【コンサートミニレポ#3】さまざまな鳥の歌-松井くるみフルートリサイタル【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちδ)】
松井くるみフルートリサイタル
日暮里サニーホールコンサートサロン
2023年1月20日
プログラム
ラヴェル:ハバネラ形式の小品
シャミナード:コンチェルティーノ Op.107
ボザ:アリア
ドンジョン:ナイチンゲール
メシアン:黒つぐみ
林光:七つの子変奏曲
カザルス:鳥の歌
吉松隆:デジタルバード組曲
出演者
松井くるみ(フルート)、渡辺友梨香(ピアノ)
もうずいぶんと昔のことなので、演奏についてなにか触れることはしないが、おぼろげな記憶では良い演奏だった。それ以上に、松井さんのプログラミングの妙に感心したことを覚えている。若い演奏家のリサイタルは、とりあえず自分の今取り組んでいる曲、好きな曲を集めましたという類いの残念なプログラミングがとても多い。このリサイタルは「鳥」というテーマを軸に選曲されており、そのテーマ自体は音楽においてはまあありふれたものではあるのだが、リサイタルを一個の作品として魅せようとする姿勢が素晴らしい。
林光の《七つの子変奏曲》は演奏機会の多い作品である。冒頭は、フォーレの「子守歌」(《ドリー》)の引用からはじまる。こういうセンスにおいて林光の右に出る者はそういない。ひとつ新たなコンテクストを付け加えることで世界を拓いている。
個人的にはシャミナードの《コンチェルティーノ》も好きな作品、吉松隆の《デジタルバード組曲》も生で聴いてみたかったので嬉しかった記憶。
(文責:西垣龍一)
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