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兄と弟

ち~ん。

久々に聞く、りんの音。
親戚の方が供えてくれたであろう彼岸花が、初秋を醸し出す。

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あんたんとこは、孫がもう一人出来たって?
そう言やぁ、この前○○さんが、あ〜で、こ〜で、そ~で …

朝から、母君の 壊れかけの Radio ♪
(↑何か、こんな歌あったな...)

とにかく、人の話より “自分が喋りたい” のである。
キャッチボールと言うより、ゲートボール。
いや、デッドボール。ぼごっ。

そんな母も、今年で89才。

心配ごとは、自分の体よりガンをわずらい、余命幾ばくも無いと言われた、兄のことだろう。

しかし、兄も母も互いに近づくことを避けているようだ。

こんな時、小さい頃からマメで “使い勝手のよい” 次男の私が、伝書鳩になってしまうのである。

のっぽっぽ〜。
好物は枝豆(←聞いてね-よ!)


母の用事を一通り済ませ、採れたての早生ミカンを手土産に、兄を訪ねる。

以前は、ふっくらした顔立ちだったのが、放射線治療の影響だろう、とても2歳年上には見えない程、やつれてしまった。

私と違い、気丈な兄はそんなおくびも出さず、先月の退院後、職場へ復帰した。定年までは辞められないという。


帰り際、駅まで送ってくれた兄に、こう言った。

「兄ちゃんは、俺の防波堤だからな。」
「もうちっと、頑張ってや。」

「あぁ、分かってるで。」

こんな弟を、いつも陰日向となり支えてくれる兄。

合掌。

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兄:あきら
弟:のぼる(左、祖父の膝上)

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