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指紋採取もあり。日本の「警察証明」をシドニーで発給申請した【オーストラリアのビザの話5】

オーストラリアでパートナービザ(サブクラス820)を申請したのが2019年。パートナービザ申請には、過去に重大な犯罪歴がないことを示す「警察証明」が必要で、日本の警察庁とオーストラリアの連邦警察からそれぞれ取り寄せる必要がある。
海外にいると特に時間がかかる日本の警察証明の取り寄せだが、僕が取得申請をしたのはビザ申請まで3カ月を切ったタイミング。まずは日本の警察証明の手続きの詳細と、ビザ申請書類としての提出までの僕の経験を、覚え書きとして。


日本の警察証明、どのタイミングで取る?

日本関連の公的手続きができるシドニー領事館のウェブサイト(以下)によると、日本の警察証明の申請から発給完了までは2〜3カ月。しかし、僕はある事情によりパートナービザ申請を予定より急ぐことになり、ビザ申請の予定日まであと2カ月というギリギリの時期に警察証明の発給申請をすることになった。

このシドニー領事館のサイトにも注意書きされているように、ビザ申請は申請後すぐに審査が始まるわけではない。パートナービザ申請〜ビザ発給までは最大2年ほどかかることもある壮大なプロセスで、申請したからすぐ審査、とは限らないのだ。「審査開始」を待っている間に、提出した証拠書類の有効期限のほうが先に切れてしまうケースがあるらしい。一方で、ケースによっては申請後すぐに審査が始まることもある。どうしたものか……。

しかも同サイトには「豪州移民局から正式に要求を受けた後、申請するようお願いいたします。」と書かれている。パートナービザ申請における「正式な要求」とは一体何なのか、言葉の定義にいちいちつまずいては考え込む。

もし警察証明を「出して」と言われるまで取得しないと決めた場合、ビザの審査が始まってから不足書類のお知らせが来る保証はなく、証拠不足で審査に落とされる可能性もゼロではない。しかも、「出して」と言われてから警察証明の発給申請をしても、すぐには手に入らないのだ。

やはり、ビザ申請と同時(可能な限り)に警察証明を提出したい。万が一、審査開始より先に日本の警察証明の有効期限(1年)が切れたら、また取り直せばいい、と考えた。できるのかは不明だが、ビザ申請における要件なのだからそう説明するしかないだろう。

パートナービザ申請には警察証明が「必要」

オーストラリアのパートナービザの申請要件のページの「Step by step」というタブにいくと、「ステップ2:書類を集める」という項目の「Character documents」の中にしっかりと「オーストラリアに12カ月以上滞在している人は以下の書類を提出せよ」と書かれている。

  • オーストラリア連邦警察発行の警察証明(National Police Certificates issued by the Australian Federal Police

  • 過去10年の間に12カ月以上滞在した国の警察証明

  • 加えて、フォーム80(Personal particulars for assessment including character assessment)を記入して提出(後述)

この場合の「滞在」とは居住も含むので、僕の場合はオーストラリアと日本の警察証明とフォーム80が必要ということに。つまり、移民局はこの3つの書類を正式に要求しているわけなので、まずは領事館で日本の警察証明を申請することにした。

シドニー領事館で指紋採取

オンラインで予約し、警察証明の発給申請のためにシドニー領事館を訪れた。領事館のサイトに記載されている持ち物は以下の通り。

  1.  警察証明書発給申請書

  2.  有効な日本国パスポート

  3.  証明書の必要性を確認する書類

「1」は同サイトからダウンロード・印刷して記入したものを持参。「3」は、上述のパートナービザ申請要件のページの警察証明に言及した部分までを印刷して持参した。

手続きの順番が来ると、部屋の隅のスペースに呼ばれて手指10本分の指紋を取る。領事館職員の方と「シドニーに住んで長いんですか?」などと雑談をしながら、スタンプインクを指にしっかり付け、専用のフォームに自分の指を押し付けていく。職員は気さくに話しかけてくれるものの、さながら気分は犯罪者だ。

余談だが、指紋採取後にウェットティッシュが用意されているあたり、日本の公的機関だなと感じた(手を洗えばいいような気もするのだが)。オーストラリアの公的機関にそんなものが備え付けられている様子は想像し難いし、そもそもオージーが指についたインクなど気にするだろうか。こちらにいると、段々と自分までオージーナイズされて細かいことが気にならなくなり、差し出されたウェットティッシュに驚いたりするから不思議なものだ。

