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【J-TREC出場】【小田急電鉄】5000形(5063編成) J-TREC横浜事業所出場 2024年10月24日

☆4年2か月振りの横浜発小田急線行き☆

10月24日未明、小田急5000形がJ-TREC横浜事業所を出場しました。

2022年8月20日以来、約4年2か月振りの出場となり、久々に横浜製の小田急電車が登場しました。

小田急電鉄の車両は、原則愛知県にある日本車両豊川事業所で製造されます。

しかし、この系式では地下鉄直通用の4000形同様、J-TREC横浜事業所でも製造に関わっているのが特徴です。


〇出場時のようす〇

今回の出場において前回までと違い、ECOMOのプッシュプルで出場しました。

過去の記事において、原則出場時は重連、入場時はプッシュプルと記述しました。

しかし、今回は10両固定編成と機関車含めると200m越える長さになること、工場の敷地及び他の車両も同時並行で製造されていることから、入換の関係で出場時もプッシュプルになったのではないかと推測しています。

前は黄色のECOMO2号機
パンタグラフは輸送途中で上がらない様に紐でしっかりと固定
後ろは青色のECOMO1号機
前面が養生されている5000形の助手側に何か乗車している模様
各先頭車両の助手側には小田急電鉄のキャラクター「もころん」が乗車。
暗闇の中から照らされている「もころん」が出てくるのも少しホラー?

今後、10両固定編成の車両は先日入場した東急5000系を含めプッシュプルが通例となるのか不明ですが、連結方式は編成長や入換の都合によって適宜変えている可能性が高そうです。


⬜︎過去の出場を振り返る⬜︎

前回は2020年に出場しました。

2020年度における小田急電鉄の出場は、同年7月と8月に行われています。

この項では、2020年に出場した5053編成と5054編成を簡単に振り返ります。

・2020年7月17日出場 小田急電鉄5000形(5053編成)

この年、J−TREC横浜製造の5000形が初めて出場。

この日の未明、横浜発の小田急5000形が初めて線路上に現れました。

この晩、横浜から5000形が初めて出荷された
今回出場同様、前面ガラスとライト部分がしっかり養生されている

今回(2024年)の出場同様、先頭部は前面ガラス及びライト部分にカバーが覆われておりました。

当時絶賛活躍中であったDD5515と7200系電車に繋がれ深夜池子まで回送。

昼間から翌日未明にかけてのJR線内は、DE10形とEF65形にエスコートされ、小田急線とJR線の受け渡し駅である松田駅まで甲種輸送されました。

甲種輸送DL編
DE10形機関車が10両編成の車両を引っ張る
甲種輸送EL編
久々ということで多くの鉄道ファンが集まったが、通過直前に鳥が優雅に通過した

・2020年8月20日出場 小田急電鉄5000形(5054編成)

翌月も出場。

この出場に伴い2020年度の同形による増備が完了しました。

暗闇に煌めく銀色のステンレス
5054編成に養生されたのはスカート部分のみ
前面ガラスやライト部分は養生されなかった

8月の出場は、今回出場及び2020年7月出場時の様な前面部が覆われた形ではありませんでした。

急行灯が付けられ方向幕も変えられたパターンはここ数年間でもこの出場のみ

そして、深夜回送では7200系側に急行灯が点灯

方向幕も当時お馴染みであった「回送」から「東急車輛−池子※」と表示されました。

※池子駅は京急逗子線神武寺駅隣の線路のことを指します。
この駅がJ−TRECの機関車とJRの機関車の中継地点となり、機関車の交換が行われます。

2024年11月現在において、7200系が急行灯を点灯しながら京急線内を走ったのはこの出場のみであり、深夜としては非常に珍しい場面となりました。

新鶴見信号場から沼津経由の松田駅まではEF65形電気機関車が担当


▲今回の出場で新たに取り付けられた機器▲

今回出場した5063編成において、小田急電鉄の営業車両では初めて線路及び架線のモニタリング装置が取り付けられました。

6号車には線路のモニタリング措置が取り付けられている。
3号車の屋根上には架線モニタリングを行う機器の様なものが取り付けられた。
3号車に設置された機器の拡大。

この編成の線路モニタリング装置は6号車(サハ5263)、架線のモニタリング装置は3号車(サハ5363)9号車(デハ5013)に装備されました。

小田急電鉄では、従来線路や架線の検査をクヤ31形(テクノインスペクター)という総合検測車が担っております。

過去に1000形、現在では8000形が電源供給車両の牽引車となり、小田急全線を2日間に渡って検査します。

小田急版ドクターイエロー「クヤ31形(テクノインスペクター)」
モーターの無い制御車であるために自走が出来ず、1000形(現在は8000形)から電源供給を行いながら走行する

