資本主義から破壊的イノベーションは生まれない
最近、資本主義にハマっており、「欲望の資本主義」という本に感銘を受けたので、資本主義について語りたいと思います。
破壊的イノベーションを「革新的なモノやサービスを作り出すこと」と定義した時に、資本主義から破壊的イノベーションは生まれないのではないかと感じました。
今回のnoteでは、資本主義とは何かを改めて考え直した上で、資本主義とイノベーションの関係について考察してみました。
資本主義において重要なのは市場の評価である
資本主義についてとても分かりやすいは、ケインズの「美人投票」です。
以下の2つの状況をご覧ください。
【状況1】
100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に賞金を与える
【状況2】
100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える(引用:wikipedia)
自分が審査員なら、状況1の場合は自分が本当に美人だと思っている人に投票するでしょう。しかし、状況2の場合は状況1のときとは違いみんなが美人だと思ってそうな人に投票してしまいます。
自分の価値観ではなく、他人の価値観(市場の価値観)に沿うのです。
この例を踏まえて考えると、資本主義経済では「売上」「利益」が重要なので、自分が本当に良いものを売るのではなく、市場が好みそうなものを売る人が成功しやすいと言えるでしょう。
NHKで放送された「欲望の資本主義」のナレーションの一言がこの現象をこう表現しています。
リンゴを高く売ることに夢中になっているうちに、リンゴの味を忘れてしまったのか?
資本主義からは破壊的イノベーションは生まれない
資本主義は「自分の価値観ではなく、他人の価値観(市場の価値観)に沿う」と言いました。
このような状況ではイノベーションは生まれないと感じます。
欲望には、顕在的なニーズと潜在的なニーズの2種類があります。資本主義で満たせるニーズは前者であり、後者のニーズは満たせません。なぜなら、人が未だ存在しないものを望むことは難しいからです。江戸時代にインターネットがあればいいなあと思っている人はいなかったでしょう。
顕在的なニーズを満たすというのは言い換えると斬新的イノベーションを起こしている状態です。世の中をコツコツ改善しているイメージです。顕在的ニーズを満たすための斬新的イノベーションの先にあるのは僕は不満だと思います。
斬新的イノベーションを続けて顧客が不満を抱き始める例はガラケーです。ガラケーが普及した当時、どこでも電話ができてメールができる優れもの!だったにも関わらず、斬新的イノベーション(コツコツ改善)を行なった結果、ガラケーによくわからない機能が多すぎて使いずらい、使うのが難しいという不満が出始めました。
ナイスタイミングで、スマートフォンが出てきたわけですが、この世にないものを生み出したという意味でスマートフォンは破壊的イノベーションだと言えます。
資本主義で成長するためには、斬新的イノベーションと破壊的イノベーションの両方が必要です。資本主義で、市場の様子を伺って商売する方法は斬新的イノベーションしか生みません。一方で破壊的イノベーションを生み出すのはスティーブ・ジョブズのように好きで自由に仕事をしている人たちです。
終わりに
今回は、ケインズの美人投票の例えから話を膨らませてみました。
日本は資本主義国家ですが、資本主義的すぎるのはよくないと感じます。しかも、経済学者の間では資本主義は終焉を迎えるという議論までなされており、資本主義の転換点を迎えようとしている今だからこそ資本主義について深く考えるべきだなあと改めて思いました。
欲望の資本主義はNHKで放送されており、本も出版されているので気になった方はぜひチェックしてみてください!
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