2020.10 #2 - 12
ご報告です。夏から治療していた貧血が回復しました。赤血球たちはまるまるふっくらとしてくれたみたいです。しばらく定期的に検査は必要ですが、まずは一安心。
早起きは続いています。朝の空をよく眺めています。空があかるくなる時間が、とくとくと日々遅くなってゆくのを感じながら。そう思っていたら、もう冬至もすぎていたなんて。
さて、10月。再び始まった歌舞伎公演を観に、国立劇場へいってきました。大劇場、ひさしぶり。平櫛田中の鏡獅子。東山魁夷の雪原の絵。まず好きなものたちにご挨拶。
けれども一番、私が好きなのは大劇場のロビーの2階または3階から、1階の劇場入口付近を眺めること。この光景を、いつ見ることができるだろうと、春からずっと思っていました。コロナの前に比べると観に来ている方は少なく、ロビーは静か。ゆっくりと慎重に動きはじめたばかりで、まだまだ気を許すことはできないことを実感もして切なくもなるのだけれど、なにより、こうして公演が始まっていること。始めることができたこと。始めてくれたこと。
それが、うれしい。とても。
自分が感じたこの想いは、忘れないようにしたい。
2カ月経った今。状況は刻々と変化しているけれども、あの時の私の気持ちはちゃんと心のなかにあって、くっきりと思い出すことができます。よかった。
大劇場ロビーのシャンデリア。たんぽぽの綿毛みたい。
建物の外観は正倉院の校倉造りを模したもの。
提灯にあかりが灯っていたのも、うれしかったこと。
考えてみたら、今年は、この気持ちは忘れたくない、と思うことが、たくさんありました。
久しぶりに会えたときの気持ち。
美術館や博物館へ行ったときの気持ち。
映画館の椅子にすわったときの心地。
図書館の棚の本にふれたときの感触。
銀座を歩いたときの景色と想い。
憧れつづけるスカートのこと。
コーヒーのあたたかさのこと。
草木、木の実、道の花、海、レコード屋さん、毎朝の空。
ほかにもたくさん。
どの気持ちも、ちゃんと覚えておきたい。ずっと、ずっと。