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【コンサートミニレポ#3】さまざまな鳥の歌-松井くるみフルートリサイタル【林光《流れ》(1973)まわりみち解説(わきみちδ)】

1年以上前のリサイタルについての文章を書くというのも失礼な話だけれど、林光関連をまとめておきたいと思って書きました。
松井くるみさんのリサイタルは、卒論提出直後で解放された身で(なお院試前)行ったので、音楽を楽しむ幸せみたいな純朴な気持ちを味わった気がします。
サムネイルは2021年6月2日に善福寺池で撮影したカワセミですね。当時石神井台に住んでいて散歩してました(今も高井戸なので散歩圏内ですが)。解体直前の商船三井上井草住宅を見るのが目的でした。

松井くるみフルートリサイタル
日暮里サニーホールコンサートサロン
2023年1月20日

プログラム
ラヴェル:ハバネラ形式の小品
シャミナード:コンチェルティーノ Op.107
ボザ:アリア
ドンジョン:ナイチンゲール
メシアン:黒つぐみ
林光:七つの子変奏曲
カザルス:鳥の歌
吉松隆:デジタルバード組曲

出演者
松井くるみ(フルート)、渡辺友梨香(ピアノ)

もうずいぶんと昔のことなので、演奏についてなにか触れることはしないが、おぼろげな記憶では良い演奏だった。それ以上に、松井さんのプログラミングの妙に感心したことを覚えている。若い演奏家のリサイタルは、とりあえず自分の今取り組んでいる曲、好きな曲を集めましたという類いの残念なプログラミングがとても多い。このリサイタルは「鳥」というテーマを軸に選曲されており、そのテーマ自体は音楽においてはまあありふれたものではあるのだが、リサイタルを一個の作品として魅せようとする姿勢が素晴らしい。

林光の《七つの子変奏曲》は演奏機会の多い作品である。冒頭は、フォーレの「子守歌」(《ドリー》)の引用からはじまる。こういうセンスにおいて林光の右に出る者はそういない。ひとつ新たなコンテクストを付け加えることで世界を拓いている。

個人的にはシャミナードの《コンチェルティーノ》も好きな作品、吉松隆の《デジタルバード組曲》も生で聴いてみたかったので嬉しかった記憶。

(文責:西垣龍一)

多くの鳥は、臨界期に他の鳥の歌を聞かせるとその歌の影響を受けやすく、やがてこうした外部の歌を再現するようになる。

ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『千のプラトー 資本主義と分裂症』中、宇野邦一他訳、河出文庫、2010年、364頁。

演奏作品一覧


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