遙かなる時空の中で7(天青龍:真田幸村)ルートの感想
はじめまして、七瀬です。
本noteは、6/18にSwichソフトが発売されたコーエーテクモゲームス内の乙女ゲームブランドのコンテンツ、『遙かなる時空の中で7』の中の1ルートの感想になります。
本当はTwitterでふせったー内に書くつもりだったのだが、治まらない心のままに書いていたらあまりにも長くなりすぎたし、何かあった時に情報をまとめたいので、このnoteを開設しました。
noteに初めて触れるので、機能の使い方が不慣れで読みにくかったら申し訳ない。いつかちょっと編集するかも。
※本記事は、盛大なるルートの中身のネタバレを含みます。
※一番最後にこのルートを攻略しているので、他ルートと比較したり軽率に他ルートのネタバレをしたりするので、終わってない神子は戻ってほしい。
【天青龍:真田幸村】
あなたが、あなた達の物語が『遙かなる時空の中で7』だ。
いや、もう何言い出してんだって感じなのですが、真田幸村ルートをやってあまりの壮大な物語ぶりに魂が抜けたので、口から出るままに言いますけどそんな気持ち。
いやもう、遙かなる時空の中でシリーズはこれで終わりです!って言われても、「わ、わかりますーー!」って頷いちゃうかもしれないぐらいにふさわしい物語だったように思う。
まさかいないとは思うけど、まだ幸村ルートやってないでここを読み始めちゃった人はいますぐ戻って。
神子危険だ、この先にいってはいけない。さあ戻って。
ましてや買うかどうかの判断だけのためにネタバレを見るなんて、そんなのはダメだ神子。
見る必要なんてない、すぐ買って。後悔はさせない。運命を切り開いて。
という訳で話に戻る。
ほか7人を終えた上で最後にプレイしたから余計にかもしれないですが、たぶん最初にやっても同じ感想だったと思う。
天青龍が、遙かシリーズのメインであることはもう八卦の最初から定められたことなので、そこは前提条件として。
大変にわかりやすく、過去の遙かシリーズの八葉についてまとめていらっしゃる方の記事が下記です。
八葉デザインの「八卦象意」―『遙か』と日本文化の世界①
https://www.homeshika.work/entry/2020/07/13/235627
満を持してやってきたコーエーさんの一番の得意分野である戦国を舞台で、天青龍に据えられた真田幸村という戦国武将のこのルート。
プレイ前の私の気持ちは、真田幸村かーそうかーすごい得意分野をぶちかましてきたなーー。
時代考証と資料に不足はないだろうし、なんかすごい気合入れたルートなんだろーなーハハハ、ぐらいの感じでした。
七瀬さん、無双もBASARAも大河も、うすーーくしか履修してないんで!
戦国時代は専門分野じゃなかったんだよ……。
日本史の授業でやるのに毛が生えた程度の知識なので、歴史的な考証とかその辺からの視点は好きな方にお任せしたい。
そんな私でも知ってる、カッコイイ戦国武将の1人が真田幸村。
私でもそうなんだから、好きな人にとってはなんだってーー!真田!幸村!!どうすんのどうすんの!!っていうお気持ちだったのではと勝手に推察する。
まあとにかく始まる前から期待のハードルが天井までガン積みされているルートですよ。
私にしても、さあさあどこまで期待を満たしてくれるかなー!となんかちょっと挑戦者な感じ。嫌なユーザーかよ。
だから攻略は最後に回したわけですよ。
これ、ネオロマはどんだけハードル積んでも期待以下のものはもってこないだろうという信頼の現れですからね!
