【J‐TREC出場】【JR東日本】E7系新幹線(F43編成)J-TREC横浜事業所出場 2021年7月2日~2021年7月10日
・6年ぶりに横浜市から新幹線車両
7月2日未明から7月10日未明にかけて、E7系新幹線がJ-TREC横浜事業所を出場し、船積み先の港(※)まで陸送されました。
※行先は道路や付近住宅街の関係で敢えて「船積み先の港」として表現しております。
2015年10月以来、約6年ぶりに横浜から新幹線車両が出荷されました。
7月の活動はこの陸送からスタート。
今月もよろしくお願いします。
・再び横浜で製造されたE7系
前回の2015年は、北陸新幹線金沢開業後の増備による新車製造でした。
それ故に、大規模な増発予定もないE7系新幹線が再び製造されることになったのでしょうか?
それは、2019年10月に発生した台風19号に起因します。
この台風、勢力が強いまま長野県を直撃。
記録的な豪雨で千曲川の水位が上がり氾濫、長野新幹線車両センターが浸水しました。
この車両センターに留置されていたE7系(※)8編成、W7系(※)2編成計10編成が水没したことは記憶に新しいかと思います。
※E7系はJR東日本所属の新幹線、E7系はJR西日本所属の新幹線。
水没したE7系、W7系は全車廃車。
JR東日本はこの水没で不足した車両を補うため2022年度末までに新造することが2020年度の設備投資計画で発表されました。
E7系はJ-TREC横浜事業所の他に、川崎重工、日立製作所でも製造されていますが、2019年の台風でJ-TREC横浜事業所製E7系は浸水により3編成廃車となっているため、今回はその代替製造分と思われましたが、所属表記が「幹ニシ」新潟新幹線車両センターの所属となるゆえに、上越新幹線用の可能性が高いと思われます。
これは、水没した車両を補充するために新潟に所属している編成の一部を長野に転属した穴埋めによる新造と分析する事が出来ます。
そして、J-TRECで初めて新潟所属の新幹線車両が製造されたことになります。
未だ、2019年の台風による影響でE7系の車両不足が続いており、新潟所属の同系も北陸新幹線の運用に就いています。また、編成番号も一部番号が欠番となっている為、今後のE7系の動向にも注目されます。
今後も横浜でのE7系の製造は続けられると思われます。
しかし、長野に転属した車両の穴埋めとして今後も上越新幹線用のE7系が製造されるか、水没した編成の補充分で北陸新幹線用のE7系が製造されるか不明であります。
・F43編成の陸送まとめ
ここでは、6日間行われた陸送の全日程をまとめてみました。
①7月2日未明(1号車:E723-43 2号車:E726-143)
7/2の輸送は1号車と2号車、数年ぶりの新幹線陸送に生憎の雨で条件の悪い中の施行でした。
1号車出場後、最初の難関である京急線の踏切で妻面側の車端部が踏切の柵に接触するというアクシデントがありましたが、初回もあり慎重に作業が行われました。
☆1号車☆
1号車は普通車の先頭車。
雨が強くなる中、狭い道での右折、左折ということでかなりゆっくりな速度で走っていきました。
今回は新たに荷物室が設定される為か、一部窓が塞がれた状態になります。
☆2号車☆
2号車は普通車。
京急線の踏切と同等のテクニックが必要となる交差点を曲がる新幹線車両を見るために移動。
交差点を曲がる新幹線が安易に見られる光景ではないのと、基本高架橋を走る新幹線を上から見下ろす機会は少ないです。
新幹線の屋根が見られるのも陸送の醍醐味かと思います。
②7月3日未明(3号車:E725-43 4号車:E726-243)
7/3の輸送は3号車と4号車。
工場近隣を走る京急線が大雨でダイヤが乱れた影響により、予定時間から大幅に遅れる懸念がありましたが、概ね時間通りの施行となりました。
雨が次第に強くなるのと、トレーラー台車の不調で一時立ち往生が発生した中での施行でした。
☆3号車☆
3号車はパンタグラフ付き普通車。
パンタグラフが付いている為、歩道橋を潜れるのかなと思いましたが、心配することもなく通過しました。
