2022年度 入出場車両 振り返り

・2022年度全日程終了

前回の横須賀・総武快速線用E235系グリーン車の出場をもち、2022年度の全日程が終了しました。

この記事が2022年度最後の更新です。

2022年度の入出場は合計24回となり、新型コロナウイルスの影響及び半導体不足の影響により2021年度の45回を大きく下回る結果となりましたが、幸いにも甲種輸送を除きほぼ全日程参加する事が出来ました。

今記事は、2022年度最初の記事で予想した答え合わせをしながら、2022年度の入出場を振り返ります。

そして、最後は年度末に動きを見せつつあるある車両において世代交代の波?についてのレポートです。

少し長くなりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。

・2022年度入出場振り返り①(予想の答え合わせ)

ここでは、2022年4月に予想した入出場を答え合わせしながら振り返ります。

1.東急電鉄3000系

まず最初に予想したのは東急3000系。
相鉄・東急直通線関連による東急目黒線8両編成化の増備中間車製造が2021年度から開始され、最後の中間車が今年度出場すると予想しました。

結果は。。。

2022年4月9日出場。

2022年度最初の出場となりました。

この出場で東急3000系が全編成8両編成化が決定となりました。
この増備中間車、オール新造かと思いきや、最初の頃は使い回しのオンパレードで混沌とした状況でした。
しかし、後半は使い回す物も底が尽きたのかオール新造車となりました。

2.東急電鉄5080系

こちらも3000系同様、相鉄・東急直通線関連による東急目黒線8両編成化の増備中間車製造が2021年度から開始されています。

しかし、3000系とは異なり製造が少しゆっくりとなっているのが特徴です。

2023年3月18日に開業した同直通線、結果はどうなったのでしょうか?

・入場

・出場

4月に最後の直通非対応編成が入場。

その後、2編成が改造工事を終え出場し同系全10編成が相鉄線直通対応となりました。

並行して増備中間車の製造がピークとなり、一時は改造済みの車両と一緒に出場する等、筆者を驚かす場面を見ることが出来ました。

8月に増備中間車も全10編成が揃い、東急目黒線を走る東急所属車両の全編成が8両編成対応となりました。

3.東京都交通局10-300形

2021年度から8両編成の都営新宿線を置き換える為に増備が再開された同形。
2022年度は4編成が出場し8両編成の10-300形を置き換える予定でした。

さて、実際はどうだったのか振り返ってみましょう。

結果は、予定通り4編成全て出場しました。

4月から約月1回ペースで行われ、夏頃に最後の編成が出場し、都営新宿線の全編成10両編成化と同形の増備が達成されました。

4.マニラ南北通勤鉄道向け車両 EM10000型

この車両は、マニラ南北通勤鉄道建設に伴うフィリピン共和国政府とJICA(国際協力機構)との有償資金協力に基づく日本のODA(政府開発援助)事業によるものです。

2021年度に第一編成が出場し、2028年に8両編成38本が製造される予定ですが、2022年度は何編成出場したのでしょうか振り返ってみましょう。

結果は1編成のみ。

4月に第2編成が出場した後は出場無し。

残り36編成を後5年程で製造される計画ですが、計画通りに行くか怪しくなってきた今年度でした。

5.しなの鉄道SR1系

2020年度、2021年度と連続して出場している同系ですが、今年も予定通り出場するのか振り返ってみましょう。

出場無し

結果としては横浜からの出場はなく、新津事業所から出場しました。

同系の新津事業所製造は今年度初であり、同時期に他の新造車との製造が重なっていた為にベース車両であるE129系の製造実績がある新津事業所に振った可能性もあります。※

※最初から新津事業所でも良かったと思うのですが、横須賀線E235系や日光線、相模線用E131系の製造が立て込んでいた為に余裕が無かったことも考えられます。

6.静岡鉄道A3000形

2021年度は新型コロナウイルスの影響で製造が見送られた同形ですが、今年度はどうだったのか振り返ってみましょう。

今年度は無事に出場しました。

今出場が11編成目となり、来年度が最後の出場かと思われます。

7.E235系1000番台(普通車)

