ。考えてみると、週のうち最低でも4~5回はこれらの半透明弾力食品を口にしていると思う。繰り返し言う。私は半透明で弾力のある食べ物が好きだ。できればいっそもう、半透明で弾力のある人になってみたい。透き通っているが歯ごたえがある。それでいてのどごしがいい。そういう人に、私もなりたい。