いつかの空
「お散歩しよ!」
仕事で疲れたAは横たわってびくともしない。
4連休第一日目、かけもちアルバイトわずの私は疲れていたが、
この空を見てじっとしてられず、家を飛び出した。
歩いては、立ち止まり、上を見て、深呼吸する。
適当に歩き始めるが、人っ子ひとりとしていない。
いい気になって、存分に怪しそうなことをする。
首が痛くなるまで、上を見ていた。
空は広くて、広くて、一度にその全体を目に取り込むことができない。
余すとこないよう、一生懸命全体に視線を向けようとする。
結局、近所をぐるっと一周した。
第一村人発見。こんな時間に洗車をしている。
「こんばんは〜。空、綺麗でしたね。ピンク。」
「ごにょごにょごにょ」
村人は何やら呟くが、こちらには聞こえない。
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