有り難くありたい ~映画MONDAYSを観て~
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』を観た。
この映画のことは、申し訳ないことに推しが同時視聴をするということで初めて知りました。
(VTuberのあそびば~ニコニコVパーク~ のチャンネル会員になれば観れます)
邦画でタイムループものということで、正直最初はあまり期待して観ていなかったものの、その印象は前半でもうすっかり変わりました。
ネタバレ防止のためにそこまで詳しくは書きませんが、限られた撮影空間でループして似たような行動を繰り返しているのに、テンポが良く、ループごとの違いも小気味よく演出されており、全く退屈さは感じませんでした。
キーワードは「鳩」🕊️
鳩である必然性やループの原因については、もう一声…と思わないでもなかったものの、鳩のポーズ👐の演出は作中でも視聴者としても印象に残るもので、好きなところでした。
特に面白かったのは、プレゼンの場面と、前半から後半への展開。
プレゼンは完全に笑う場面として作られており、それがちゃんと成功していると思う。部長と部下の空気感の違いとか、ループもの特有の一方はすでに知ってる応答が、これでもかと詰め込まれたおもろパートになっていました。
前半から後半の展開も、単体では読めないでもない流れではあったけど、そこからの空気感の差とか、実は…といった部分が、ちゃんと気持ちよくつくられていました。
また、程度はあれど、社会に生きる人間として、共感性のある場面が多く描かれていたのもよかった。
同時視聴時に名取も言っていたように、タイムループものは、どこかファンタジー・SF的で、自分とはかけ離れたところで起きているイメージも強いように思う。
タイムループものによくありがちな、死が関わる重さをカットして、私達のいきる社会・会社でタイムループとどう向き合うかという視点が面白かったし、あらすじにも書かれているように、タイムループ時の記憶保持を有効活用してやろうという強かさには、目を見張るものがある。
以上のような、エンタメとしての単純な面白さだけでなく、テーマ性・メッセージ性があるところも好きでした。
私は完全にエンタメ全振りの作品よりは、観た人に何かを考えさせたり、心に何かを残してくれる作品が好きなので。
この映画は特に後半、作中作として登場する漫画と、それに関わる登場人物たちの動きを通して、日常を繰り返すこと・視点や思考が硬直的になってしまうことについて、示唆を与えてくれたと感じた。
もっと詳しい内容については…ぜひ映画を観て確かめてみてください!
映画MONDAYSの中で、『僕らの人生こんな感じ(=タイムループしてるみたいなもの)だったので』という台詞がある。
これに対する返答は『それ怖いって』というものだったが、この感覚、私は結構共感できる。
私は変わらない日常の繰り返し、変化と刺激の少ない停滞した毎日でも、生きていける方だと自分で思っている。
というか、推しや映画MONDAYSのような作品に影響されて、前に進むための日常を送り、実は貴重な毎日を漫然と消化していくだけの人生を変えたいと何度も思っている。しかし、それがなかなか続いてくれない。自分の弱さを痛感する。
私がこのような方面で影響を受けた作品の一つに、Tempalayの楽曲がある。
人間の性質の一つに、「慣れ」がある。
全てが新しい経験である日々を生きていくことができるだろうか。それを望む人もいるのだろうが、私にはできない。
どのような日常であれ、どうにか生きていくために、ある程度の慣れとともにルーチンをこなしていく必要がある。
しかし、忙しない日々にかまけていると、あっという間に時間は過ぎてしまう。
「慣れ」は必要なものだが、程度が過ぎると「ありがたさ」がなくなってしまう。
本当はこの一瞬一瞬が「有り難い」ものであるという意識を、保ち続けることができない。
一週間、一ヶ月、春夏秋冬、そしてまた一年。
やりたいことはたくさんあったはずなのに、言い訳をして何もできなかった。
今年もまたどんどん過ぎていく。
いつか変わるだろうか?いや、変えるならきっと今だ。
でも、なかなかそれができない...…
私は、心の底から湧きあがる衝動が、薄いと感じている。
やりたいことってなんだろう、と最近よく考えている。
迷い続けている。
それでも、日々を見つめ、小さくとも、心に灯った火を燃やし続けたい。
どこに向かっているかはわからない。日常の摩耗の中でまた忘れてしまうかもしれない。
それでも、ほんの少しでも前を向いて生きていけるように、祈りを。