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全てをオープンにというのはマネジメント都合
SlackやTeamsなどのチャットツールを使う時、「できるだけオープン(みんなが見ている)チャンネルで会話するようにしたい」と考える組織はよくあります。
一部の人で話し合われている内容など、人によって情報が伝わらない状況などを防ぐためにも、正しいことだとは思います。
しかし、その「オープンさ」を求めることがあまりに強くなりすぎると、マイナスを生むこともあります。
どうしてもオープンにできない話はある
まず前提として、どうしてもオープンにできない話はあります。
例えば以下のようなものです。
機密情報など限られた人以外に言ってはいけない情報
個人の体調や家庭の事情など、他人に言いたくない話
特定の個人に対する、不満などネガティブな話
機密情報などは、状況やタイミングによって社内でもおおっぴらに言えないことはもちろんあります。
個人の体調や家庭の事情なども、センシティブな話でできるだけ多くの人に言いたくないこともあるでしょう。
特定の個人に対する不満などは、オープンに直接本人に言うべきというのはあるかもしれませんが、現実的には難しいことが多いです(それが言えるくらいの関係であればそんなに大きな不満は生まれないかもしれません)。
もちろんないのが一番いいですが、多くの人と一緒に働いていれば完全になくすことは厳しいです。
オープンにも度合いはある
「オープンな場所」と言っても、どれだけオープンかの度合いはあります。
例えば
全従業員がいる場(全社用の告知用チャンネルなど)
チームメンバーだけがいる場(チームやプロジェクトメンバー用のチャンネルなど)
興味のある一部の人だけがいる場(趣味のチャンネルや、分報チャンネルなど)
1対1の場(ダイレクトチャット)
のようにいる人数や、いる人の層、目的や雰囲気が様々です。
全従業員がいる場(全社用の告知用チャンネルなど)
まず基本的にチャンネルの人数が多くなればなるほど、多くの人に見られてると感じやすくなり、発言がしづらくなります。
全従業員がいるような場は人数が一番多い上に、知らない人が多く含まれていることも多いため一番発言しづらいです。
仮に全従業員のいる雑談チャンネルが作られていたとしても、そこでふらっと雑談をしようとする人は、あまりいないと思います。
チームメンバーだけがいる場(チームやプロジェクトメンバー用のチャンネルなど)
チームやプロジェクトメンバーのみ入ったチャンネルでは、人数も限られて、日頃一緒に働いている人がメインになるので発言しやすくなります。
業務上のやり取りで使われることが主ですが、雰囲気によっては雑談したりすることもあるでしょう。
興味のある一部の人だけがいる場(趣味のチャンネルや、分報チャンネルなど)
趣味のチャンネルなどは、人数も限られてくることが多く、入っている人も同じことに興味を持っている人たちなので発言しやすいです。
分報チャンネルは基本的に自分の話に興味がある人が入ってきていますし、そもそも自分が好き勝手書きたいことを書くものでもあるので、気軽に発言しやすいです。
一番気軽に発言しやすい場所と感じる人も多いかもしれません。
なんでもかんでも人が多い場で話させようとするのはマネジメント都合
話したい内容や関係性によって、話しやすい場所と話しにくい場所はそれぞれあります。
ちょっとした思いつきなど、全従業員がいるチャンネルでは書きづらくても、チームメンバーだけのチャンネルなら言いやすいこともあります。
あるいは自分の分報チャンネルくらいでなら書けるということもあるかもしれません。
これは人間の心理として普通のことですし、なんでもかんでも人が多いチャンネルで発言する必要はありません。
しかし、オープンさを求めるあまり、人の少ないチャンネルで会話すること自体が悪のように捉えられていることもよくあります。
特に分報チャンネルは、昔の喫煙所での井戸端会議のような状態に感じて嫌う人も多いです。
ただ、これは「社内の会話はできるだけ把握しておきたい」「一部の人で情報がとどまってしまうのが怖い」など、マネジメント側の都合が強く出すぎてしまっていると思います。
自由に気軽に発言がしづらくなりますし、組織に常に全てを監視されているように感じる人もいるかもしれません。
オープンで人の多いチャンネルしか存在しなくなり、結果発言が減ってしまっては意味がないです。
適度にクローズドな場所も用意しておくことで、拾える発言もあります。
適切な範囲に対して話せていることが重要
もちろんチーム全員が知っていないといけないことなのに、個人の分報チャンネルでだけ話して決まってしまうなど、本来伝わるべき人に情報が伝わらないような状態は問題です。
なるべくオープンな場での会話を望まれやすいのは、これを防ぐことが大きな理由だと思います。
なので多くの人がいる場所で会話されることではなく、適切な範囲の人が知れる場所で会話されているかが重要です。
様々な種類のチャンネルがあり、各々が発言に適切な場所を意識して、他の人も違うと感じたら適切な場所への移動を促せるような環境が良いのではないかと考えています。