皆で楽しく、健康に[Footwork & Network vol.23]
今回のF&Nでは、日本ウォーキングサッカー協会(通称:JWFA)の理事である佐藤光則さんとの出会いを紹介する。
きっかけ
私事ではあるが、今年の7月に一度体調を崩してしまい、体力がガクンと落ちるといった経験をした。それが自身の「健康」を見つめ直すきっかけとなった。しかし、健康のために自分で運動しようとしても、筋トレは三日坊主、走るのは大嫌い、続けられるのは犬の散歩程度。高校のときまでやっていたサッカーも、観る専門になっていた。そんなある日、ふと思い出したことがあった。いつかは覚えていないが、以前テレビのニュース番組で「ウォーキングサッカー」というものが紹介されていたことを。「あれなら続けられるかも」とあれこれ探した結果、Facebookでの佐藤さんの「コスギ倶楽部」に関する投稿が目に留まった。
コスギ倶楽部との出会い
「コスギ倶楽部」は武蔵小杉にある川崎市生涯学習プラザでJWFAが月3〜4回開催しているウォーキングサッカーセッションであった。ウォーキングサッカーはその名の通り「歩くサッカー」である。走ったり、接触したり、浮き球を蹴ることも禁止だ。すなわち、シニア向けのスポーツである。佐藤さんのコスギ倶楽部に関する過去の投稿を見ても、やはり参加者はシニアの方ばかりであった。だから、「参加したい」という気持ちと、「参加してもいいのだろうか」という気持ちが同時にあった。そこで、佐藤さんにメッセージを送るときに「私のような学生が参加しても大丈夫でしょうか?」と聞いてしまった。そしたら佐藤さんは、「ウォーキングサッカーは、未経験、運動が苦手な方でも、性別や年代を越えて安心して楽しめます。」と返信をくれた。
体験してみて
そして、10月10日、スポーツの日に初めてコスギ倶楽部に参加した。コスギ倶楽部は、参加者は10人程度でJWFAの佐藤さん含む公認指導者の方が2人〜4人ほどで教えてくれる。私が初めて参加した日も、参加者9人(女性4人・男性5人)、公認指導者2人で40代〜70代の方たちが参加していた。最初は少し緊張したが、いつの間にかに年齢の差も忘れていた。特に、ゲームをしているとき、笑いが絶えないのである。勝ち負けも気にしない、ミスをしても責めない。結果よりも、皆が皆で"楽しむ"ことを大切にしているんだろうなと感じた。
コスギ倶楽部に参加してみて、自分よりも30〜40歳(時には50歳近く)も年齢が上の人たちと一緒にスポーツをできるんだと少し不思議な気分になった。また、自分も他の参加者の方たちのように、健康であれば、いつまでも誰かと一緒にボールが蹴れるんだと知れて嬉しくなった。また、ウォーキングサッカーは、健康維持のための運動というだけではなく、色んな世代の人と関われる場でもあるということにも気づいた。
"誰でも"安全に楽しめる
コスギ倶楽部に参加した後、佐藤さんから10月15日に開催される(千葉県)松戸市ウォーキングサッカーフェスティバルに誘って頂いた。こちらは松戸市運動公園陸上競技場で開催される大規模なイベントであった。参加者の年代は、なんと4歳からアラエイティ(70代後半)まで。サッカー経験者もそうでない人も一緒にウォーキングサッカーを楽しむ。佐藤さんがよく口にする、「誰でも安全に楽しめる」という"誰でも"ということが理解できた1日となった。その後、ウォーキングサッカーを通じて、もっと色んな人と関わりたいと思い、コスギ倶楽部に通うようになった。
"誰でも"は簡単なことではない
"誰でも"というのは、参加者としては魅力的な言葉である。私も、もしコスギ倶楽部に年齢制限があったら、今までウォーキングサッカーを経験できていなかったかもしれない。しかし、主催する側としては"誰でも"ということは大変なことなのではないかと感じるようになった。年齢が上がるほど、怪我のリスクは高まるし、シニアと子どもが一緒にプレーをすることで危険に繋がることがあるかもしれない。正直、年齢制限を設けた方が主催する側としては"楽”だとも思うし、コスパも良いとと思う。
しかし、佐藤さんはあえて年齢制限を設けない。佐藤さんと話している中で、佐藤さんも「高齢者に教えるのは怖い」と仰っていた。それでも、佐藤さんが参加者の多様性を大事にしているのは、ウォーキングサッカーが世代を越えて楽しめて、健康増進にも繋がるといった価値のあるものだからだ。そして、その価値を正しく伝えていくために、佐藤さんは参加者が安全に楽しめるような場づくりをしている。コスギ倶楽部でも、いきなりゲームをするのではなく、時間をかけて正しく歩く練習や、ストレッチ、パス練習などを行う。ウォーキングサッカーが"簡単だから誰でもできる"のではなく、主催する側の工夫によって"誰でもできる"ものになっているのだと気づいた。
ウォーキングサッカーを通じて
ウォーキングサッカーを通じて、多世代交流の楽しさを知った。ただし、それと同時に、ダイバーシティに関する取り組みは、決して簡単なことではないということを理解し始めた。それでも、私は多様な人たちと関わることには価値があると思った。ウォーキングサッカーでも、普段関わることのないような世代の人と一つのボールを繋いでいく。シニアの方たちが楽しそうにプレーする姿に私も元気を貰っている。だから、佐藤さんやJWFAが大切にしている「誰でも安全に楽しくできる」ウォーキングサッカーが広まっていけば、自然と多様な人と関わる機会が増えていくのではないかとこの出会いを通じて思った。
さいごに
初めは自分の健康維持のために始めたウォーキングサッカーであったが、いつの間にか色んな人と関わりたいがために参加するようになっていた。勝ち負けといった結果が重要な競技スポーツとは異なるウォーキングサッカー。若くて健康な人でも、「少し運動不足だな〜」とか「色んな世代の人と関わってみたい」という人は、ぜひ一度経験してみてほしい。
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