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チームで人を受け入れる時にやって良かった6つのこと

過去にメンターやトレーナーなど、チームに人を受け入れる役割(いわゆるオンボーディングの担当)を何度もやってきました。
幸いなことに、どの方も組織内に溶け込んで一定の評価を得つつ、気持ちよく一緒に働けた方ばかりでした。

そこで今回は、これまで新しい人を受け入れる際にやって良かったこと(活躍していくために効果があったこと、受け入れた人から良かったと感想をもらったこと)を6つ紹介したいと思います。


1. 目標に「全員が◯◯さんと3回ずつ話す」という項目を入れる

これをやった当時にいたチームでは、毎週金曜日に翌週の目標を立てていました。
いわゆるスプリントプランニング一貫です(金〜木の1週間でスプリントを組んでいました)。

目標1: XXXを完成させる
目標2: YYYの計画を立てる
目標3: ZZZの準備が完了している

のような形で優先度順(数字が小さい方が優先度高い)に並べていたのですが、そこに

目標0: 全員が◯◯さんと3回ずつ話す

という特別な最優先目標を置いていました。
これは実際に早くみんなに関係値を深めて欲しい意味と、「みんな交流したいと思っている」と歓迎している感を出すための意味も兼ねて設定していました。

3回という目標は一見低いように感じますが、現在の作業で直接的に関わる
人以外は、雑談したり意識的に話しかけないと意外と話す機会はないものです。
特に全員がリモートワークの環境だったため、より意識する必要がありました。
(人数が多いチームでみんなが目標達成しようとすると、新メンバーの人が無限に人に話しかけられてなにもできないというリスクはあります)

全員が達成できたことはあまり多くなかったですが、目標の進捗確認のタイミングで新メンバーの人のことが話題に上がったりして、歓迎している雰囲気の醸成には効果があったと思います。

2. チームメンバー全員に1 on 1を設定してもらう

全員に「3回ずつ話して!」と言っても、やはりフルリモートの環境ではなかなか達成できない人も多くいました。
そこで全員に新メンバーの方との1 on 1を、入った週か翌週の間に設定してもらうようにしました。

最初は3回話しかけようとすると、作業で関わりの少ない人は「雑談の1 on 1とか入れて強制的に話す場を作らないと難しいな」と考えていたのですが、当時いたチームが7人だったので「むしろ最初から全員やるようにすればいいのでは?」となりチームメンバーも快諾してくれたので実施しました。

この時注意した点としては、予定を設定する時に「カレンダー(Google Calendar)を見て、1日2人以内になるように設定して欲しい」とチームメンバーに伝えました。
あくまで交流と歓迎の一環としての施策なので、あまりに集中して1日のほとんどを1 on 1で終えてしまうことがないように配慮しました。

これをやっておくことで最初の作業で関わらない人も、「しばらく経ってからやっとちゃんと話した」みたいなことは防げます。
また、みんな交流したいと思っている気持ちも示せて、こちらも副次的に歓迎してる雰囲気作りにつながりました。

3. 他のチームの人に紹介する機会を作る

チーム内でのコミュニケーションは1 on 1などで深めつつ、必ず他のチーム(特に近い関係にあるチーム)の人には紹介する機会を作っていました。
主に他のチームでやっている朝会に、私もしくは他のチームメンバーと一緒に行き、紹介しつつ本人にも自己紹介してもらっていました。
併せてそのチームの人たちにも軽めに自己紹介してもらいます。

そしてそのまま朝会の最後まで参加し、チームやいる人たちの雰囲気をなんとなくですが体験してもらうようにしていました。
副次的な効果ですが、私自身もたまに他のチームの雰囲気を見に行ってみるいい機会にしていました。

しっかりとお互い深く知るコミュニケーションができるわけではありませんが、いざ話しかける必要が出てきた時に、全く知らない人と少しでも顔を合わせたことのある人だと心理的負荷が全然違います。
全然知らない人だと声をかける時に「初めまして、◯◯と申します」から始めなければならないですし、「自分のことを知らないだろうし、いきなり話しかけて大丈夫かな」と不安を抱く人もいると思います。
知り合い、顔見知りを少しでも増やしておくことはとても重要です。

4. 毎日1 on 1をしてなにかしら話す(特にリモートの場合)

