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【J‐TREC出場】【JR東日本】FV-E991系『HYBARI』(HY編成)J-TREC横浜事業所出場 2022年2月5日

・日本初、営業線を走る水素燃料車両が満を持しての登場

2月5日未明、FV-E991系がJ-TREC横浜事業所を出場しました。

この車両は、JR東日本、トヨタ自動車、日立製作所が共同開発した車両であり、水素燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドを搭載。
自動車の技術を鉄道車両に応用した試験車両です。

※世界初の水素燃料車両は、フランスの車両メーカーアルストム社が製造したCoradia Lintシリーズの「iLINT」になります。

学研出版社 まち座
出発の時間まで待機するDDD5515+FV-E991+7200系。
毎度お馴染みの構図。後ろの青い車体が際立っている。

この車両、試験車両の為、一般の方が乗車することは出来ませんが、今年度末より鶴見線・南武支線を試験走行を行う予定です。



・ディーゼル機関車と水素燃料車両、電車と水素燃料車両のコラボが実現

J-TREC横浜事業所を出場する車両は、原則としてDD5515と7200系のコンビで池子(神武寺)まで回送されます。

ただし、例外もあり、JR東日本の鉄道車両は、出場後自走による公式試運転で所属先へ回送されるため、出場時がらパンタグラフが上がり、電源が入っている状態で出場することから、万が一7200系が故障してもDD5515のみの牽引で池子に向かう状況もごく稀に発生します。

しかし、今回は初めての技術を多く採用されている車両。

実績が無いものをいきなり本線上で自走して故障等が発生したら他の路線に多大な影響が出かねない為、今回は機関車牽引による甲種輸送が行われました。

話が少しそれてしまいましたが、甲種輸送が実施されるということは、必ず7200系が連結されることになり、ディーゼル機関車及び電車によるコラボが実現することになりました。

ディーゼル機関車とFV-E991系。
元東急電鉄・上田電鉄7200系とFV-E991系。車齢差はなんと50年以上。


・車体はEV-E301系(accum)ベースだけど・・・

昨年のプレスリリースや今回の出場でどこかで走っている車両に似ているなと思った方は多いかと思います。

この車両、現在烏山線で運行中のEV-E301系をベースとし、前面形状や側面もほぼEV-E301系と似ている部分があります。

しかし、試験走行を行う鶴見線では急カーブの箇所がある為、急カーブでも対応できる様に若干の改良が加えられている他、将来パンタグラフが取付出来るようにパンタグラフ台座も屋根上に準備工事として設置されています。

少しだけ拝見出来た前面。accumのコピー版と言われても不思議ではない。
画像では少し見難いが、将来に備えてかパンタグラフを取り付ける台座が設置されている。
FV-E301系との違いは車端部分付近の模様。

そして、今回注目されたのが車両用信号炎管の省略

現在、JR東日本を走る全編成に車両用信号炎管が設置されています。

赤〇印が車両用信号炎管。
車両は阿武隈急行だが、JR線との直通運転を行っている為、信号炎管が設置されている。

この車両用信号炎管、運転席にある紐を引く又は運転台にある緊急スイッチを押下すると、発炎筒が焚かれる仕組みであるが、使用頻度が少なく、携帯用信号炎管(自動車に付いている発煙筒をイメージしてください)も運転室に装備されている影響で今後廃止が検討されている模様であり、今回のFV-E991系においてJR東日本の車両では初めて信号炎管が非設の車両となりました。

通常、画面右側に信号炎管が設置され、簡単に目視できる場面が多いが、
今回はその様なものが見当たらない。


・土曜日未明の出場のみパターンは珍しい光景

J-TREC横浜事業所を出場する車両は、1号線系統を除きある程度曜日パーンが決まっています。

土曜日未明の出場の場合、休日ダイヤとなる為、休日に甲種輸送が実施されるか、数日間池子に留置が発生しない限り出場車両がある確率は低くなります。

今年度も土曜日未明の出場が2021年6月5日未明に東急2020系での実績があります。(2020系出場リンク)

しかし、これにもカラクリがあり、同時に東急5080系がJ-TREC横浜事業所に入場(5080系入場リンク)しており、入出場車両を一夜でやってし舞うという場面がありました。