グリーン車は横浜で製造されている横須賀・総武快速線用の同系、2021年度は相模線・日光線向けE131系の製造が集中的に行われた為、一時的にストップしていました。

新津事業所の負担軽減で今年度は横浜事業所でも普通車が製造されるのではないかと予想しましたが結果は。。。

出場無し

グリーン車は定期的出場していますが、普通車の出場はありませんでした。

8.JR東日本E233系(中央快速線用)グリーン車

2022年度最も注目していた車両でもある中央快速線用のグリーン車。

2018年に新たな着席サービスの一環として発表された同線のグリーン車導入ですが、実車が出てこないまま数年が経過。
導入時期も近い為に、いつ実車が出ても不思議ではなかった2022年度はどうだったのか振り返ってみましょう。

7月に初登場。その後、10月に2編成目が出場し2022年度は終了となりました。

まさか2編成出場すると思いませんでしたが、2024年開始予定の同線グリーン車ですが、現状のペースでは到底間に合いません。

今後の展開に注目されますが、豊田車両センターの容量の関係で短期間で大量投入出来るか微妙な部分かと筆者は考えています。

9.京急電鉄(新形式)

2021年度は1890番台が3編成出場した京急電鉄。

1500形の置換が本格化する2022年度に新型車両が登場するのではないかと予想しましたが…

出場無し

結果として、今年度の製造はありませんでした。

しかし、1500形の置換に本腰を上げるために来年度以降は新型車両が登場する模様です。

10.JR東日本E8系新幹線

最後の予想は大穴で2024年に営業運転開始予定である山形新幹線の新型車両E8系でした。

ミニ新幹線はE3系やE6系等の製造実績がある故、E8系も横浜で製造されるのではないかと思いましたが…

出場無し

実際はJ-TRECではなく、川崎車両から出場しました。

第一編成は川崎車両でしたが、今後横浜での製造も開始される可能性もゼロでは無いと思いますので、今後の展開が楽しみな所であります。

以上10点が昨年予想した入出場車両となります。
結果としては6点が予想通りの結果となりましたが、2021年度よりも正答率は低めでした。


・2022年度入出場の振り返り②(その他入出場)

この項では、予想した車両以外の入出場を振り返ってみましょう。

・E235系1000番台 グリーン車

今年度の横須賀・総武快速線E235系グリーン車は全4回、計8編成が出場しました。

同系グリーン車も2022年度で全体の半分が出場。
折り返し地点に入りました。

・元長野電鉄2500系

J-TRECが創立10周年記念事業の一環で東急5000系(初代)を復原することに際し、2021年3月で閉館した長野県の「トレインギャラリーNAGANO」で長らく保管されていた長野電鉄2500系1両がJ-TRECへ譲渡されることが決まり、5月に陸送にてJ‐TREC横浜事業所に入場しました。

深夜にもかかわらず100人近いギャラリーが工場前に集まり、注目の高さを伺えました。

・東急電鉄4000系 Qシート

目黒線の増備中間車を除き、東急5000系列に新形態が登場した2022年度。
6月、相鉄・東急直通線関連工事で入場した5050系8両編成に、銀色一色の新造中間車を2両加えた10両編成で出場しました。
直通関連工事済みの5050系は同系4000番台へ改番を実施した反面、銀一色の謎に包まれた中間車は車番も無いかつ、車内は目隠し用のシートが貼られた状態であり、多くの鉄道ファンの注目を浴び、どの路線向けの車両であるか予想大会が行われたくらいでした。※

※筆者は、出場約2週間前に屋外で留置されていた銀色一色の中間車の車内配置がQシートで運用されている配置と一致していることを確認した為、何処かしらの路線で同様のサービスが開始されることを確信していました。

その後、銀一色の車両が東横線で導入されるQシートであると判明。

ラッピングを長津田検車区で施行される関係で銀色での出場となりました。

最初のQシート出場から約半年後、続々と出場し全4編成8両が揃いました。

半年後の出場は発表後もあり、車内の目隠し等はありませんでした。

この出場により、長期間続いた東急5000系列の増備に一旦終止符が打たれたものと思われます。

・京王電鉄5000系

10月、京王ライナーのサービス拡充に伴い1編成が出場しました。
今年度における京王電鉄の車両増備はこの編成のみ。

まさか、京王の車両が再び増備することになるとは筆者も予想外の出来事でした。

この車両は、日本で初めてとなるリクライニング機能付きのロングシート/クロスシートの座席転換装置が搭載されたことも特筆されます。

・阿武隈急行AB900系

2023年1月、2021年度に引き続き阿武隈急行の出場が2022年度も行われました。

今回は初の2編成4両が出場。

恐らく、2020年度導入予定であった同系が阿武隈急行線の被災関係で見送られた分であると考えております。

これにより、導入時から予定されていた5色の同系が全て揃いました。
しかし、阿武隈急行の車両は全10編成あり、従来車の8100系の置換が急務になっている為に今後も増備が続けられると考えておりますが、次回はどの様な外観で出場するか気になる所であります。

以上が2022年度のその他入出場となります。
予想したものを含め、ほぼ全てを振り返った形になります。

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・Y_TREport   牽引車に世代交代の波?