メンターやトレーナーとして関わる場合は、最初の1ヶ月くらいは毎日1 on 1を設定していました。
基本的にはみんな「何でも聞いてください」とオープンな姿勢で迎え入れてはいますが、やはり入ったばかりの時から遠慮なくガンガン話しかけられる人はなかなかいないものです。
話しかけづらいというわけでなくても、単純に何度も話しかけたりチャットに質問を打ったりするのが面倒に思う場合もあります(特にリモートワークの場合)。

そのため1 on 1を設定することで、1日1回は溜まっている質問や気になっていることは処理できる場を用意していました。
もし特になかったり、議題が少なくて時間が余ったりしたら、雑談の時間にします。
そうすることでただ疑問を解消する場ではなく、お互いのことをより理解したり話しかけやすくするための場としてもつかっていました。
初めのうちはそもそも話す量を増やすことで関係値を深めていくことも大事なので、特段聞きたくないことがないからと「今日は早いけど終わりにしましょう」と切り上げない方が良いと思ってます。

注意点としては、人によっては毎日1 on 1があることで全てのコミュニケーションをそこまで待ってしまうことです。
もしそう感じたら「困ったらすぐ聞いていい」「自分じゃなくて他のチームメンバーに聞いてもいい」といったようなことを、1 on 1の場も含め都度伝え直すことも重要です。

5. 業務の説明などを最近入った人にしてもらう

最初に基本的な業務や仕組みなどの全体像や、仕事の進め方などについてオリエンテーションは必ずやりますが、それを最近入った人にしてもらっていました。
「最近入った人」というのは、基本的には「同じ職種で今回入った人の1つ前に入った人」です。
直近入って同じ説明を受けているので、資料などがある程度あれば同じように説明はできますし、

  • 説明する人も改めて自分の中で整理して理解を深められる

  • 自分(メンター)以外の人と新メンバーの交流の機会にもなる

  • 説明する人が将来的にメンターやる場合などの練習にもなる

  • メンターの作業の分散もできる

と様々なメリットがあるため、実施していました。
もちろん丸投げするわけではなく、一緒に参加して横で聴いて気になるところがあれば補足したりはしていました。

6. なるべく他の人に話しかける形になるように誘導する

作業を進める上で色々とわからないことや、知らなければならないことはでてきます。
メンターもある程度解決していくことは必要ですが、気をつけないとメンターとしかコミュニケーションを取らず、他の人とほとんど話さないということにもなりかねません。

なので意識的に他の人とも関わるように誘導していくことも必要です。
「これはAさんの方が詳しいからAさんに説明してもらった方がいい」「Bさんに確認しないと決められない」といったようなことがあれば、直接AさんやBさんに話しかけて解決するように促します。
話しかける相手にもよりますが、基本的には「Bさんに確認しておきます」のようにコミュニケーションを仲介しないようにした方が良いです。

そして話しかけようとした時に、チームメンバーと1 on 1をやっていることや他チームの人たちに紹介していたことが活きてきます。
チーム内の人であれば1 on 1で一回しっかりと話しているのでだいぶ話しやすくなっていますし、他のチームの人に話しかける必要がある場合も、顔見知りになっておけば「相手は自分のことを認識している」という前提で話せるので楽になります。

そうしてメンターを媒介にしつつ、多くの人と関わっていく過程で組織内での存在感も増していきますし、気付いたら溶け込んでいる状態になります。

到達して欲しい状態と新しく入った人の気持ちを考えて対応する

ここまで書いてきたことは、新しく入った人に到達して欲しい状態や、その人の気持ちを考えた上で実施した内容です。

仕事を覚えたり環境に慣れたりすることはもちろんですが、力を発揮していくには組織に溶け込んでいくことも必要ですし、存在感を出していくことも重要です。
それによって本人も周りのメンバーもお互いに連携しやすくなりますし、結局は早く仕事にも慣れて成果が出るようになります。

そしてその状態に到達するためには、色々な人とコミュニケーションを取ったり、雰囲気を掴んで自分の考えを出すようになっていく必要があります。
なのでコミュニケーションを厚くしていくためのサポートを多くしています。

これはあくまで私の考える最初に到達して欲しい状態の一つのルートですが、その人にどうなって欲しいのか、どうやったらそこに向かいやすくなるのかしっかり向き合って考えることが何よりも大切です。

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