やしきんは作詞が上手い
やしきんとは
やしきん(本名:小林康太(こばやし こうた[1])、1988年5月12日 - )は、日本の作詞家、作曲家、編曲家。東京都豊島区池袋出身。所属事務所はF.M.F。
作曲編曲を担当する時は普通にいい曲が多いが、作詞の時だけ急に尖って「ファッとして桃源郷」や「だじゃれくりえぃしょん」などを生み出してしまう芸人作家である。
そんな尖った歌詞に惹かれ僕も作詞する時はイマジナリーやしきんを横に置くことが多いのですが、横に置いてたなりにちょっとだけ作詞が分かってきたのでどこがすごいのか忘備録的な感じで書き残していきます。
①大胆な跳躍と省略
まずは「ファッとして桃源郷」の歌いだしを例に挙げます。
花もはじらう16歳の つるぺたすってんとん
この上で鰆さばいたら好吃[ハオチー](へいおまち!)
お味噌ぬって豊乳摂取 イソフラボンキュッボン
でも中学生から身長全然変わんない
色々ツッコミたいところはありますが、ここで注目するのは全体を通して一切展開に脈拍がないことです。
脈拍がないことによりジェットコースター並の揺さぶりが生まれているのですが、こんなに脈拍がなくてもいいのでしょうか。
・脈拍がなくていいのはテーマの分かりやすさを逆手に取っているから
この曲のテーマは「胸を大きくしたい、貧乳では劣等感を感じる」で、これは日本のオタクカルチャーでは散々擦られたネタでありオタクカルチャーを通った人間ならば直接的な表現をしなくても伝わると考えられます。
やしきん氏はそこを狙い、伝わりやすいテーマを扱い、言わなくても伝わる部分は極力排除し、インパクトのあるワードをいきなり出すという戦略で作詞することが結構多いんじゃないかと思います。
・省略しないファッとして桃源郷
花もはじらう16歳の(胸が) つるぺたすってんとん
この上(まな板のような私の胸)で鰆さばいたら好吃[ハオチー](へいおまち!)
(私の胸の上で捌いた鰆に)お味噌ぬって(食べたら)豊乳(が期待できる成分を)摂取 イソフラボン(ボン)キュッボン
でも中学生から身長全然変わんない
(今回はテーマが名詞(胸)だから主語が省略されがちだけど、他にも感情がテーマだと感情を表す形容詞とかが省略されると思うぞ!)
こういった省略に関わる話はこちらの記事がより深く解説しています。
(作詞じゃなくて漫画の話だけどほぼ応用できると思います)
②お決まりの流れを裏切ってくる
またしてもファッとして桃源郷より引用です。
ほら坊主が屏風に上手にキョンシー2000体
これは有名な早口言葉「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた」のパロディなのですが、途中までは原作準拠のため、歌を聴いている時はそのまま原作準拠で進むと錯覚します。
他にも、
荒ぶる感情のプラズマ
急にシリアスになったかな…?
溜めてた静電気よ(バッチこ~い!)
ズコーーーー!(キャッキャ)
とか、他の曲「エッビーナースデイ」でも
「名取、涙が出ちゃう… 女の子なもんでよぉ…」
こんな感じで同情を誘ってくるのですが、
素直に言える輩は陽キャッキャ
爆速手のひら返ししてきます。(キャッキャ)
この爆速手のひら返し、何がいいかって歌詞の情報量というか密度が倍になるのでやかましい曲にしたい時はすごく有効なんですよね。
インパクトもあるしね
・今のところは以上でございます
というわけで分析できた手法はどちらもインパクト重視のためのものでした。
まだまだ分析の余地がある気がするので他にも見つかったら任意のメディアで公開します