他者の幸せ
あなたの夢は何ですか?
就職活動の際に何度も聞かれた質問だった。その度に私の本当の夢とは何なのだろうと、考え続けてきたけれど、これをしたい!あれをしたい!ならいくつかあるが、『どうせ叶わないよなぁ』と諦めてるものが、多いように感じる。私のように夢を諦めてきた若者は、年々増加してる印象を受ける。こういった年代を"さとり世代"と、形容されているのではないだろうか。
ゆとり世代からさとり世代、そして脱・さとり
さとり世代とは、1980年半ば以降に生まれた世代で、9つの特徴を持つと言われている。
1. 欲がないのではなく、熱がない
2. 休日は引きこもりがち
3. 大切なのは過程ではなく、結果
4. 恋愛に振り回されない
5. 目立つことが苦手
6. 生まれた時からインターネットが身近
7. 必要最低限のものがあればいい
8. 面倒事は嫌
9. できることしかしない
何個も当てはまるという人も少なくないのではなかろうか。私も何個も当てはまり、自分はやはりさとり世代なのか、と考えてしまった。これからますます少子高齢化が進む中で、活躍すべき世代が、このままで良いのだろうか。
このグラフは、パートナーエージェントが、20〜29歳、40〜49歳の男女1960人に対して実施したアンケート結果である。自分がさとり世代と実感している人の割合が、全体の半数近くまで及んでいる。一方で、自分がさとり世代と言われることによく思ってない割合が、4割いるというのもなかなか興味深い。
近年、脱・さとり世代の動きがあると言われている。若者の中で志を持つ割合が徐々に増えてきているという。ゆとり世代や、さとり世代と言われ、社会の中で嫌な思いをしてきた人も少なくない。その中で、自分の志を持ち、そのために行動を起こしている若者が増加しているのだ。志を成し遂げたい理由として、将来的な安定のため、お金を稼ぐため、などと、具体的なメリットをモチベーションとする人が、年々増加傾向にあるそうだ。例えば、自分は将来起業したい。でもそのためにはスキルも資金も必要になってくる。そのために、自分はこのようなライフプランで、いついつまでにこれくらいの資金を集められるようにしよう、といったものであろう。自分と同世代の若者が、夢に向かって成長し続ける姿は、私にも大きな刺激を与えてくれる。自分自身のライフプランを形成していく上で、まずは夢を持ち、実現のための過程を考え、行動していかなければならないと思う。
夢を持つことの大切さ
私は今、塾の先生のアルバイトをしており、4年目に入った。小学生から高校生まで幅広く担当を持ち、気づけば担当してきた生徒は、30人以上…。皆塾に通う理由は様々で、受験生もいれば、進級するために通う生徒もいた。その中で私の考え方に大きく影響した生徒について、少しだけ話していきたいと思う。
私が担当した当初は小学4年生だった女の子である。小学校に入ってから塾に通っており、中学受験を目指すにあたり、塾を変更し、その国語を私が担当することとなった。ここでは、Aちゃんとする。Aちゃんは、いわゆる"できる子"だ。大人の言うことに反論することもなく、言われたことを淡々とこなすことができる。私は初めて授業をした時、少し違和感を感じた。『この子の意思はどこにあるのだろう』そう感じたのである。実は、母親から自主的に行動することができるようになってほしいと思っていたと、打ち明けられた。私がこの子と同じ歳の時、アイドルになりたい〜!なんてふざけていたのが、恥ずかしくなったくらいだ。
Aちゃんは私にこう言った、『お母さんやお父さんが喜ぶから、私は弁護士になるの』いやいや、待ってくれ、しっかりしているの域を超えてるぞ。私はその時、AちゃんにはAちゃんなりの夢を持ってほしい、夢を持つことで、やりたいと思えることが増えること、そしてたくさんチャレンジをして、たくさんの経験を積んでほしい、こう思った。それから、勉強だけでなく、たくさん私生活の話をした。先生という立場で無駄話ばかり、と怒られてしまうかもしれないが、勉強と同じくらい大事な『夢を持つことの大切さ』を伝えたかった。
Aちゃんは、努力の末第一志望の中学校に合格、それと共に塾を辞めることになった。その際にAちゃんからこう言われたのである。『私ね、先生みたいな大人になりたいなって思ったの。だからね、いっぱい好きなことやってみる!』
全ての子どもたちのために
今、私の夢は全ての子どもたちが自分のやりたいことにチャレンジできる環境をつくることである。こんなこといつになったらできるのだろうか、とたまに思ってしまったりする。自分にそれだけの力があるのだろうか、夢物語で終わってしまうのではないか、色々考えてしまう。しかし、Aちゃんから私は学ぶことができた。私と関わった子どもが、やりたいことにチャレンジしようと思うことができた。私のような大人を目標としてくれるようになった。私が彼女の人生に、影響を及ぼしたのかもしれない。これは、簡単にできることではない。でも確実に私はやることができたのである。だからこそ、社会に出てもっともっと足りない力をつけて、この社会の全ての子どもたちが、やりたいことにチャレンジし、夢を持つことの大切さを感じてもらえれば、と思う。そのために、私は決めていることがある。それは、どんな時も小さな目標を必ず設定し、苦しい時はその目標に立ち返り、コツコツと達成していくというものだ。
社会に出ることに不安が多く、自分は大丈夫だろうかと、考えてしまう。どんな時も自分の目標を忘れずに、素敵な仲間と共に夢を持って頑張ろうと思う。
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