E7系でパンタグラフが付いている車両は、3号車と7号車のみ。
案外貴重です。
因みに、①で行われた1号車、2号車と合わせて1ユニットとなります。
☆4号車☆
4号車は2号車と同様の普通車。
グリーン車とグランクラスを除く全車が荷物置き場になる部分の窓が一つ埋められた状態で出場しています。
設計変更が出来ない為か新造車でも既存の窓を埋める形で設置されています。
③7月6日未明(5号車:E725-143 6号車:E726-343)
7/6日未明の輸送は5号車と6号車。
初日、2日目と雨天の中での施行であったが、この日は雨も全く降らず、比較的良好な条件下で施行されました。
☆5号車☆
5号車は普通車。
2号車や4号車と変わりないが、お手洗い・洗面台スペースが設置されている。
②で行われた4号車と合わせて1ユニットとなる。
☆6号車☆
6号車も普通車だが、車販準備室が設置されている。
狭い交差点も速度を調整しながらゆっくりと左折していきます。
④7月8日未明(7号車:E725-443 8号車:E726-443)
7/8未明の輸送は7号車と8号車。
1日休みを挟んで後半戦がスタート。
作業も初日に比べて徐々に慣れているようで、交差点もスムーズに曲がれているイメージでしたが、初日にアクシデントがあったせいか、運送会社から誘導員が増員されました。
☆7号車☆
7号車は3号車と同様のパンタグラフが付き普通車。
3号車に比べ、側面の行先表示器の位置が異なる。
奥にはシーサイドラインの線路がある。しかし、終電後なので真っ暗。
③で行われた6号車と合わせて1ユニットとなる。
☆8号車☆
8号車は普通車。
2号車や4号車と特に変わりない。
⑤7月9日未明(9号車:E725-243 10号車:E726-543)
7/9未明の輸送は9号車と10号車。
初日から号車順通りに陸送された同系は、この日だけ10号車から先に出発しました。
置き場の関係なのか、単なる手違いなのか定かではありませんが、当記事では号車順通りに紹介します。
☆9号車☆
9号車は普通車。
5号車と同様にお手洗い・洗面台スペースが設置されている。
④で行われた8号車と合わせて1ユニットとなる。
☆10号車☆
10号車は普通車。
2号車、4号車、8号車とは屋根の形状が若干異なる。
屋根上の高圧線引き通しがこの車両で終わる為の処理と思われます。
交差点の左折時における新幹線車両の外側とガードレールの間は、人間一人が入れる程度。
相当なドライビングテクニックが要求される大型輸送です。
⑥7月10日未明(11号車:E715-43 12号車:E714-43)
計6回に分けて行われた新幹線陸送はこの日が最後。
初日同様に先頭車が走るということで、多くの人が駆け付けた。
☆11号車☆
11号車はグリーン車。
外観は一般車と変わりないが、屋根上の高圧引き通し線が無いことや車内が大きく異なる。
☆12号車☆
いよいよ、最後の車両が交差点を左折する。
12号車はグランクラス。
先頭車故に、妻面側に列車無線アンテナが設置されている。
初日の1号車とは異なり、先端部に養生がされていた。
初日のトラブルが関係しているか否かは不明だが、今陸送で養生された車両はこの車のみである。(トラブルになった箇所とは異なるのですが…)
⑤で行われた9号車と合わせて1ユニットとなる。
・まとめ
今回は、6年ぶりの新幹線陸送ということで全6日間の日程を記録しました。
梅雨の時期と重なり大雨の日もあって大変な撮影でしたが、周辺の方々によるご協力に成り立った記録であることは変わりありません。
この場をお借りして感謝申し上げます。
筆者自身も初めての陸送記録。
スケジュール調整と天気に左右される中ではありましたが、貴重な記録が出来てとても有意義な時間を過ごせたかなと思います。
今後は、鉄路での出場の他、陸送での出場記録も出来る範囲でご紹介する予定です。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。
今後とも不定期ですが更新していきますので、今後もよろしくお願いします。