【J‐TREC出場】【フィリピン国鉄 マニラ南北通勤鉄道】EM10000形(第2編成)J-TREC横浜事業所出場 2022年4月25日~4月28日
・約半年ぶり、フィリピン向け車両が出場
4月25日から28日にかけて、マニラ南北通勤鉄道EM10000形がJ-TREC横浜事業所を出場し、輸出先の港まで陸送されました。
2021年10月18日以来(前回(第1編成)出場記事)の出場であり、年跨ぎで色々と調整が続いていた同車がようやく出場しました。
・フィリピン向け車両の出場経緯とは?
この出場は、独立行政法人国際協力機構(JAICA)とフィリピン政府との有償資金協力に基づき計画された日本の政府開発援助事業であり、首都マニラのツツバンからブラカン州のマロロスを結ぶ南北通勤鉄道(総延長38㎞)の車両となります。
2022年3月18日、住友商事株式会社と株式会社総合車両製作所はフィリピン共和国運輸省により、南北通勤鉄道の延伸事業向けの鉄道車両納入プロジェクトにより8両編成×38編成、計304両の車両受注をした一環と思われます。
→フィリピン南北通勤鉄道の延伸事業向け鉄道車両304両受注について
今後も横浜で製造されると思われますので、第3編成以降も陸路にて出場すると思われますが、現時点(5/3)では、車両自体近隣道路から見える範囲に留置されていない為、次回は当分先かと思われます。
残り6年で36編成になるので、6編成/年出場しないと間に合わない計算ですが、今後の動向に注視する部分かなと思われます。
・車内を少し観察
今回、待機時間を利用し外側から車内を見てみました。
目視の限り、赤色のつり革とJR東日本E231系でも採用されている鉄パイプの網棚が使用されていると思われます。
ドア上のモニター案内は1画面のみの搭載ですが、画面が追加できる様に準備工事がされている形跡も発見出来ました。
今後2画面にする計画もあるのでしょうか。
・日本と外国で表記が異なる床下機器
今回少しばかり注目したのは床下機器。
床下機器には多く日本製が採用されている同車ですが、よくよく見ると表記若干異なる部分がありました。
日本の電車の床下は、日本語で表記できる部分は日本語で表記されていますが、今回は外国の電車ということで全て英語表記というのが特徴です。
例えば、コック類。
ブレーキを作用させる元になる圧縮空気の通路を開閉するコックを日本語では【元空気(ダメ)コック】と表記されます。
表記名は各事業者差異があるにせよ、「日本語」で表記されるコックです。
しかし、日本で製造されても実際に走るのは外国。
日本語の表記をされても言語が分かりません。
したがって、日本語での「元空気ダメコック」英語訳したものが以下の画像となります。
英語表記になるとSUPPLY RESERVOIR 貯蓄と供給です。
(電動圧縮機で)貯蓄された(圧縮空気)を供給する管ですから、意味合いは日本語の元空気ダメコックと同じになります。
その他、車両のブレーキを作用させるブレーキコック(BCコック)も英語表記では以下の画像の通り。
日本の鉄道車両では、殆どのコック類が白色:圧縮空気、パンタグラフ関連、赤色:ドア又はブレーキ関連と分けられています。
日本で製造された海外車両もこれに倣ってか、コック類が白色と赤色に分けられています。
しかし、ブレーキや圧縮空気と関係なさそうなパンタグラフが白色コックとなるのでしょうか。
現在の鉄道車両では電気によりパンタグラフを上昇しますが、昔の電車や下降の際は圧縮空気が必要となる為、白色のコックが採用されていると思われます。
その為にパンタグラフも白色コックが採用されておりますが、英語ではほぼ直訳となっている部分が、他の表記名と比べて単純なのかなと感じます。
これ以上の説明は、鉄道車両の制御等に繋がってしまい、今記事と関係ない範囲まで広がってしまうので今回はここまで。
また機会がある時にご紹介をしようと思いますので、その時までのお楽しみ。
・今出場のまとめ
最後に、全4日間の出場をダイジェストでまとめます。
・初日
初日は雨上がりの出場。
通例だと先頭車1号車からスタートする同車であるが、予定通り先頭車と中間車で出場。
初日のみ、マスコミ関係者と広報の方が動画撮影されていたので、今後メディア媒体又は動画サイト等で公開されるのではないかと思われます。
自動車で追跡していた為、恐らく輸出先の港まで追跡取材していたと思われる。
・2日目
この日は、隣を走る京急線が大幅遅延かつ、東急5080系(5190編成)の出場があった影響により、5080系出場後、陸送がスタートした。
その為、各ポイントでの待機時間は僅少となった。
・3日目
3日目は小雨の中の出場。
フィリピン陸送は、天候に恵まれる日が少ないのは前回からの課題。
・最終日
最終日は、色々と情報を聞きつけたかつ先頭車であった為、前回程ではないが、多くの人が集まった。