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Magnetic Switchというキースイッチ
Magnetic Switchを使ったキーボードに興味がわいてきたのでキーワードを色々調べてみました。
色々な誤情報が入り乱れていて混乱したので、NuPhy®StudioさんのJournalを基準にして情報を整理しました。
特徴
Magnetic Switchはホール効果スイッチで、ホール効果を利用して磁場の存在を検出する電子スイッチの一種らしいです。
Magnetic Switchには、大雑把に以下の特徴があり、その特徴を生かした機能をMagnetic Switch Keyboardで実現しています。
無接点
キースイッチの物理的な接点がないということです。
接点方式のキースイッチはON/OFFに使用する物理的な接点(金属の接触部分)が存在します。
Magnetic Switchは磁場の変化をセンサーで読み取りON/OFFを検出する方法なので無接点方式となります。
他の無接点方式には、静電容量、オプティカルといった方式があるようです。
非接触
無接点と非接触は厳密には別のようです。
スイッチをON/OFFを検出する機構とキースイッチの可動部分が物理的に接触しているかどうかということらしいです。
Magnetic Switchは、磁石と磁場を検出するセンサーの距離によってON/OFFを検出する方式で、磁石とセンサーの間に物理的な接触がないため非接触方式となります。
他の非接触方式には、オプティカル方式があるようです。
静電容量方式については、無接点ではあるけど、静電容量を変化させる円錐スプリングを、キースイッチの可動部分で、ラバーカップ(ドーム)を介して押し下げる必要があり、直接的には接触しないけど間接的に接触しているとも言えるそうなので除外しています。
アナログ
接点方式と違い、ON/OFFを検出するのではなく、センサーでアナログ情報を読み取り、一定の閾値に基づいてスイッチのON/OFFを判定する方式です。
Magnetic Switchは、磁石と磁場を検出するセンサーの距離による磁場の変化でON/OFFを検出する方式なのでアナログ方式となります。
他のアナログ方式には、静電容量方式があるようです。
オプティカル方式の場合は、スリットにより、光を遮っている状態から光を通す状態の変化を検出する方式(調べた限りでは...)なので、2値のデジタル方式と考えて除外しています。(情報が少なかったので違うかもしれません。)
形状
Magnetic Switchでは、従来のメカニカルキースイッチと同形状の形を採用していることが多いです。(そうする必要はないです。)
なぜかというと、キーボードにはキースイッチとPCB(基盤)だけではなく多くのクッションや、パッド、カバーやケースなどの部品が多いので今までの接点方式のスイッチと形状を変えてしまうと、そう言った部品や設計上のノウハウを再利用することが難しくなるからみたいです。
打鍵感
重要視されるけど、定義があいまいで、個人差による好みが大きいのが打鍵感でしょうか。
打鍵感については、基本的にはキースイッチの方式には依存しないようです。
例えば、静電容量方式の打鍵感が良いというのは、静電容量方式だから打鍵感が良いわけではなくて、ラバーカップを使用したキースイッチの構造の設計が良いということみたいです。(たぶん、静電容量空間を遮断するためにラバー製のカップを使うのが理想的だったのではないかと考えています。そこから初めて打鍵感にこだわって作りこんだのではないかと…)
なので、ラバーカップ+メンブレンでもレジェンドクラスのキーボードがあるらしいです。
ああ…話がずれていく…ミネビアさんはいつかまた…
Magnetic Switch自体には制約はないのですが、Magnetic Switchの特徴を生かしたMagnetic Switch Keyboardの機能により実現する意味の薄い部分は存在します。
接点方式スイッチのタクタイルとクリッキーの打鍵感がそれで、Magnetic Switch Keyboardにアクチュエーションポイントの変更やラピッドトリガー機能があるとタクタイルとクリッキーについては違和感しかないと思います。
なので、Magnetic Switch Gaming Keyboardでは癖のないストレートなリニアになっていると思います。
癖のないストレートなリニアと書きましたが、癖のあるひねくれたリニアなんてあるの?とか質問されそうですが…
あるし、できます…
キースイッチのスプリングはなんとなく1本のスプリングが入っているように感じるかもしれませんが、実際には、2本とか3本の剛性の違うスプリングを繋げて使っていることがあります。
複数の剛性の違うスプリングを繋げると押し下げる(縮めて)いくと途中から押下圧に変化(ステージ)が生じます。で、この特性を使ってちょっと変わったトラベルステージ特性を持たせたキースイッチがあります。
繋げるスプリングの本数を(トラベル中の変化する)ステージと呼び、2ステージぐらいまでは一般的な製品があります。3ステージ以上はちょっと特殊かもしれないです。当然ですが剛性の違うスプリングを繋いでキースイッチに組み込めばオリジナルのも作れますし、スプリングも売ってます。
NuPhy Air60 V2とかだと
1ステージスプリング(長さ):
Cowberry(15mm)
Moss(16.5mm)
2ステージスプリング(長さ):
Aloe(16.5mm)
Wisteria(16.5mm)
Gateron赤、茶、青(13.5mm)
※長さとステージが同じなのにスイッチのトラベル特性が違うのはたぶん使っているスプリングの剛性や組み合わせが違うからじゃないかと…
※ちなみに本数=ステージではないです。1本のスプリングに剛性の違う部分(太さを変えるとか)を作ると1本でマルチステージになります。製造上の制限から、本数=ステージとなっていることが多いです。
ああ…話がずれていく…スプリングやステージの事はいつかまた…
そして、Magnetic Switch Keyboardに続く…かもしれません。
その前に、記事に図を入れたりするかも…