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勝手にベッドは買わないでほしい

映画「ファーストキス」を観てきた。
数年ぶりに映画館で観る映画だったので、キャラメルポップコーンにドリンクもつけて、真ん中端から3番目の席に陣取った(一番端はすでに取られていた。)。

主演は松たか子と松村北斗。
離婚届を出す当日に夫が事故でちゅんと亡くなった。15年前にタイムトラベルする方法を見つけた松たか子は15年前の夫松村北斗に働きかけてなんとか15年後の死を回避しようとありとあらゆる手段を試す。
ざっくり言えばそんな話だ。

タイムトラベルというと毎度設定がどうなっているかを把握するのに少し時間がかかる。
昔に戻るのは回数制限があるのか?今に戻れるのか?行き来するのは偶然任せの方法なのか?昔に戻るときに時点は選べるのか?前回やったことはなかったことになっているのか?などなど。
今回は期間制限あり、今に戻れる、偶然ではない方法、時点は決められている、前回やったことはなかったことになっているタイムトラベルだ。
ファンタジーなことだが、松たか子はすんなり設定を理解し受け入れて突き進んでいく。

松たか子と坂本裕二脚本ということで間違いないなと思って観たが、大正解。
松村北斗も、リリーフランキー、吉岡里帆、森七菜も良かったし、かき氷屋の後ろの2人もチェキッ子たちも良かった。

以下雑多な感想になるが、書いておきたい。

ホテルとかき氷屋とロープウェイがメインシーンだが、どこも行ってみたくなった。フルーツパーク富士屋ホテル、無上帑、北八ヶ岳ロープウェイ。

ドライブシーンに何だか既視感があると思ったら、撮影が「ドライブ・マイ・カー」の方でした。

「これ以上僕をドキドキさせないでください。」を何度もおかわりする松たか子。

犬を介しての出会いがうまくいっていたのにしばらく別の方法を探っていたのはそんなに犬が嫌なのか?
動物との距離感がいつも分からないので共感。

お店で紙袋を受け取るときに、人差し指と親指だけで紙袋の持ち手をつまんで、他の指は上に跳ね上がっていた。
店の人の指と接触したくないのとてもわかる。

勝手にベッドを買って寝室を分けられたらその時点で戦争になる。ぶつかるのが面倒だから少しの感じ悪いをスルーしてきた結果が最初の15年間なのかもしれない。踏み込むタイミングって大事なんだ。

吉岡里帆を初めて見たのはカルテットの不気味な女の役で、今回も不気味な女だった。
昔好きだった人が亡くなったのだとしても、傷心であろう妻のもとを訪れてわざわざ言うことか?
松たか子の横でなんだあの女とぶつくさいいたい。

夫の靴下を履いてしまう松たか子。うっかりなのか、確信犯なのか、夫のものは自分のもので境界曖昧なのか。
私は夫の靴下を捨てたい。穴があいてもしばらく履いているので、新しい靴下を渡してこちらは捨てていいか?と聞いても自分で捨てると言ってなかなか捨てない。

離婚届を出す寸前まで行っても、好きで結婚に至ったのは間違いなく、松たか子がそれを思い出していく映画だった。
傷つけたシーンも、その後恐竜博物館で泣いていたのも泣いてしまう。
自分と夫に重ね合わせてみたり、自分とかつての友人に重ね合わせてみたり。
好きだったことを思い返して悲しくなって取り戻したくなるけど、それはもう手が届かないところにある。と思う。手が届いたとして元には戻らないし、それにまた傷つくのが嫌だ。
嫌なことをするだけのキャパシティはもうない。

パンフレットも買った。パンフレットにチェキとレシートとTシャツが入っているので、観た方はぜひ買ってみてほしい。

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