子育てしやすい町に
子どもの出生数が2021年は統計以来最小の80万人割れに。国の想定を超えるペースで少子化が進行している。直近の合計特殊出生率は1.30、北海道は1.21と東京1.13に次いで全国2位の低さだ。未婚、晩婚、晩産に加え、新型コロナによる経済や感染の不安から妊娠を控えるケースもあるという▼最新の国際調査によると、日本の小中学校で「児童生徒の批判的思考を促す」教育をしている割合(参加国平均82.2%)が他国に比べ著しく低い(小学校22.8%、中学校24.5%)そうだ。「既存の説明を鵜呑みにせず、疑問に感じて意味を考え、真偽を自分で確かめる能力」を伸ばすには、自由な校風と自由な時間の使い方が欠かせない。しかし、全国学力テストに象徴される序列と競争が子どもと学校に強要され、借金をしないと高等教育を受けられず、卒業後にその返済に追われ、返済中は結婚をはばかる人さえいるのが現実だ。政府は「安心して産み育てられる環境を整備」を目指すというが、私には“お笑い種”にしか聞こえない▼昨年の伊達市議会・一般質問で子育て課題が何度か取り上げられた。6月議会ではコロナ臨時給付金の活用が論じられ、市長は「無償化への第一歩としたい」と学校給食費の半額実施を回答した。12月議会では子どもの医療費助成枠の拡大が議論され、「室蘭市、登別市と足並みそろえて拡大する方向で調整している」と答弁した。国が責任を持つべき課題であっても、自治体努力が大きな役割を果しているのが現状だ▼来年4月に一斉地方選挙がある。子どもの最善の利益をうたう「子どもの権利条約」に沿った町づくりを推進したい。新たな首長や議員は「安心して産み育てられる町」を政策の第一に掲げてもらいたい。子どもは地域の未来そのものだから。