今回は土曜日未明の出場車両ありの反面、入場車両は無し。

土曜日未明の出場車両は絶対に無いとは言い切れませんが、今回の様なパターンは相当珍しいパターンであると言って良いと思います。

・2日間に分けて行われた甲種輸送

前項で述べた通り、金曜深夜の出場という非常に珍しいパターンで行われた今回の車両。

翌日の2/5に池子(神武寺)~川崎貨物間、2/6に川崎貨物~武蔵中原間で甲種輸送が行われました。

筆者は2/5甲種は都合により参加出来なかった為、2/6甲種の方に参加。

南武線の川崎地区で貨物機牽引による甲種輸送は非常に珍しい。
運転士もJR貨物の運転士が担当している。(南武線を運転している運転士の添乗付き)

川崎貨物~武蔵中原間はEF65形が牽引。
武蔵中原到着後、機関車の切り離し作業を行い、機関車のみ立川方面へ走っていきました。

武蔵中原駅に入線する機関車とFV-E991系。
今後も同じ様な光景が見られるのか。

鎌倉車両センター中原支所に機関車が入線しない理由として以下の理由が挙げられるのではないかと考えています。

・機回しするスペースを確保出来ない。
→元々敷地が狭いかつ、土休日ダイヤの為、多くの留置車両があることにより線路を確保できない。

・登板能力に不安がある。
武蔵中原~鎌倉車両センター中原支所間の入出区線には急な勾配があり、勾配に機関車が対応出来るか(下り勾配によるブレーキ関連と考えます)不安になった。

これはあくまでも個人的見解なので真相は不明ですが、様々な要素があり、駅構内で切り離し作業を行ったと考えます。

そのため、南武線の甲種時間帯前後の立川方面列車に時刻変更、着発線変更が実施されました。

ということは、武蔵中原~鎌倉車両センター中原支所間はFV-E991系が自走するということになり、工場の試験走行以外では初めて営業線の線路で自走することになりました。

切り離しされ、受け入れに際して各種点検を行っている模様。
機関車牽引の都合上、自動連結器姿のFV-E991系は甲種輸送独特の光景。
試験運転の際には密着連結器に交換される。

※動画冒頭、発車前の警笛が鳴りますのでご注意ください。

・FV-E991系の車内

2日目の甲種輸送では武蔵中原で約40分程停車していたことから、車体越しで車内を少し見ることが出来ました。

運転台。
速度計は「アナログ」表示となっている。
駅名対照表には試験路線である鶴見線、南武支線に加え武蔵中原が追加。
その他、試験車両らしい行先も備わっている。
背面や壁等、車内の内装は緑色が基調となっている。
座席のモケットに【HYBARI】のロゴと山と木の模様が示されている。


・最後に+おまけ

今回は、土曜日未明出場、土曜日~日曜日に甲種輸送という珍しいパターンが重なった影響で各地大賑わいとなりました。

2021年末から姿を現した同系。
年末から年明け頃にかけて試験走行が工場内で何度も行われました。

1月中に出場するのではないかと思いましたが、過去の例がほぼ皆無な車両であり、出場までの調整に時間を要したと思われます。
その前に阿武隈急行AB900系が出場しています。(AB900系出場リンク)
AB900系が出場したということは、次の出場はFV-E991系というのは容易に予想出来ます。

ただし、今回の出場は珍しい事が重なった為、予想が難しかった印象です。

それでも深夜で多くの人が集まり、工場の方も撮影にいらしていたので、この車両の注目度が伺えます。

今後、試験走行がスタートしますが、未来に向けた挑戦が今始まります。

今回はこれで終了。
最後におまけの画像で締めたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。

・おまけ

今回の床下機器の一部。
画像はトヨタ自動車が製造した機器。エンジンの様なものが積んであるのは気のせいか?
2022年製造銘板が取り付けられる車両はこの車両が3本目。
入換信号機による発車待ち。
この車両の編成番号は「HY」となった。
約20年前に山手線、京浜東北線を走ったエコトレインを彷彿とさせるデザインとなっている。


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