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ラウドネスノーマライゼーションの時代が来ても音圧戦争は終わらないと考えるワケ

どうも。好きなRMSは-6.3db、NA7です。

突然ですが現代の若者の間では音圧戦争は終わってるらしいです。いつのまに…


音圧戦争という言葉が流行らなくなった理由としてラウドネスノーマライゼーションの存在が考えられるのですが、
どうせ人間は愚かでズルをする生物なのでラウドネスノーマライゼーションをハックし、またしても自分の曲の音量を大きく見せようとするムーブが発生すると思うのです。
これを僕は勝手に第二次音圧戦争と呼んでいます。

まあハック方法は大体検討はついてるし警鐘を鳴らす意味で書きますが、俺は宗教上の理由でこのハック方法が嫌いなので最後まで見て真似しないことを祈ります…


音圧戦争とは

マジで説明がめんどくさいので色々すっ飛ばすと、
「人は音量が大きい方がいい音であると錯覚するから音は大きい方が良い」という思想のもと、音声データの音量の天井が決まってる中でどうすれば音が大きく聞こえるかを研究してきた営みを音圧戦争と呼びます。

ソースは色々調べたけど色々見てくださいという結論になりました。


時には曲が破錠してまで音圧を上げるようなことがメジャーレーベルでも平気で行われてきた歴史があり忌み嫌われた言葉ではありますが、
僕が触れてきたクラブミュージックの最先端ではいかに音圧を高くして迫力を出しながら曲を破錠させず低音の心地よく聴かせたり音の立体感を出せるかといった音圧を上げるデメリットを克服する研究が進んでおり、おかげで僕は比較的音圧を上げることに好意的なスタンスで育ちました。


高音圧曲の紹介

・Around the World
(Youtube content loudness 8.5dB)

Red Hot Chili Peppersが音圧戦争の犠牲者とか色々言われてたの一旦参考用に。
確かに低音成分が極端に少なかったり全部の音が全部前面に張りついてるように聞こえるなど分かりやすく音圧を上げるデメリットが出ている。


・Stay Young
(Youtube content loudness 8.1dB)

クラブミュージックの最先端でいかに音圧や迫力を出しながら低音を心地よく聴かせるかの例で、どんな環境でも絶対に低音がいい感じに響く最強の曲。ぶっちゃけ2:15あたりで音割れしてるが気にしないでください


・Soda World

(Youtube content loudness 6.1dB)

クラブミュージックの最先端でいかに音圧や迫力を出しながら立体感を出せるかの例で、今まさに開拓が進められている「Colour Bass(Melodic Riddim)」という音楽ジャンルより一曲。
Colour Bass(Melodic Riddim)は同時発音が少ないほど音に迫力が出るという思想の元、ベース、ハーモニー、メロディを全て一音で表現するということに挑戦する音楽ジャンルと勝手に考えています。


・音圧戦争の終焉と言われたラウドネスノーマライゼーションの時代

ところが、時代が移り変わり視聴者層のメインプラットフォームがSoundCloudからYoutubeへ移行していくと「ラウドネスノーマライゼーション」という仕組みにより音圧戦争の意義が問われることになります。

「ラウドネスノーマライゼーション」は純粋な音量ではなく、人間の聴感上の音量をモデルに組んだラウドネス規格を元に曲ごとの音量を均一する仕組みのことです。
さっき曲紹介したときに記載してあったYoutube contents loudnessはYoutubeに動画をアップロードした時にラウドネスノーマライゼーションするとどれだけ音量が下げられているかを示すもので、
Youtube上でも表示することができます。

動画を右クリック→詳細統計情報を押すと出てくる

要はここの数字が大きいほど曲の音量が大きかったということになりますね。


こうなると音圧戦争の原因となった「音量が大きいほどいい音であると錯覚する」という考え方があったとしてもYoutube上で戦うと音量が全て揃えられてしまい、音圧を稼ぐ意味が失われてしまいます。
というわけで無事音圧戦争も終わり、純粋な音の良さやアイデアで勝負できるような時代に………


ならないと思うぜ!


・ラウドネスノーマライゼーションの脆弱性

ここでラウドネスノーマライゼーションの測定基準である「等ラウドネス曲線」を見てみましょう。

等ラウドネス曲線

要はこのグラフが高い周波数帯ほど音圧が大きく感じる、またはラウドネスノーマライゼーションに引っかかって音量が下げられるのですが、
異様に下がっている帯域がありますよね。

2kHz~5kHzあたり。

しかも音の通りやすさ(指向性)についても音圧とは別で考慮する必要があり、一般的に高い音の方が指向性が強く音が通りやすいとされています。


…ということは、
指向性の低くて等ラウドネス曲線が高い低音は控えめにし、
指向性の高くて等ラウドネス曲線が低い2kHz~5kHzを出した方がいい…?


・真似しないでほしい!ラウドネスノーマライゼーション時代での音圧の上げ方

というわけで、等ラウドネス曲線と指向性を元に僕の出した結論は以下のようになります。

・~100Hzは控えめに
ベースは目立たせないか、高い音域で弾く

・2khz~5kHzを目立たせる、
女性ボーカルの音量を上げる

・10kHz~は控えめに
ドラムのハイハットやシンセリードは控えめに


せっかくなので事例を出していきたいと思います。

・ベースの音域が低くてシンセリードが目立ってる曲こと
Zedd - Clarity (feat. Foxes)
(Youtube content loudness 7.8dB)


・ベースの音域が高くてボーカルが目立っててシンセリードがない曲こと
Yukopi - 強風オールバック (feat.歌愛ユキ)
(Youtube content loudness 3.5dB)


強風オールバック、音でけ〜〜〜〜〜!!


し、強風オールバックが編曲やMIXの面で突出してる曲ではないのに再生数が非常に伸びているのが売れ線というものを物語ってますよね。
Clarityがリリース当初音圧高いのに音がキレイでカッコいいと言われた環境で育った身からすると強風オールバックの方が音大きく聴こえるの納得いかないけど….

おめでとう お前がYoutubeを戦場とした第二次音圧戦争の勝者
俺はClarity村とともにダムの底へと沈みます…


その他の特徴的な動画

・THE FIRST TAKEの動画全部

THE FIRST TAKE、オリジナルよりベースは控えめだしボーカルを目立たせてるので多分俺と同じこと考えてます。


その他にもTHE FIRST TAKEはYoutube上で音圧を上げるためならば電子系の曲は大体アコースティックアレンジさせるなどの悪行を働いています。


・Kep1er 케플러 | ‘WA DA DA’ M/V

クラブミュージック的なドロップが入った曲なのにも関わらず60Hzあたりの帯域がさみしいことになってます。
スマホとかで聴くとしっかりカッコいいので現代に順応したドロップってこんな感じなんだなと思うことにしました。

ちなみにルーツっぽい曲を挙げるとこんな感じ しっかりサブベースが出ています。


まとめ

音圧戦争は終わっていません
売れたかったらサブベースとシンセリードをやめよう
売れたかったら女性ボーカルになろう
Spotifyを使っていたらラウドネスノーマライゼーション機能をOFFにしてラウドネスノーマライゼーションデトックスしよう
友達がいたらクラブに連れて行って低音を身体に浴びる体験をさせてあげよう
それはそうとプレミア公開する時の待機BGMがラウドネスノーマライゼーション適応されてなくて音量バカでかいのむかつく

ご清聴ありがとうございました。


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