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【J‐TREC出場】【京成電鉄】3100形(3157編成) J-TREC横浜事業所出場 2023年6月13日

・1年9ヶ月振りの横浜発京成電鉄増備車

6月13日、京成3100形がJ-TREC横浜事業所を出場し、所属先の宗吾車両基地まで回送されました。

2021年9月22日以来、約1年9ヶ月振りとなった今回の出場。
前回の出場は以下のリンクからご覧になれます。

・出場時の様子

今回の出場は、同形が京急線内で営業運転をしている為、自走にて回送されました。

1年9ヶ月振りの出場。
営業時間中の出場である為に多くの人が集まった。
今回の出場より走行線区がデジタル無線(SR無線)化になった為、旧来のIR無線の設置が見送られている。

・今年度の京成電鉄の車両増備は横浜製造

前回記事にて触れようか迷って見送りましたが、5月18日に発表された京成電鉄の設備投資計画によると、今年度は3100形1編成導入と次期新造車3200形の設計を進めることが掲載されました。

・3100形 入出場の振り返り

京成電鉄の車両は愛知県豊川市にある【日本車輌製造】と【J-TREC横浜事業所】で製造されています。

ここでは、今出場を含め3100形の入出場を振り返ってみましょう。

・3151編成:日本車輌製造(入場:2019年9月24日未明 出場:2019年9月26日〜27日、30日)

3151編成は、日本車輌製造の最寄りである豊川駅からJR線を北上しながら甲種輸送されます。

しかし、JR線(1067mm)と京急線・都営浅草線・京成線(1435mm)では線路幅が異なる為、仮台車を装着して輸送しなければなりません。

仮台車のままJ-TREC横浜事業所へ入場後、本来の台車に交換され、J-TREC横浜事業所を出場しました。

J-TREC横浜事業所に入場する3100形。
先頭が7200系になる貴重な機会。

1号線(都営浅草線)系統の車両は原則自走での出場となりますが、完全新製車両であり営業運転前で走行実績もない為に自走することが出来ません。

その為、普段京急線を走らない3600形(3668編成)が9年振りに京急線へ乗り入れ、新型車両の牽引車を担当しました。

横浜駅の代表的な施設の横を通る3600形。
3日間京急線を走ることになる。
今は撮影出来なくなってしまった場所から。

これは、営業運転開始による自走回送が可能になるまで実施され、3両、3両、2両と3日間に分けて輸送されました。

自走している様に見えるが、実際は3600形に押されているだけである。
中間車が「先頭」になる貴重な場面。
通過列車の待ち合わせをする為に停車している牽引車両。
電気系統を引き通す為か、コードが車外に出ている。

・3152編成:J-TREC横浜事業所(出場:2019年7月24〜26日)

実は、同形最初の実車が出てきたのは3152編成となります。

3151編成同様、営業運転前であり、走行実績がない為、3600形(3668編成)を牽引車とし、3151編成と同様、3日間に分けて輸送されました。

9年振りに京急線を走った3600形。
1日だけ京成パンダが添乗する場面が見られた。
中々見る事が出来ない異種併結

・3153編成:日本車輌製造(入場:2020年7月9日未明 出場:2020年7月13日)

3151編成と同様、仮台車を装着しJ-TREC横浜事業所に入場後、本来の台車に換装しJ-TREC横浜事業所を出場しました。

日本車輌製造から機関車に牽引され関東にやって来た3100形。
逗子〜池子(神武寺)間が非電化の為、DE10形ディーゼル機関車が任務を遂行する。
深夜はお馴染みの7200系が工場まで支援する。
この時までは仮台車の状態である。

この頃より同形の営業運転が始まっており、走行実績もあった故に自走にて回送されました。

仮台車から正規台車に交換し自走で出場。
踏切を颯爽と通過する3100形。
この時は雨だった。

・3154編成:J-TREC横浜事業所(出場:2020年7月2日)