あらゆる情報を他ルートで拾ってなお、輝くものを期待したい。
私にとって、天青龍ルートに期待するのはそういうお話で、その期待を遙かシリーズは大半裏切らずにきてくれたので。
でも先にほか7人のルートの作りの上手さに唸って、ラス前であるひとつ前にクリアしたのが五月ルートだったので、七緒=龍神であることも人として呼び戻すという展開も見てしまって、エッ!?てなった。
それはドラマチックに幸村がやるんでは?と思っていたのですよ。
この頃、ちょっと五月と幸村の攻略順間違えたのかな??と不安になってる。
だってあなた、個別章に入る前のフラグイベントで言ったじゃないですか、龍になった大事な相手を迎えにいって人に戻る話。甲賀三郎伝説はどうした!!!!同時にフラグ拾ってるので、わたし知ってるよ!
ネオロマの常套手段、意味ありげに出てきた物語はその後の展開を示しているですよ!
遙か内で物語とか和歌とか詠みだしたら、だいたい復習テストが待っている。
結論をいえば、これ伏線っていうか、ギミックだった。と思う。
後半ですが、上田で神子が龍に変じ人に戻るということを幸村が目撃し、目覚めた神子に、甲賀三郎伝説(※復習テスト)の龍になった三郎がどうして人に戻れたのかの答えを教えてくださいと幸村が問うシーン。
「愛しい人と触れ合うために戻った」「姫のお答えはそうなんですね」って。
ここな! 割とこの会話わたしの萌えポイントだったんですけど! 罠だった!!!!!
いや、伏線でもあるんですけど、ミスリードでもあったと思うんですよ、主に他ルートをやってからここに来た人に対して。だって、そう言われたら人にするEDか……って思うじゃんーーー。
おかげで五月が龍神を人にするEDをやったのを知っていてなお、同じ展開の別バージョンをやる気かな?って、終章に入るまでまだ思っていた。
もうちょっと神の領域に踏み込み気味の正統なパターンでやるのかなって。(五月兄ちゃんが正統でないっていう意味ではないのよ、古式ゆかしい展開だっていうことだよ)
※幸村ルートからプレイされた方は、たぶん素直に 神子ってば龍になっちゃう?それを幸村がどうにかする??と純粋に楽しめていると思う。
同じシーン内に対比はもうひとつあって、目覚めるまでの間、龍神について古文書を読み込んでいる幸村は、人に戻すために死力を尽くしていた五月と行動的には同じことをしているのですよ。
ハイハイ、二重にひっかかったね!ギミックに!
ほかにも色々とご存じの通りに天地の青龍ルートは表裏で、本当にあらゆる意味で対比されていたのじゃ………。
ハードル上げ過ぎちゃったかな……と一抹の不安を過ぎらせながら進めてみたら、最後の最後まで大変なドラマが待っていた。
だって!章が!!ひとつ多い!!!!
いや、大事なのはそこじゃないんですけど、でもなんという特別枠。
いつも終章と出るタイミングで八章と出た時にわたしの驚きたるや(笑)
でもその意味がめちゃくちゃあるルートでした……。
いやーー泣いたよ。今作は泣くことはないんだろうなーって思ってた。
かなり胸が苦しかったルートはあったけれど、泣かずにここまで来たし。
だってここまで来るまでに重要な情報は出揃って、ある程度予想がつくって思ってたからね!
予想がつくとかそういうレベルでこらえられる話じゃなかった。心柱の後から、全然ダメでしたね!
