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数値に含まれない人々
こんにちは。
毎日寒い日が続きますね。
今日は、少しぞっとした話を紹介したいと思います。
皆さんは大切なことを決めるとき、何に従って判断していますか?
例えば、旅行に行くとします。旅行先、旅行先で泊まるホテルや旅行、観光地など、今まで行ったことがない場所についての情報は、皆さんネットを使って調べることが多いのではないでしょうか?
大抵のサイトには、料金だけでなく、写真や利用者の口コミが丁寧に載せられており、皆さんそれを見て判断することができると思います。
でも、どうしても決められない時、そんな時には、目に飛び込んできた数値で判断されるという方もいるのではないでしょうか?
満足度●%!
利用者の●割がリピート!
みたいな数値、よく見かけますよね。
旅行以外でも、たとえば、
合格者●人!
合格率●割!
応募者●人突破!
卒業生の●人が満足と回答!
利用者の●%が効果があったと回答!
とか、ありますよね。
でも、この●に入る数値、大抵は90%とか低くても8割といった高い数値が書かれていますが、100と書かれていることはまずありません。
つまり公にみても、100%全員が満足した、という結果ではないわけです。
いやいやそんなことは当たり前でしょ。
だから何?と思われた方も多いと思いますので、もっと詳しく話していこうと思います。
今から1つ、たとえ話をします。
皆さんは「無医地区」というものをご存知でしょうか?
その名の通り、医療従事者が存在しない地区を指します。
たとえば、この「無医地区」が10年かけて300か所から200か所へと減ったというニュースが流れたとします。
そのニュースを見たあなたは、どう思いますか?
「無医地区」が少なくなっていて喜ばしい。
そう思った方が多いのではないでしょうか?
おおむね正解です。
しかし、皆さん「無医地区」の定義をご存知でしょうか?
「無医地区」というのは、半径4kmの区域内に50人以上が居住している地域で、その地域に医療機関がなく、また容易に医療機関にかかることができない地域というものを指します。
つまり、人口が50人未満の地域であれば、医療機関がなくとも「無医地区」とは呼ばないことになります。
なので、上記の「無医地区」が300から200へと減少したというニュースが示す可能性は、
①医療機関が利用できるようになった地域が100か所増えた
②人口50人よりも少なくなったことで、「無医地区」と呼ばれなくなった地域が100か所増えた
①か②のどちらかであるということになります。
①であれば、純粋に喜ばしいニュースです。でも、もし②だったら?
喜ばしいニュースではないですよね。
しかも、「無医地区」の定義を知らない人がニュースを見た場合、多くの人は、①だと判断すると思います。そうなった場合、逆にニュースを見たことで、「無医地区」が解決に向かっていると勘違いしてしまいます。
そうなると、「無医地区」の問題性が薄れてしまい、世間の「無医地区」に対する関心はますます薄れていくことになると思います。
少し大げさに書きましたが、実際にはこれに近いことがたくさんあると思います。
例えば、国家試験合格率95%と打ち出している専門学校は、実は、卒業試験に合格した人しか国家試験に受験できないようになっていたり、利用者の90%が満足と言っているエステサロンは、長期利用していない短期のお客様は利用者としてカウントしていなかったり。
もちろん、数値には定義が必要なのでこれらは必要なことです。
ある程度は仕方ありません。
でも、数値化したときに、どんなに高い数値がかいてあっても、そこに含まれない人々、もしくは統計する段階で除外されている人々がいるということは忘れてはいけないと思います。
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。
最近、めっきり寒くなりました。
皆さんも風邪などひかれないよう、十分に注意して過ごすようにしてください。