この編成の出場より自走での運転となりました。

同形の営業運転が始まったことから、営業と同じ状態で回送出来ると判断されたと思われます。

出発前。
営業運転も始まったことから、この編成より自走回送となる。

・3155編成:日本車輌製造(※J-TREC横浜事業所への入出場なし)

この編成のみJ-TREC横浜事業所へ向かわず、越谷貨物ターミナルまで甲種輸送された後、陸路にて北総鉄道印旛車両基地へ向かい。

同車両基地にて台車の換装作業を行い、自走にて宗吾車両基地へ回送されました。

新製時に横浜へ寄らず宗吾車両基地へ向かった3100形はこの編成のみとなります。

・3156編成:J-TREC横浜事業所(出場:2021年9月22日)

詳細は以下のリンクへ。

・3157編成:J-TREC横浜事業所(出場:2023年6月13日)

平日は毎日隣の線路を走るが、一番外側の線路を走るのはこの回送時のみである。

今回の出場により、日本車輌製造分が3編成、J-TREC横浜事業所製造分が4編成となり、横浜製造分が上回ることとなりました。

なお、上記にてご紹介した過去の出場履歴から見ても、今回出場した3157編成は同形奇数編成として初めての横浜製造となります。


・京成3050形の成田スカイアクセス線専属撤退により注目される2形式

今回の3100形の出場により注目されるのは、3050形の成田スカイアクセス線専用車の撤退です。

2023年6月現在の成田スカイアクセス線専用車両は、3100形6編成・3050形1編成。

しかし、今回の3157編成が出場したことにより、3100形が7編成となり成田スカイアクセス線専用車両が統一されることになります。

そこで気になるのが3050形の去就。

3050形は2010年の成田スカイアクセス線開業に伴う専用車両として製造された車両。

3100形導入後は順次京成本線系統への転属となり、他の3000形同様の赤色と青色の帯に変更となっています。

2010年の成田スカイアクセス開業時から3100形登場までのデザイン。
3100形に合わせる為に順次デザインが変更となった。

3100形登場により当初のブルー帯からオレンジ帯へ変更となってから早4年、3050形のスカイアクセス線専用車は3100形へ完全に引き継がれることになり、近いうちに見納めになると思われます。

京急線京急蒲田以南に乗り入れる京成電鉄所属車両は原則成田スカイアクセス線専用車となる為、
3050形の京急蒲田以南乗り入れは異常時等のイレギュラーがない限り、当分見納めになるだろう。

・床下機器周りが50年選手の京成3400形と3600形

この項では廃車により数が少なくなっている2形式をピックアップしてみようと思います。

・3400形

3400形は1993年に登場した車両であります。

車体は同時期に登場した3700形をベースとしている為に3700形と同じ車両かと思われがちですが、実は全く似て非なる車両となります。

  • 3400形は鋼製車両

3400形は3700形のステンレス製とは異なり鋼製(鉄)で製造されました。

これはとある事情により車両メーカーではなく、整備、改造を行う株式会社大栄車輌(現:株式会社ツーホース)が鋼製車両しか製造出来なかったのが主な理由。

その為に車体全体に塗装が施されています。

ただし、この車両の完全新製は車体のみで、その他はある車両が関係してくることになります。

廃車が進み、2023年6月現在で残り2編成。
3400形同士の並びもまもなく見納めになる可能性もある。
  • 初代AE形と3400形の関係

実はこの車両が誕生した経緯として、初代AE形が切っても切れない関係となっています。

宗吾車両基地に保存されている初代AE形。
数奇な運命を辿り、とあるキャラクター(ガチャピン)に似ているこの顔。
台車類は全て3400形に流用された為、別車両の台車が使われている。
3400形の廃車が進み、発生品で正規台車に交換して欲しい所である。

