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作って終わりではない、自走する自治体のビジョンとは ~ 富山から始まる新しい未来 ~

2021年はNEWPEACE thinktankの新たなチャレンジの年でした。
そして新しい年が始まりました。今年はどんな年になるでしょうか。

NEWPEACE thinktankがビジョニング(ビジョンづくりと、PR戦略の策定・実装)をお手伝いしている富山県では、2022年からさらに様々な取り組みがはじまっていきます。これまでの振り返りと今後の展開について紹介します。

富山のビジョン実現に向けた動きが始まる

2021年2月、代表の高木新平が富山県成長戦略会議の委員に就任し、富山県の更なる発展に向けたビジョンや戦略を検討する活動に携わることになりました。

どの地方も抱えているであろう、人口減少・少子高齢化が進む中の新型コロナによる厳しい経済情勢に対して、富山ならではの勝ち筋を見出すため、民間出身の新田知事のもとに富山県内や県外で活躍する専門家や起業家10名が集まりました。

知事の「突き抜けた議論をお願いしたい」という呼びかけのもと、シナリオなしの自由な意見が飛び交う場で、報道陣に完全オープンとなっており、検討した内容は今後「富山県成長戦略アクションプラン(仮称)」としてまとめられます。

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(第5回目の開催以降YouTubeでも公開され、関係者以外にもフルオープンの場となっています)

2021年7月までの間に6回の会議が開かれ、8月には「真の幸せ」(ウェルビーイング)の向上を目指すことを核に、ブランディングやスタートアップ戦略などの6つの柱を軸とした「富山県成長戦略中間とりまとめ」が発表されました。

その後、成長戦略の実現のための来年度の予算編成に向けた6つのワーキンググループが開催される一方で、成長戦略のビジョンを知事が全市町村を回って県民と対話するビジョンセッションが行われ、富山の未来に向けた動きが本格的にスタートしました。

作って終わりのビジョンではない巻き込み型のPRとは?

この成長戦略のビジョンや戦略に関する広報については、7月に開催された第6回富山県成長戦略会議で代表の高木から、作って終わりのビジョンではなく、県内外の人々を巻き込んで実現に向けた継続的な展開とする仕掛けについて提案をしました。

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これまでの自治体が作る総合計画や長期計画で起こりがちなのは、①役所言葉でまとめられていて県民に伝わらない、②作るまでがゴールで認知されず浸透しない、③賛同が得られず実現する仲間いないといった状態です。

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これに対して、私たちはビジョン実現のためには、戦略の肝を知事自らわかりやすいメッセージで語りかけて、県民の理解と賛同を得て、外部とのつながりを築くことが重要と考えました。

そこで我々が提案したのは、発表をゴールとせずに、県内外を巻き込む継続的な相互コミュニケーションを創出する、「点」ではなく「線」的な展開を仕掛ける戦略でした。

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この提案を踏まえ、富山県では成長戦略のビジョンを「幸せ人口1000万 ~ウェルビーイング先進地域、富山~」と打ち出し、広報戦略の第1弾として県内の仲間を集めるために知事自ら全市町村を回る「富山ビジョンセッション」を10月からスタートしました。

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未来を描く対話の場「富山県ビジョンセッション」

2021年10月7日、第1回目の「富山県ビジョンセッション」が立山町にあるヘルジアン・ウッドで開催されました。会場には公募で集まった高校生から大人まで20名の方が参加いただき、多くの報道関係者に取材をいただきました。

県成長戦略実現へアイデア募る ビジョンセッション開始(北日本新聞)
https://webun.jp/item/7796215

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知事が「成長戦略中間とりまとめ」を参加者に説明し、その後は参加者からの意見や質疑応答・・・というのがよくあるプログラムですが、この形式だと「もっとこうして欲しい」「何故こうしてくれないのか」という行政と住民の対立構造が生まれてしまうことがしばしばです。

NEWPEACEthinktankでは、ビジョンセッションは県内の仲間集めの場という理想像から逆算し、ビジョンの共有と自分ゴト化に重きを置いたワークショップのプログラムを設計しました。実際に会場では参加者からの前向きな提案や参加者同士の対話や知事との対話が生まれ、「このような機会は今後も続けて欲しい」「自分たちが住む地域について前向きに考える人がこんなにいることが誇らしい」と言った声が次々とあがりました。

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また、セッションの内容はグラフィックレコーディングで可視化し、県のホームページで公開しています。撮りたくなる画があることで、参加者からのSNS投稿も盛んに行われています。

ビジョンセッションは10月から12月にかけて14市町村で開催され、一部の地域ではNEWPEACEthinktankもファシリテーターを務めさせていただきました。


「幸せ人口1000万」自走するビジョン

今、富山県内ではビジョンセッションを開催した一部の地域で集まった仲間たちが自発的にセッションを開催する動きが起きています。県の事業として仕掛けた施策ではなく、「自分たちが住む地域の未来を、自分たちで考えて行動しよう」という参加者の皆さんの想いから生まれている取り組みです。NEWPEACEthinktankが提案した、作って終わりではない巻き込み型のPRの成果が少しずつ生まれ始めています。

また、2021年12月には「幸せ人口1000万」に向けて、富山県内の若者たちが知事へ政策提案を行う「とやまワカモノサミット」が県主催で開催されました。高木から「これからの時代、これからの富山」という演目で基調講演を行い、高校生や大学生による「富山県成長戦略」の6つの柱に紐づく政策の提案が行われました。

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「幸せ人口1000万」を目指すビジョン実現に向けた取り組みは始まったばかりです。

今年3月には、県外の関係者を巻き込むために成長戦略のビジョンについて語り合うカンファレンスの開催を予定しています。こちらについては詳細が決まり次第、紹介したいと思いますが、2022年は富山の動きに目が離せなくなりそうです。

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