色んな意味でヤバすぎる台中市バス
こんにちはあるいはこんばんは。今日は私が住む台中市のバスについてご紹介します。
台中市は人口280万の大都市にもかかわらず、鉄道など軌道系の交通がとても貧弱です。
下の図はGoogle Mapで台中市中心部を抜き出したものです。この範囲にざっくり計算で150万人が生活していますが、鉄道路線は建設中を含めてもこれしかありません。
赤は台鐵、水色は高鐵、緑は20年末開業予定のMRTです。中心駅の台中駅の1日の平均乗降数は約52,000人、これはJR東日本の駅に当てはめると95位相当で、高円寺駅とほぼ同等です。
かつては台中駅から南の霧峰・南投方面へ中濁線という路線が走っていた時期もありました。ただこの路線はサトウキビの輸送が主目的だった路線で、今から60年ほど前に廃線になっています。さすがに昔過ぎて市内で路線遺構はほぼ見ることはできません。
そんな中で市民の足となっているのが台中市公車、バスです。市内には200を超える路線があり、縦横無尽に走り回っています。台中市バスのヤバい点を紹介したいと思います。
【全路線】運賃がヤバい
台中市バスの最もヤバい点…それは間違いなく運賃でしょう。2020年1月からの運賃制度は、
・10kmまで無料
・10km以上はどこまで行っても10元(約35円)
という運賃設定です。ちょっと調べたくらいではわかりませんでしたが恐らく世界最安ではないでしょうか。現行の料金体系は2つの10があることから「雙十公車」と呼ばれています。前述の通り鉄道網が不便ですから、バスの運賃を優遇することで自動車バイクの渋滞を低減しています。
郊外へ出ない限り、市内で10kmを超えることはほぼ無いと言えるでしょう。この時期は暑いですから、路線がある程度わかっていればバス停1つとか2つのショートカット的な移動にも便利です。
ただし、条件として悠遊カード等のICカードが必要になります。ICカードがなくても運転手に現金手渡しで乗れるらしいですが、そういう光景は1年に1回見るかどうかという感じですね。
乗車時、下車時にリーダーにタッチ。運賃0が表示されています。
【300~310番】運行本数がヤバい
200以上もの路線があれば、数分に1本の路線もあれば、1日に1本しかない路線など様々です。
300番台のバスは台中市の目抜き通りである台湾大道を走る路線です。この路線は過去に紆余曲折があり、当初はBRTとして整備されたのですが、開業から1年経たずして運行停止、今はただのバス専用道として使用されています。
300番台のバスは発着地が路線によって違いますが、共通して茄苳腳~市政府~東海大学~静宜大学の区間はバス専用道を通行します。最も運行頻度の高い300番のバスだけでもピーク時は約3分に1本、それなりの頻度がある301~310番のバスも加えると、ほとんどひっきりなしにバスがやってきます。
専用道ではない台中駅~茄苳腳間では同じ番号のバスに追い越されるなんで事も…
ただ実際は専用道といえど信号待ちがあるため、タイミング次第では5分程度は待つこともあります。
【865番】通行禁止区間を通るバス
台中から花蓮へ、台湾の中央山脈を東西に貫く中横公路という道路がありますが、台中の有名な温泉地である谷關から大きなダムがある徳基の間は、1999年の大地震の影響で今も現地住民を除いて一般車両は進入禁止になっています。
Google Streer Viewによる谷關側のゲート。左のバンのおっちゃんは引き返すところでしょうか?
一般人がこの区間を通り抜ける唯一の方法がこの865番のバスになります。谷關から徳基を抜けて梨山に向かうバスです。
台中市公車のサイトから切り抜きました。山間の川沿いを縫うように進みます。道中は当然無停車です。1日3往復あります。
なお、自家用車で花蓮へ行くには、南投の埔里から合歓山経由で中横公路に合流することが可能です。
【153番・252番・865番など】運行時間がヤバい
先程の865番も含めて、中には2時間を超える長時間長距離の路線もあります。(運賃はもれなく10元です)
先日、自由時報で長距離路線についての記事がありましたので翻訳しつつ引用します。
「おむつをつけてバスに乗る?」
市域が東西に長い台中市には2時間を超える長距離路線がいくつかあります。
ある市議は梨山の住民が台中市内に行く際、谷關乗り換えで5時間かかるが、梨山をでると谷關まで2時間以上トイレに行く方法がない事を指摘。別の市議は乗客にお弁当とおむつを支給してはどうかと提案しました。
(中略)
それに対し市政府は、長距離を走る路線バスは途中バスターミナルでの休憩時間を設け、休憩場所がないところには新たに設置するなどの配慮を検討する、と回答しました。
<以上引用>
ということです。別の記事では、865番のバスの運転手は度々乗客からの申し出でトイレ停車に応じたことがある、とのことでした。
高速バスのようなトイレ付きの車両で運行すればいいのでは…と思いますがどうなんでしょうね?
ちなみに865番で梨山にいくと、そこから花蓮の市バスに乗り換えることができ、バスで中央山脈を越えることができます。ただしこちらは調べると1日1本しかないため、もしチャレンジされる場合は事前に入念な準備をオススメします。
以上、台中市バスのヤバい点を紹介しました。
ご覧いただきありがとうございました。