初代AE形は、成田空港の開港に伴う空港アクセス車両として1972年に製造されました。

しかし、製造の翌年に開港予定であった成田空港が様々な理由で大幅延期になるどころか、宗吾車両基地に留置されていた旧AE形が放火被害に遭う等、本来の空港アクセスに就けられないまま6年が経過した1978年にようやく成田空港が開港。
本来の空港アクセスとしての役割を果たすことになります。

しかし、成田空港の空港ターミナル直下への乗り入れと車体更新が迫り、一時は車体更新を選択した京成電鉄でしたが、AE100形の導入による置き換えが決まり、徐々に空港アクセスの役割から退くことになります。

しかし、初代AE形が製造から30年経っても車体以外の機器に大きな劣化が見られなかったことから、これらの機器類の再び利用する車両として3400形が誕生しました。

その為、3400形は初代AE形の生まれ変わりと言っても過言ではありません。

現在も集電装置(パンタグラフ)等の一部を除き初代AE形の遺伝子が引き継がれています。

パンタグラフは当時の下枠交差型からシングルアーム型に交換されてしまったが、
クーラー類は初代AE形のお下がり。
床下機器類も基本は初代AE形のお下がり。
台車に至っては全品初代AE形のお下がり。
台車枠が年代モノと伝わってくる。

しかし、時代の波に抗うことは出来ず、機器類の劣化により3100形導入による3050形の本線転属による玉突きで廃車が進んでいます。

現在2編成が京成本線を中心に活躍しておりますが、デジタル無線(SR無線)化しているのは1編成のみであり、未対応の1編成が今回の3100形の出場により廃車になる可能性が高くなっています。

・3600形

3600形は1982年に登場した車両です。

初代AE形で実績のあった界磁チョッパ制御かつT形ワンハンドルマスコンを京成の通勤車で初めて採用しました。

登場当初は6両編成であり、先頭車が制御車の故に京急線へ乗り入れが不可能な車両でしたが、1997年頃から8両編成に組み替えられた際に、余剰となった先頭車6両を一つの編成とし、一部先頭車を制御車から電動車化した為、京急線へ乗り入れる唯一可能な編成が誕生しました。

一時期は芝山鉄道のリース車として活躍する等、バラエティー豊かな時期もありましたが、現在は廃車が進み8両編成は消滅。
8両編成から登場当時の6両編成に再び組み替えられた後は登場時のファイヤーオレンジに変更。
組み替えの際に余った寄せ集め先頭車は4両編成となって、金町線や東成田線・芝山鉄道線で活躍しています。

リバイバルとして登場時の姿になった3600形。
現在は、本線の普通列車を中心に活躍している。
今回の記事で欠かせない車両となっている3668編成。
短編成で京急線乗り入れ可能車である為に、新型車両の牽引に重宝される車両である。

現在、京成線はデジタル無線となっており、3400形1編成を除き、全車両がデジタル無線対応となっています。

昨今の事故等による車両事情が怪しい京成線ですが、未対応の3400形を除き、本格的な一斉置き換えは来年度登場が予定されている3200形がこの車両等の命運が握られていると感じいます。

少しばかり時間の猶予はありますが、数も少ない車両達なので、行ける時に行くのがベストかと思われます。

※工場内等の画像は過去に開催されたイベントにて撮影しております。

・まとめとお知らせ

今回は、3400形と3600形をピックアップしましたが、来年度以降に次期新型車両である3200形が登場すると、今回紹介した2形式に加え3500形の去就が突如として怪しくなります。

今回の出場により、今年度の京成電鉄の車両増備は終了となりますが、来年度に新型3200形の登場がほぼ確定的の中、今後の車両計画に目が離せない展開になってくると思われます。

・お知らせ

前回記事においてお知らせしておりました新型牽引車ですが、今回自走出場であったことを踏まえ次回記事以降に掲載となりました。

先日京急逗子線内の試運転が行われ取材済みですが、今回の出場が自走での出場であった故に、初の出場時に合わせレポート報告したいと考えておりますので今しばらくお待ちください。






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