Fintech startup"Funds"で導入した人事制度の全貌
これは「Funds Advent Calendar 2022」8日目の記事です。
皆さん、こんにちは。
ファンズ 経営企画 執行役員の前川です!
※いきなりですが「Fundsって何!?」という人向けにデックを貼っておきます。
誰も興味はないと思いますが、自分の誕生日が「H8.8.8」なので、必然的にアドベントカレンダー8日目の担当を立候補させていただきました。笑
ということで、まずは簡単に自己紹介から!
自己紹介
前川寛洋(Nobuhiro Maekawa)
H8.8.8生まれの26歳。大阪出身、東京在住。元ラガーマン。趣味はドライブと温泉巡り、そして最近ゴルフ始めました。ゴル友募集中です。また、かなりのWorkaholicです。隙あらば仕事してます。社会課題に真っ向から立ち向かう事業開発、スタートアップ経営に強い興味関心があります。
2020年7月にファンズに転職して、はや2年半が経とうとしています。ファンズは当初規定上にも実態上組織図にも存在しない「業務企画」というポジションで入社しました。最初は自分がFintechを学ぶという意味でも社内のオペレーショナルエクセレンスを目的に仕事をし、約10ヶ月後に経営企画室を立ち上げ、更に半年後に経営企画室長、そして2022年6月から執行役員という流れになります。
なお、今はファンズをメインにしつつ、複業で大手企業向けにHR、事業開発を支援するGame Changers合同会社と、サイレントでプロダクト開発しているもう1社を創業、経営しています。他には国内最大級のスタートアッププラットフォームであるIVSの運営、スタートアップのファイナンス、経営企画支援等もちらほらと。
※仰々しいVer.は以下からご覧いただけます。
キャリアハイライト
Funds
Game Changers
IVS
前職の退職エントリー
テーマ設定
さて、メンバーが良いエントリーを書いている様子を横目に、自分は何を書くべきかと深く追求した結果、悩みすぎてここ最近は夜8時間しか寝れない状況でした。
テーマ候補的には
なぜ、自分はスタートアップど真ん中キャリアを歩むのか
この市況化で、スタートアップはどうやって資金調達すればいいのか
Fundsに加え複業もする中で、どんな生活を送っているのか
ビットコイン、アルトコインの価値が消し飛んで悲しい話
等、色んなアングルがあったのですが、熟考の末、このテーマに取り組んでみることにしました。
『Fintech startup"Funds"で導入した人事制度の全貌』
どうやら最近、Fundsの人事制度が刷新されたらしいです。
、、、
ということで、実は丁度12/07に、ファンズのコーポレートサイトに採用infoページを開設し、当社のカルチャーや人事制度等、組織に纏わる情報量を一気に拡大し、オープン化することにしました!
今回はこのページの紹介も兼ねて、どういうプロセスや思想にもとづいて、人事制度が再構築されたのかをお話したいと思います。
人事制度の策定プロセス
1. コンセプト設計
人事制度のみならず、あらゆる制度設計を行う際には、ルールを設けることが目的なのではなく、その先にある実現したい未来図、在りたい姿があり、それを達成するための仕組みとして制度を考えることになりますよね。
策定当初ファンズは、組織規模が拡大し、30人→50人→xxというステップを着実に歩んできていました。
少人数の際には細かに人事制度を作るよりも、明確で分かりやすい目標、評価、報酬があれば十分ですが、人数規模も増え、多様なバックグラウンドのメンバーがいる中で組織を構築する際には、阿吽の呼吸型ではなく、きちんと言語化し、オープンかつフェアな制度が望ましいと考えています。
またファンズは「国民的な資産運用サービスになる」というビジョンを掲げています。これは未だ到達者のいない領域であり、日本においては特に難易度の高い社会課題解決を意味しています。
今後はより一層ビジネスを加速度的に成長させ、難易度の高い経営課題とも対峙していきます。
こういったスタートアップのフェーズ転換期においては、部分改善より寧ろ明確な変化とメッセージが必要です。
したがって、改めてあるべき姿、歓迎すべきスタンス、そして評価と報酬を見直し、我々が目指すべきゴールに向けて、以下のコンセプトを採用しました。
会社と個人のミッションがアラインしやすい人事制度であること
オープンかつフェアな人事制度であること
職種毎の専門性や特徴を尊重した人事制度であること
“今”から入社した場合でも、魅力的な報酬が得られる機会があること
ここは思想の原点となる代表の藤田さんとおおよそ2ヶ月かけてディスカッションを繰り返し、練り上げてきたコンセプトになります。
2. ゴールの摺り合わせ
さて、Fundsとして目指すべき人事制度のコンセプトが明確化できれば、次はその具体的な検討へと進んでいきます。最初に取り掛かるのはゴールの摺り合わせです。
ゴールの摺り合わせに向けては、一度そもそもの社員と会社の関係性に立ち返り、社員と会社は何で繋がっているのかを再認します。
まずワークモチベーション4つ全てが最高評価になるのは理想ですが、スタートアップのようにリソースが限られている中でそれを達成するのは非現実的です。