そしてこのルートのすごさは、全ルート中で一番現実の歴史のままに進むっていうことではないかと思う。
これは戦国の歴史において、現代主人公トリップものとして、そして乙女ゲームとして。遙かなる時空の中でという作品の譲れないひとつの強い信念を感じさせてくれたなと、わたしは勝手に思っている。
後でどっか他の感想で記述するかもですが、遙かなる時空の中での世界において、根幹たる大きな歴史の流れはいかなる理由があろうとも改変されないという不文律が存在する。
3と5をプレイしたプレイヤーは、それを身に染みて知っているので、死ぬはずの人が生き残るためには現代EDしかないということを知っている。
(生存伝説や最期があやふやな場合は、生き残る術があることもある)
なので何となく知識がある方は、全ルートにおいて関ケ原で西軍が勝利することはないし、大きくほかの戦の結果も変容しないんだろうなって。
表向きな生死もそのままになることを、薄く覚悟していたと思います。
だから、プレイ前には思っていたはずです。誰か現代EDあるだろうなって。
それが五月以外、現代EDが存在しないというこの潔さ。推せる。
歴史改変ができるほど、世界を変容させることのできるほどの大いなる神の力をもった龍神の神子を降臨させてなお、歴史は変わらない。
龍神の神子は、人の世の政とは無縁の存在である。
本作内で形を変えて何度か言われるのは、それが大事なことであるから。でもね、これ乙女ゲームなんですよ。
恋愛という運命を変えるのに大きな原動力になるファクターを設置してなお、歴史を大きく改変させない。することを許さない圧倒的な歴史修正力。
これほんとすごいなーーって思うんですよ、これが一番出るのは他ルートなので、いつか話せればいいなと思います。
このスタンスは龍神の神子とか神のありように通ずるのかなとも思うんだけど、ちょっと考えというか言葉がまとまらないのでひとまず置きます。
ちょっと話がそれてしまったかな。
全ルート中で幸村ルートが一番現実の歴史のままに進んでるなと私が思ったのは、この遙かなる時空の中で7で、唯一ルート毎で運命が大きく変わる人物を気にしていたからです。
それは、織田秀信。
兼続ルート(6人目)が終わった時に、ルートが終わった面子はさすがにこちらの歴史の流れを調べたのですが、その時に秀信も調べまして。
彼が関ケ原で生き延びるっていうのは間違いがないんですが、剃髪して高野山へ修行に向かい――という幸村ルートでのみ出てきたこれが正史なんですよね。
調べるまでは一番多いパターンだった減封なんかな……と思ってた!
戦の要といわれた岐阜城城主で織田の後継者がそんなわけない。
これは龍神の神子の身内というのが相当に大きかったんですね。
ちなみに、本来迫害を受けて秀信は病を得て亡くなったと伝えられているので、幸村ルートでも生存ルートに乗った秀信は、マジすごくね???と思うんですがどうですか。
運命を超えたのは、実は織田秀信なんでは……??とちょっと思ってる。
大きく運命が変化する彼ですが、本作の中で描かれた彼は、龍神の神子の甥である織田秀信は、戦の後に世を乱すために動くはずはなく今後の大きな歴史の流れには干渉しない存在ということで見逃されたのかな。
ある意味、龍神の恩寵でもあるのかもしれない。
そういうわけで九度山へ向かう途中で、秀信が出てきた時にはほんと驚いたのです。
驚いたのと同時に、ちょっとヤバイ感触もしていた。詳しくないけど、ものすごくこの状況は歴史にそのまま乗ってしまっているのでは??って。
つーか、乙女ゲーなのに敗走させたり落ちのびさせるのほんと厳しいよね!3でもやったけど!!落ち武者狩りの危険もあります、とか攻略対象に言わせないでしょ、SUKI!
ただ、このすぐ後に龍神=神子であることが明らかになって、プレイヤーは自分がどうありたいのかを問われる。
人としての形を失う危機に瀕してなお、龍神の神子として使命を果たすのか否か。
ここから、本作の真田幸村という人の在り様が強く強く光ったなと思います。
その志を受け止め何者からも守り抜きましょう と、幸村は言う。龍神の力を必要とあらばふるうことを決めた神子を受け入れ尊重すると。この先、神子にも五月にも他の人達に対してもそれを貫く。
真田幸村が、神子に対して苦悩の顔や悲しい顔をすることは、この後ほんとうに一度もないのですよ。神子の決断を、彼は本当に正しく尊いものだと思っているから。なにそれ、もーーーすごい。すごい!
