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【メンバーシップ限定記事(一部無料)】 Mindfulness - Journey 03:行動療法から第三世代へ至る背景とマインドフルネス

はじめに

 前回のJourney 02)では、マインドフルネスが脳機能やストレス応答にいかに影響を与えるのか、神経科学的な観点から探究しました。前頭前野(PFC)や前帯状回(ACC)、扁桃体などの領域が瞑想の実践によってどのように変化し、ストレスや不安へ対処しやすくなるのかを概観し、マインドフルネスが脳の可塑性(Neuroplasticity)を促す可能性にも触れました。

一方で、マインドフルネスは、脳科学だけでなく心理学の進化の中でも重要な位置を占めています。今日のJourney 03では、行動療法・認知行動療法(CBT)から「第三世代行動療法」と呼ばれる流れへと至る歴史と理論的背景を整理しながら、マインドフルネスがどのように心理学の潮流の中で取り入れられ、臨床応用を広げていったのかを詳しく解説していきます。

今回のJourney 03の内容は、以下のステップで進めます。

  1. 行動主義(第一世代)の成立と限界

  2. 認知行動療法(第二世代)の台頭と成功

  3. 第三世代行動療法の理論的革新

  4. マインドフルネスがもたらした新しい視点

  5. ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の位置づけ

  6. マインドフルネス認知療法(MBCT)の特徴

  7. 振り返りと次回への橋渡し──新たな潮流を紐解く

行動主義が「観察可能な行動」に焦点を当てたところから始まり、認知革命を経て「思考の修正」を重視する認知行動療法へ。そして、マインドフルネスを取り入れた第三世代行動療法が登場し、現在の臨床心理学に大きな影響を与えています。そこにマインドフルネスがどのように結び付いたのかを振り返ることで、マインドフルネスがなぜ心理的問題の解決に有効なのかをより深く理解していきましょう。

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1. 行動主義(第一世代)の成立と限界

1-1. 行動主義(Behaviorism)の誕生

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