研究の結果、タリム盆地のミイラには同時期(紀元前1900年紀)に生きていた他の集団と混合(子どもを作ることを意味する)した兆候が見られないことが分かりました。ミイラの直接の祖先に当たる集団は、氷河時代には広範囲に存在していたものの、その末期の約1万年前までにほとんどが姿を消したといいます。
古代・北ユーラシア人と呼ばれるこれらの人々は狩猟採集生活を送っていた集団で、現代人の遺伝情報にはごくわずかな痕跡しか残っていません。遺伝情報中の比率が最も高いのはシベリアや米州の先住民族(ハプログループR1a、Y-DNA)だとされています。タリム盆地で上記の年代にさかのぼってその存在が確認されたのは予想外の発見でした。