この車両、東海道・山陽新幹線のドクターイエローと役割は似ており、走行しながら線路や架線の状況をチェックし次の工事計画へ繋げる役割をしています。

しかし、今回出場した5063編成がクヤ31形総合検測車の役割を担う装置が取り付けられたことにより、営業車両での営業中の検測が可能となり、クヤ31形の役割が失われる可能性があり得ます。

今後は移行期間として暫く5063編成とクヤ31形が並行して検測が考えられますが、営業車両による検測方法が確立すると、近い将来クヤ31形の行方も気になります。


◎Y_TREport  モニタリング装置あれこれ◎

今回の特集はモニタリング装置の簡単な解説。

・営業車両にモニタリング装置の車両が増える

近年、JR東日本を中心に各鉄道会社で線路や架線を検査するモニタリング装置が設置されている車両が増えました。

従来、列車を走らせたり止めたりする機械が多く装備されている営業車両の床下機器。

これらを検査する機械が大型であり、営業車両の床下機器等に取り付けるスペースがありませんでした。

そのため、営業車両とは別に総合検測車という専用車両を製造し、この車両が本線上を走行しながら検査するのが主流でした。

しかし、技術の革新に伴い機械が小型化。

営業車両の床下機器にも取り付けられることが可能となり、営業運転中において検査が可能になりました。

最近、前述した東海道・山陽新幹線用のドクターイエロー(923形)が引退するというニュースがありました。

東海道・山陽新幹線の営業車両(N700S系)に架線や線路をモニタリングする装置が取り付けられた車両が登場することから、20年選手かつ最高速度285km/hの専用のダイヤを作らなければならないドクターイエローから最高速度300km/hかつ一般の営業運転中でも検測出来るN700S系に置き換わるものと考えられます。

・小型化されたモニタリング装置

線路を検査する機械が小型化され営業車両で取り付けられたモニタリング装置。

駅のホーム等で電車を待っていると、車両から線路へ向け赤い光が照射されていることにお気づきだろうか?

『線路モニタリング装置』は、枕木の一本毎の状態や線路に取り付けられてるボルトの状態を1本毎に測定する軌道材料モニタリング装置と、カメラを用いてレールや枕木を固定する金具の状態やレール同士をつなぐボルトの状態を撮影する軌道変位モニタリング装置の2種類が設置されています。

○部分が軌道変位モニタリング装置
□部分が軌道材料モニタリング装置

この2種類の装置うち、軌道変位モリタリング装置は、様々線路(待避線や折り返し時)に入線しても自動的に位置を検知し、無人で検測しながら高品質なデータを提供できます。

一方、軌道材料モニタリング装置は、高速走行においても枕木1本毎の状態を撮影することが可能だけでなく、レールと枕木をつなぐボルトやレール同士をつなぐボルトの不具合も自動で判別出来ることができます。

両装置の拡大
軌道材料モニタリング装置の拡大
この装置の底面にカメラが設置されており、走行中白い光が発光する
軌道材料モニタリング装置は、線路同士の継ぎ目のボルトや枕木とつなぐボルトに異常がないか、つなぎ目のボルト方向へ赤色・(矢印部分)の光が照らしている
矢印部の拡大
レールの『内側』に光を照らしていることが分かる

これらの装置で測定した結果データを元に、保線担当の営業所がタイムリーかつピンポイントで作業することが可能であり、線路保守作業の効率化も期待できるものとなります。


・最後に 今年度はもう1編成 小田急車両が出場する気配?

今年度は再び小田急電鉄の車両が横浜から出荷される予定であることが筆者の方でも確認しております。

この出場が実現されると、2022年度以来の同一年度に2編成が出場される出来事となります。

次回の5000形はどの様な形態で出場するか?

次回も注目です。


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