2023年3月半ば頃より、見慣れ無い機関車がJ-TREC横浜事業所に現れました。
形式等は確認出来ませんでしたが、恐らく新潟トランシス(株)又は北陸重機工業(株)より購入した構内搬送用機関車2両(恐らく72Tor70T機関車と56Tor45T機関車)と思われます。

新型の入換機関車が導入されたということは、置き換えられる車両がある可能性があります。

今回のY_TREportは、初回記事で特集した牽引車を再度ご紹介しながら、現牽引車の置き換えの可能性を考えてみました。

・現牽引車紹介

現在、3種類の牽引車が活躍しています。
この項では、現在の牽引車をご紹介いたします

① DD55形ディーゼル機関車

当noteではお馴染み、池子(神武寺)側に連結される機関車。
池子(神武寺)駅構内は非電化の為、深夜の車両入換もこの機関車が活躍する。
入出場においてなくてはならない機関車。

元々は神奈川臨海鉄道に所属していた機関車であり、2000年代にJ-TREC横浜事業所へやって来た機関車。

近年まで色褪せた状態で様々な新造車両を牽引した機関車だが、2021年12月の出場からお色直しを実施。

オレンジがやや明るくなり、現在もその姿を保っている。

② 7200系

こちらも当noteではお馴染みの車両。
入出場時は金沢八景側に連結されディーゼル機関車の後方支援を行う。

元々J-TREC横浜事業所※1で製造された車両。
1980年代に東急線各地で活躍した後、長野県の上田電鉄※2に譲渡。
2000年代に入り、デハ7252※3とデハ7254※4がJ-TREC横浜事業所に譲渡され、事実上の里帰りを果たした。
外観においては上田電鉄時代の面影を所々見ることが出来る。

※1当時は東急車輛製造
※2譲渡当時は上田交通
※3上田時代はモハ7252
※4上田時代はモハ7254

ダイヤモンドカットで東急ファンを中心に多くの鉄道ファンから愛されたこの車両。
2023年現在、豊橋鉄道で現役だが、関東でダイヤモンドカットの現役車が見られるのはここだけであり、新車輸送よりこの車両目当てに訪れるファンも少なからず存在する。(たまたま通りかかった人が青春時代に見た車両が近くで走っていることに驚いた様子を見せた場面もあった)
デハ2両が譲渡されたが、1両は半ば強制的に方向転換して使用されている。
それ故に構造がかなり複雑で故障も多いという話も聞く。

③ D502形ディーゼル機関車

主に工場内の入換がメインであり、工場外へ出ることは滅多に無い。
しかし、2021年2月11日の相鉄12000系(12006編成)出場時に7200系の後方に連結され金沢八景〜池子間の輸送に充当されたことがある※5。

※5DD55形15号機機関車の不調により、万全の体制を取る為に連結した模様

なお、これ以降工場外へ出たことは無い。


今回紹介した3種類の牽引車、これらの牽引車は車籍を有していない為に構内から外へ出る事が出来ません。

したがって、この牽引車…

「車両」ではなく「機械」

となる訳です。

しかし、入出場時は金沢八景〜池子(神武寺)間は京急逗子線の線路を走ります。
なぜ、車籍を有していない機械が京急線を走る事が出来るのでしょうか?
この答えを次項で解決しましょう。

・入出場車両以外の列車を立ち入り禁止にする「線路閉鎖」

普段乗っている鉄道は車両だけでなく、線路や信号があって初めて成り立つ乗り物です。

早朝から深夜まで年中無休で走るので、維持する為に定期的なメンテナンスが必要となります。
これは普段乗っている車両だけでなく、車両を載せる線路等も定期的なメンテナンスが無いと大事故に繋がりかねません。

ただし、本数の多い区間等は通常の列車が走りながら使い古したレールを新しいものに交換することは困難を極めます。
そこで、列車が走らない深夜等に行うのですが、作業員が線路に入り作業中に突然列車が来て接触等になると最悪死亡事故になる可能性もあり、実際に至る所で発生している痛ましい事故になります。