ただし、平均的に良いということだけでは候補者の記憶に残らず、興味を以ってもらえにくいですし、一部良い点があっても明確に悪い点があれば断る理由になる。
したがって、平均的な水準をキープしつつも、企業独自の強みを際立たせ、そのポイントにおいては他社より明確に優れた点を生み出すのが良いと考えます。
分析資料は割愛しますが、この思想から現状の組織を見直し、何が平均点に達していないか、また何を尖らせていくことが自社の強みを生かすことができるか、またその強みは社員にとって幸せなことか等を検討します。
3. ベンチマークの設定
上場企業では一般的に用いられる方法ですが、採用競合、ビジネス競合等、会社ごとの選定基準を設定し、ベンチマークとなる会社の報酬水準と労働市場のトレンドを参考にして報酬水準を策定します。
当社では「Fintech=IT×金融」の業界Peer、企業規模=スタートアップのPeer、採用上でコンフリクトする企業群のPeerという3つの軸からベンチマークを検討し、最終的には採用競合および国内著名スタートアップをベンチマークに設定しました。
加えて、労働市場のトレンドを調査します。実際には具体的な企業を特定して過年度の報酬トレンドや、採用媒体等のレポートを参考に策定していきますが、概観を知りたいという人向けにお役立ち記事をいくつかご紹介します。
これらのデータポイントから多角的に設定すべき妥当な報酬水準を割り出し、コンセプトおよびゴールに合致した水準に調整してフィックスしていくという流れを辿ります。
なお報酬設計においては、今後のポジション毎の人員計画、SOプールの残高等、財務的な背景から許容可否の判断が必要となりますので、人事畑のみで進めるのではなく経営企画や財務との協働が必要となります。
4. 等級制度の見直し
1-3のプロセスで制度全体像の設計は概ね完了しましたので、ここからは各人事制度にブレイクダウンしていきます。
人事制度は基本的に等級(グレード)制度、評価制度、報酬制度の三位一体のことを指します。それぞれの問いに対して、明確な答えを設計するイメージで各項目ごとに策定していきます。
さて、、、気になる中身はどうなったのでしょうか!?
ここでは社員共有用資料のサマリー部分だけご紹介します!
ということで、少しでも当社の人事制度に興味をもっていただけましたら、ぜひこちらの人事制度ページを覗いてみてください!
報酬テーブルも、評価ロジックも、昇給シミュレーションも、SO付与の仕組みも、ほとんどの人事制度の構造は公開しています!
手前味噌ではありますが、それだけ自信をもって新たな候補者の皆様にアピールできる制度になったかと思います!少しでも興味を持っていただければ幸いです。
※ゴリゴリでサムネ画像が自分なのですが、自分でこの写真を挿入した訳でも提案した訳でもないということは強く主張しておきたい。笑
感想
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
スタートアップの人事制度の作り方、というテーマはあまり取り上げられることも少ないかと思い、思想設計の部分からご紹介させていただきました。
社員に対しては制度の理解促進、そして社外の方々に対しては当社を知って、興味を持っていただくきっかけになれれば幸いです!また、同じようにスタートアップで人事に係わる方々に向けて、少しでも参考になれば嬉しいです!
人事制度公表後、社員から頂いた声を一部ご紹介します。人事制度に対して、こんな感覚を抱きたい人はぜひFundsにご応募ください。笑
最後に所感ですが、人事制度の構築は、改めて経営とは"人"であると強く感じたプロセスとなりました。
どれだけ高尚なミッション、ビジョン、経営戦略を掲げたとしても、実際にそれを遂行するのは紛れもなく人であり、その連なりである組織です。
この人事制度の策定にあたって、
我々のミッションを達成するということはつまりどういうことなのか
それを本気で遂行するためにはどのレベルの社員が、何人いるのか
社員に会社として何を期待するのか、何が正義なのか
社員にどのように活躍していただくことがベストか
等、戦略人事という側面からスタートアップを本物化していくプロセスを感じる良い機会となりました。
Fundsはサービス開始してからまだ4年弱と、まだまだ生まれたてのプロダクトです。活躍の機会も、成長余地もまだまだ沢山残っています。
「国民的な資産運用サービス」というビジョンや、「Fintech」というビジネスモデルを聞くと馴染みがない方も多いかと思いますが、その上流概念においては、個人、企業それぞれのお金の不安や問題を解決し、より社会が豊かになる役割を担うという志を持った会社であるということです。
個人的には「社会課題を真っ向から解決したい」と思う、エネルギッシュでビジョナリーな方と、Fundsという環境でご一緒できることを心から切望しておりますので、少しでも興味を持ってくださったらカジュアルにお話しましょう!
読んでくださり、ありがとうございました。
P.S
次回予告:年内から年始にかけて、次はスタートアップファイナンスについて記事を書いて行きたいと思いますので、興味ある方はフォローいただけると嬉しいです!