※龍神の神子の力を使わないという選択肢の後のBAD EDでも、幸村は幸村であることを選ぶのでここの選択肢はどれもめちゃくちゃ良い。
義の人、真田幸村。
義とは、人としてただしいとされる道をおこなうこと。利欲を捨て、道理にしたがって行動すること。
それは、龍神の神子の精神に強く呼応する。
だから、幸村は誰よりもその気持ちを理解するし、止めない。似た者同士という感想を拝見したのですが、まさしくそう。
ちょっとプレイヤー目線を挟みますが、七緒と幸村としての物語としては、呼応して崇高なる愛へと昇華していくのですが、同時にプレイヤーである私達を、彼がそこまで押し上げてくれる。
遙かなる時空の中の、龍神と大いなるうねる乱世という歴史の中で、自らの役目を自分の意思で最後まで果たす、美しく強い神子という存在に。
龍神の神子という主人公に望まれるカタルシスでもあり、かつてもあったりした構造ではあるのですが、とにかくそのもっていき方が本当によかったと思います。蛇足なのでこれはこの辺で。
幸村ルートの好きなところは、要所要所の八葉の反応もです。
現代で八葉に真実を告白したシーンでの各八葉の反応もめちゃくちゃいいですよね。
いや、すごいシリアスシーンにめっちゃ萌えた!みたいなテンションで言って申し訳ないのですが、それぞれの反応と受け入れ方が、とてもとてもそれらしい。
この大事なところで1人たりともブレた反応をしないところが、この作品の最高に好きなところです。
個人的には、大和の「こっちのせいにすんな!」が好き。
そして兼続との会話は、切なさと燃えが詰まり過ぎていた……。
「姫の心を殺めることに なんの意味があるのでしょう」って微笑んで言えちゃう幸村がいい男すぎる。
この世界での再会の約束は、いつだって儚くて、それでも笑って語る彼らの生き方を想って、それを尊びながら胸が苦しい。
そして、幸村討死の報を受けたそれぞれの言葉。
ハーーーー最高か???? あげていたらキリがないので省いちゃいますけど、なにもかもが最高か???
そして、特別なのはもうひとつ。
このシーンのためだけの曲があるのです。
気づかれた方も、攻略順によっては気づかれてない方もいると思うのですが、真田幸村ルート最後のためだけに使われている曲があります。
地に伏した幸村が、慈雨により龍神の到来を知るシーンから流れ始める美しい曲。それがそうです。
私はEDひとつ終わるとおまけを覗きにいくタイプなので、攻略順の結果、いつまで経っても埋まらないラスト1曲が不思議で。
もうこれはあれか?大団円でしか埋まらないのか??と思いながら進めてました。
でも、この辺もうちょっとめっちゃ泣いてたので、それどころじゃなかった!
泣きながら最後のシーンを見て、これ最後のセリフかな?と思ったところで、ログ開いてもういっかい反芻している時にようやくハッとした。
聞いたことがない曲が流れている……!!
終わってすぐ楽曲集開いて、タイトル見て転がりましたね……。
くそ、コーエーさん、SUKI………!!!!
今回、龍神=神子という初めての構図だったので、ルートにのまれている間は気付かなかったのですが、これは神であるがゆえに絶対にあるエンディングだったんですよね。だから、天青龍のルートのエンディングはそうなる。
アンジェでいうところの女王聖地エンディングです。
そりゃあ神様なんだから当然そのルートはあって然るべきなんですよ……。固定観念がめちゃくちゃ邪魔してた……(大の字)
なんか語りすぎて、何を書いて何を書いてないのかわからなくなってきてしまった(笑)
ありとあらゆる本作の大事なものを章内に散りばめて回収して、織り上げてくれた渾身のルートだった。少なくとも私は最高に震えた。
ちょっと面白がっていたり、さあさあコーエーさんの本気を見せてくれ!とか色々余計なことを思っていた精神を地の果てまで蹴っ飛ばして浄化してくれたよ……。
クリアして1日経ったけど、魂が抜けすぎてどうにもできずに感想を綴るなんて本当にいったいいつ振りか。
最高だったー!
これだから、ネオロマンサーやめらんないなー!!