そこで取られる措置が「線路閉鎖」となります。

この措置をとることで、その区間は列車6※進入禁止となり、作業員が安全に線路内に立ち入って作業出来るだけでなく、保守車両等の機械類も線路に立ち入る事が出来ます。

※6お客さんを乗せて駅間を移動するものを指す

前述の通り、現在の牽引車は車籍を有していない保守用車同等の機械となります。
その為に見た目は電車や機関車でも、入出場時は京急線の金沢八景〜神武寺駅間を保守用車同様に線路閉鎖を行い、京急線の列車の進入禁止措置を取ることで初めて牽引車と入出場車が工場外に出ることが可能となります。

ただし、京急線内は線路、信号を含め京急電鉄の所有物となる故、入出場時は京急電鉄の職員が添乗として乗車します。

・現牽引車置き換え候補

新型牽引機関車が現れた今回、どの牽引車が置き換え候補になるか、置き換え度が高い順から予想してみました。

  1. D502形

  2. DD55形15号機

  3. 7200系

まず、真っ先に置き換わる可能性が高いであろうD502形
普段は工場外へ出ないかつ、東急車輛製造時代から活躍機関車であり年数も相当経っているのは想像に難くありません。
最近は、姿すら見受けられない場面が増えて来た為に、真っ先に置き換えられる機関車でないかと考えています。

次に、置き換わる可能性が高い牽引車としてはDD55形15号機。
2021年11月から12月頃にかけてお色直しされたが、車齢も古く決して万全ではない状態と考えています。

そして、最後は7200系。
牽引車唯一のオールステンレス電車ではありますが、製造から相当年数が経っているだけでなく、故障により後方支援を諦めざるを得ない状況になるのも過去に発生しています。

故障により7200系による後方支援を諦めた時のJR東日本E353系(S117編成+S206編成)出場。(2018.11.22)
ここ数年、この様な事象は発生していないが、例外中の例外で発生した場面も過去にある。
※ N39(@N200656667)様のご厚意により画像を使用しております。
※ 如何なる場合において画像の使用は固くお断りします。

そして、電車である故に、非電化である工場内の大半と池子構内の入換は不可能というデメリットも抱えています。

置き換えられる可能性が高い順から紹介してきましたが、現牽引車全てが今回の新型機関車に置き換えられる可能性もあり得ます。
しかし、全てが置き換わってしまうとある問題に直面する可能性が高くなります。

・京急線六浦〜神武寺間の勾配問題

前々項にて述べた通り、入出場時は京急線を走ることになります。
そこで直面するのは六浦〜神武寺間の勾配。

J-TREC横浜事業所を出場し、六浦駅まではほぼ平坦を走ります。
しかし、六浦〜神武寺間は山間部を走る為、急勾配が存在します。

ディーゼル機関車のみの牽引となると、JR東日本向けの多くの出場車を除き編成両数が長くなればなるほど、牽引力不足が懸念されます。

京急線を走る為、坂を登れずに立ち往生となると翌日の京急線に影響を及ぼす可能性も否定できません。

今回の新型機関車の牽引力が従来機関車以上であれば話は変わりますが、この勾配問題は池子までの移動に際して切っても切れない関係かと思われます。

神武寺駅から六浦方面へ向かう線路。
ここから急な勾配が始まる区間でもある。

・新年度以降に答え合わせが出来るのか?

現在、新型機関車は車番含め不明な点が多い為に今後どの様な用途及び形式になるか分かりません。

しかし、現有車両のどれか又は全て置き換わる可能性、新年度から牽引車が変更になる可能性が現実味を帯びてきました。

ただし、大凡の動きが判明するのは新年度以降になると思われます。

引き続き、定期的に現地へ赴いていますが(健康診断であと一歩のレベルで引っかかるので、本当に痩せないといけません!)、都合上行けない日も多々あります。

また動きがありましたらこのnote及びTwitterで報告出来ればと考えております。

・最後に

この記事をもって、2022年度の更新は終了となります。

今年度は新型コロナウイルスの反動と半導体不足もあり更新間隔が大きく空いた時期もありました。
来年度も依然上記の状態が続くと考えられる為、現状維持又は少し増える予想をしています。

2023年から少しばかり方針を変更させていただきましたが、来年度も「行ける時に行く」を目標に活動を続けますのでより一層のご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

2022年度、このnoteをご覧頂いた全ての方に御礼申し上げます。

2023年3月26日
Y_TREport


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