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本の空 「Letter」

この本の赤は。

深い森の中や、静かな夜を
照らしてくれるような色だと思った。

ふれると、布の、縦糸と横糸を微かに感じて、さらざらりと気持ちよい。
細い糸で織られた布なので、私の目では縦と横の糸はわからないのに。さわるとわかるだなんて不思議。

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皆川明さんが2011年8月から2020年4月まで、一週間に一度、綴られた言葉たち。
本の初めから又は終わりから順々に読んでゆくのもよいけれど、私は今は、偶然にひらいたページの言葉を読んでいる。

いくつかの言葉と出会い、閉じる。
そして、また出会う。

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本のあとがきと奥付の間に、何も書かれていない7ページがある。

一週間のリズムで生まれた言葉たちに必要だったスペースにも思えるし、
本を手にした人のための、自由な空白のようにも思っている。
自分だけの一冊になるための空白。

「Letter」著者:皆川明 装丁,本文デザイン:サイトヲヒデユキ 発行所:(株)つるとはな