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サンクトペテルブルクで日本酒バー「Takadaya」を創業

鬼島一彦さん(41)。サンクトペテルブルク在住のこの人物はロシアにおける日本料理の大使であり、起業家であり、日本酒バー「Takadaya」の創業者でもある。鬼島さんは数日間のモスクワ訪問で3軒の日本食レストランを回り、日本酒の文化を紹介し、母国の美食にまつわる古き伝統について語った。

2023年8月19日
ウリヤナ ロバノワ
スプートニク

鬼島さん

医療と料理

鬼島一彦さんは山形県生まれ。御実家は半世紀の歴史を刻むラーメン屋だ。子どもの頃は叔父や祖母のラーメン屋をよく手伝ったため、幼い頃から料理が得意だった。

2023年8月19日
ウリヤナ ロバノワ
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鬼島さんは医療を学んだが、飲食店経営という家業の伝統を捨てることはなく、それどころか、この2つの方向性を組み合わせることに成功した。鬼島さんは友人の招待で2013年にロシアを訪れた時、ここでなら自分の知識と家業の目標を実現できると悟ったという。

2023年8月19日
ウリヤナ ロバノワ
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鬼島さん

私はロシアに来て、ここでなら医療だけでなく美食の面でもいろんなことが提供できると思ったんです。そこで最初の会社、MTCジャパンを設立しました。これは医療、輸出入業、経営コンサルタントの3つの分野で事業を展開する会社です。その中でロシア医学アカデミーの栄養研究所とともに、ロシアの病院食の開発に取り組みました。私の考案したメニューは和食から食を考えることを基本にしていて、出汁の旨味を使うことで塩分を減らし、美味しいだけでなく健康的な料理に仕立てするというものです。病院食の問題点はおいしくないということでしょう。でも、美味しいことは大事ですよ。これで患者さんは気分がよくなって、病気を治すことができるんですから」

2023年8月19日
ウリヤナ ロバノワ
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家伝のレシピとラーメンブーム

2014年、鬼島さんに数人の日本人投資家が声をかけてきた。ロシア初の本格的なラーメン店「ヤルメン」をサンクトペテルブルクにオープンする。手伝ってほしいと。ところが、プロジェクトが始まるとすぐにロシアに経済制裁が課され、日本からの輸入品が一気に高騰してしまった。

2023年8月19日
ウリヤナ ロバノワ
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「日本から小麦の麺とタレを輸入するのが難しく、すごく高くなって、ラーメン店は倒産寸前まで追い込まれました。そこで私は家族に頼み込んで、ロシア人の料理人に我が家のレシピを教える許可をもらいました。地元の食材を使って祖母のレシピ通りに作り始めたんです。輸入品に頼らなくてもいいように。それは正しい判断でした。ラーメンはおいしくなり、コストは下がった。そしてラーメンビジネスはまた成長し始めたんです。その時、私は気づいたんです。これはロシアの消費者にラーメンを広めなきゃならないぞ。ラーメンは絶対にロシア人の心を鷲摑みにするはずだって」

2023年8月19日
ウリヤナ ロバノワ
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酒造りに挑戦

酒造りはロシア産の米を使ってもできる。味は若干異なるが、その代わりに価格は手頃になるはずだ。鬼島さんは、クラスノダールで栽培された米からベースとなる日本酒を製造し、中流の酒は、特別に精米された米を日本から輸入して作ることを計画している。

2023年8月19日
ウリヤナ ロバノワ
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日本酒バー「Takadaya」

「高田屋嘉平は本当にたくさんの努力をして日露関係に大きな貢献を成した人です。両国の架け橋となった。だから、彼は私にとっては大きなお手本で、その事業を続けていきたいと思っています。また、高田屋は日本酒を商っていましたので、私は彼に敬意を表して日本酒バーを『Takadaya』と名付けました。彼と同じように、私も日本酒を普及させたいのですが、今は輸入品のため1本あたりの価格が3000ルーブルと非常に高いんです。もし私がロシアで日本酒を作れば、もっとたくさんの人に飲まれるようになって、たくさんの人が日本酒に触れ、日本酒の文化を知り、日本酒を愛するようになるじゃないですか。これが今の私の最大の目標、そして夢なんです。1年半後には実現させるつもりです」

2023年8月19日
ウリヤナ ロバノワ
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