3.手術の内容
壱は難治性のため、主治医からの提案により臨床研究に参加しています。先天性内反足は根本的な原因が不明の生まれつきの病気だけれどPonseti法と呼ばれる治療法があり、初期矯正成功率は90%だとか。ただ難治性は再発リスクも高い。
主治医にかなりしつこめに質問を重ね、初期の矯正治療効果を強くし、変形再発予防効果を得られることを期待し、Ponseti変法での手術(研究への参加)を決めました。
通常はアキレス腱の切離のみ。
変法では複数腱の切離。具体的には アキレス腱/後脛骨筋腱/長母趾屈筋腱/長趾屈筋腱 を同時切離。そして 後方関節包の切開。
ちなみに、全身麻酔でした。
再発した場合、軟部組織解離術 という再手術を受けることが多いようですが、この手術は侵襲の大きい外科治療であり、術後の癒着が生じると足首の動きは固くなり、長期的には痛みを伴うものです。そのため、最終手段であり、極力回避したい治療法だということでした。
この時、生後3ヶ月の壱に全身麻酔の手術をこちらの判断で行うことに大きな責任と怖さを感じましたが、再発リスクが減るのであれば・・・と決断しました。
然し、残念ながら、壱は結局、5歳3ヶ月で再手術を受けることになりました。矯正の経過が順調とは言い難いものだったからです。因果関係は不明ですが、壱はどうやら別の疾患も持って生まれてきたことが治療の過程で疑がわれ、それが関係しているかもしれないと。
それが「稀少未診断疾患」です。
術後、ギプスの取れた壱の足を見ていると足指・足首が独立して動いていないことが気になりました。主治医に相談するも見たことのない症例で、原因不明と。省略しますが色々と検査を追加し、わかったことは「何が原因で動いていないかわからない」ということ、仮説をたてるのであれば「腓骨神経が欠損している」ということでした。
腓骨神経は足首をあげる筋肉、足の指をあげる筋肉へ作用するもので、それが無い・・・と。すぐさまGoogleで【腓骨神経 先天性 欠損】と調べるも、まぁ、無いんですよ。なんだか海外の論文でマウスとニワトリではちょっと例があるんだけどね、くらいのことしか分かりませんでした。人間のこと教えて…と半ベソの母ちゃんです…。
よし、ここまできたら遺伝子調べよう!ということでIRUD(未診断疾患イニシアチブ)という研究プロジェクトにも参加をしております。こちらは結果待ちです。
話を戻しまして…再手術は無事に終えました。
手術室に入ってから約6時間後に顔を見ることができました。どれだけホッとしたことか。戻ってきてくれて嬉しかったです。主治医を睨み付けながら、泣きながら「思ってたより痛いじゃん!」と怒っている姿に安堵しました(先生、ごめんなさい)。
軟部組織解離術の目的は、突っ張っている足首や足底の軟部組織を切離または延長し、足根骨の配列異常を矯正し、足の裏全体で接地できるようにすることです。
手術に関しては以上です。手術内容はおそらくどこの病院でも紙面などで詳細説明がされますし、内反足に関するHPも調べれば治療法が詳しく記載してあります。それらを読んだ上で主治医の説明を聞くと理解も深まりますし、質問もその場で出来て安心です。
お子さんが内反足をもって産まれてきた、という御両親はインターネットで調べれば調べた分、不安が増してしまうこともあるかと思いますが、是非予習をして納得いくまで質問をしてみてください。今もっている不安を少しは軽減できる策だと思います。そして適切な治療をお子さまに。宜しくお願い致します。