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【座右 #10】発達心理学を語る

「ジィジ、かけっこ しよー♪」

「ジィジ、ひざが痛いから走れないよ。」

「じゃあ、お医者さん呼んでくる!」

「おいおい、待ってくれ~」(←走ってるし...)

孫はもうすぐ5才、ジィジはもう半世紀以上、生きてきた。

■発達心理学とは

誰もが、かつては小さな子どもだった。

一日のほとんどを寝てすごし、周りからの保護なしでは生きていけない赤ちゃん。
それが、数年たつと言葉を話し、仲間と一緒に遊び、また他者との関係を覚え、そして社会へと旅立っていく。

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ここ数年、目まぐるしい子供たちの成長。
反対に、年を追うごとに衰える自身の体。

心 と 体 

これらは、どのように成長して、どのように衰えるのか。
そんな素朴な疑問から、一冊の本を取りました。

こころの旅

この本は、赤ちゃんから老人となるまで一生をかけた「こころの旅」を、心理学の立場から解説する発達心理学の入門書です。

そして本書は、かつて精神科医の神谷美恵子氏が執筆した名著『こころの旅〔1974年〕』のリメイク版として位置付けられます。
原書の「どこを切っても血が出るようなものを書きたい」という意志を継承しつつ、時代のすう勢に合わせ、よりブラッシュアップされた内容となっており、特に子育て世代の夫婦と、その親(祖父母)にとって、人生の良き羅針盤となるでしょう。

発達心理学とは、人間の発達プロセスを、その始まりからの変化と、そこに働いているものを明らかにしていく学問。
これまで「発達」は、子どもや青年を対象にしていたが、昨今は成人や老人も「発達している」と考えられ、生涯発達心理学とも言われる。

■心と体

さて、ここでユニークな映画を紹介します。

題名は『ベンジャミン・バトン 数奇な人生
80歳の状態で生まれ、年を取るごとに若返る人生を与えられた男の一生を描くストーリー。〔2008年作〕(主演:ブラット・ピット)

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詳細については、ネタバレとなりますので割愛しますが、印象的だったのは年を追う(逆に身体は若返る)ごとに、記憶の大半を失い自分のことさえ分からない『認知症』となって行く場面。

心 と 体 
はたして、歳を重ねるとは、老いること? 若返ること?

■アイデンティティの危機と回復

最近では、子育て世代がその両親と同居することは、ほとんど少なくなりました。かく言う私たちも、彼らとは別世帯で暮らしています。
孫たちにとって、祖父母はどのような役割を果たせるのでしょうか。

祖父母は、親と違い直接的な責任のない存在として、一歩離れたところから見守り、父母に理解されない子どもの世界を認め、生きる力を補助することができます。

女性(バァバ)は、もともと家庭の中では「ケアの役割」を果たしてきた経緯から、老年になってもその立場を「補助的に発揮」することは比較的容易です。
しかし、男性(ジィジ)の場合、社会(仕事)との関わりにほとんどを費やしてきた為に、その後の立ち位置(アイデンティティ)を大きく変える必要があり、それが「老後の危機」として立ちはだかります。
この問題は、世界的にも共通認識があるようで、「老人と少年」を題材にした小説や映画に名作が多いのも頷けます。

以下の映画は、田舎に預けられた少年が頑固者のおじいさんと広い大地でひと夏を過ごす物語。

おじいさんは、少年に言う。

年を取って怖いことは、人に求められなくなることだよ。

何かしら弱さをもった、少年へのケアとサポート。
その中でも老人は、自分が取り組んできた大切なことや、生きる知恵をそれとなく伝え、子供の成長と共に自身のアイデンティティを回復することが出来ると思うのです。

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「ジィジ、足はもう痛くない?」

「ああ、もう大丈夫だよ。」

「じゃあ、なわ飛び しよー♪」

「また、ひざがアイティティ...」

(↑アイデンティティの回復?)

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