窓口での「本当に?」の質問で不安に

持参した書類を窓口に提出する際、「警察証明の有効期限は1年ですが、本当に今必要ということでお間違いないですか?」といった内容の質問をおもむろに投げかけられた。

「ここに、ほら、書いてあるので大丈夫です」と持参したプリントを見せるも、「審査までに証明書の有効期限が切れてしまうこともありますが、問題ないですか?」と(実際の言い回しは記憶にないがこんな内容)……。そんなに不安を煽らないでくれと言いたいのをグッと堪えながら、僕は「はい」とだけ返事をして申請を完了した。クレームにつながらないよう、窓口でも確認を徹底するルールなのかもしれない。

とはいえ、ここまで全ての手続きは無料。こんなに工数の多い手続きをタダでやってくれるなんてオーストラリアではあり得ないのでは……と思うと、多少の厳しい質問には目をつぶるべきかもしれない。そもそも、手続きをする側(僕)が書類申請の条件をしっかり把握していれば問題ない話だ。

ちなみに、オーストラリア連邦警察の警察証明(通称ポリスチェック)はもちろん有料だった。

結論からいうと、僕の場合はビザ申請の2カ月前のタイミングで日本の警察証明の発給申請をして、全く問題なかった。しかしビザが下りるまで不安が消えなかったことは事実だ。

警察証明が手に入ったのは2カ月半後

2022年現在、日本から領事館に警察証明が届いたら、近郊に住む人は領事館まで取りに行く必要があるようだ(遠隔地の人には郵送も可能らしい)。僕が手続きをした2019年は、誰でも郵送での受け取りが可能だったので、発給申請の時点で切手つきの封筒を預けておいた。

ということで自宅に届いた日本の警察証明書。僕の場合、警察証明が届いた時点で既にビザ申請自体の手続きは完了し、必要な書類のほとんどもアップロード済みだった。あとは警察証明をスキャンしてPDF化し、追加書類としてアップロードするだけだ。

と思ったら、日本の警察証明は専用封筒に入れられ、開封したら無効といったようなことがいかめしくも書かれていた。この専用封筒をスキャンしたところで、移民局はもちろん中に何が書かれているかを見ることはできず、提出する意味もない。しかし、開封厳禁と書かれた封緘を破るのはとても勇気がいる。はて、どうしたものか。

先達に意見を求め、開封の儀

困った時は先人の知恵、ということで数年前にパートナービザを申請した知人に連絡をして聞いたところ、「開封してスキャンして提出し、ビザは下りた」と親切に教えてくれた。

公的書類の封緘を破るという背徳感を堪能しながら開封すると、「犯罪経歴証明書」という厳つい書類の名称(警察証明の正式名)とともに、僕の名前や生年月日、パスポート番号などが並び、「犯罪経歴なし」といった内容が。自分に犯罪歴がないと知ってはいても妙に安堵した。

日本の警察証明を入手してすぐスキャン&アップロードしたが、この時点でビザ申請から既に約半月経っていた。いつビザの審査が始まるかは神(移民局)のみぞ知るところなので何が正解とは言えないが、結果からいうと僕は申請から半年ほどでビザが下りたので、つまり審査開始も早かったことになる。こういうケースを考えると、ビザ申請と同時を目指して警察証明の手続きも進めて良いのかもしれない。

日本の警察証明の手続きと提出の流れを再度まとめると、以下の通りだ。あくまで僕個人の例だと書き添えておく。

  • 某月某日:領事館で警察証明の発給申請

  • 約2カ月後:パートナービザ申請(日本の警察証明の発給手続き中である旨が記載された書類を領事館でもらったのでアップロード

  • ビザ申請から半月後:日本の警察証明を入手。スキャン&アップロード。ついでに、領事館でもらったアップロード済みの書類(上)は紛らわしくなるので削除。

そもそも「キャラクター・ドキュメント」って何だ

オーストラリアのパートナービザ申請のウェブページによると、警察証明は「Character documents」の一種として提出することになっている。キャラクターという言葉は性格や人格と訳されることが多いが、要は法的・社会的に問題のない人柄であることを証明する公的書類を提出せよということだと理解した。

Form 80の注意点

Character documentsには警察証明の他に、「フォーム80」と呼ばれる記入式の書類もある(上述)。これは結構なボリュームのある書類で記入する欄がべらぼうに多く、海外渡航歴、学歴、職歴、過去の居住地の住所10年分などを遡って正確に書く必要があった。10年分という記載を見てめまいがした。

しかも、意図せずとしても嘘の記載をしてしまうと後々面倒なことになり、最悪ビザ審査に影響することも考えられるので、古いパスポートやEメールなどを見ながら時間をかけて丁寧に記入した。正直言って非常に大変なので、早めにダウンロードして記入を進めておくといいと思う。

長くなったので、オーストラリアの警察証明の発給申請手続きについては次の投稿で。



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