離人症

いつからか、空が綺麗に見えなくなった。

ずっと、夢の中にいるような心地がする。
脳にモヤがかかったような、自分に膜が張っているような。
自分の感情も身体も、友達も家族も、この世界自体が偽物に見える。 

精神科に行くと、離人症 と診断された。

自分的には現実感消失症という言葉の方がしっくりくる。
これは、何らかの強い不安やストレスによって起こる心の防御反応であり、解離性障害に分類されるらしい。 

この病気?の厄介なところは普通に日常生活を送れてしまうことであり、周りから理解されないことであると思う。そして特に薬もない。症状に直接効く治療法もない。
私はこんなにも苦しんでいるのに、周りからは普通に見えているらしい。

この世界が偽物に見えると泣きながら訴えたところで、冗談だと思われて笑われるか、頭がおかしくなったと怖がられるか、まぁ理解はできないだろう。 
時々、わかって欲しいと思ってしまって打ち明けてみるのだけれど、理解されずに結局孤独が増すだけなのでやめた。
この症状について理解されないのはわかるが、自分が辛いと打ち明けた気持ちを軽く受け取られると、絶望してしまう。
相手を困らせたくないし、怖がらせたくない。
現実味がないと思っていながら、気を遣ってばかりいる自分が嫌になる。

この症状になってから、日記を書くようになった。いつか記憶が無くなりそうで怖いからだ。
今を感じられない中で、過去を信じられなくなりそうで怖いからだ。

それでも私は生きていて、これからも生きていくつもりである。
だからこれから、日記代わりにここに色々書いてみようと思う。症状についてばかりを書くつもりはない。
現実がわからないこの日々を、自分のものかよくわからないこの気持ちを、書き留めていこうと思う。
いつかこんな日もあったなぁと笑える日が来ることを信じている。

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