ショートショート_身捌き
ラムネの音。瓶の中の、ビー玉の音。それは、夏の音だと私は思うのである。
ラムネを飲むときは、そのビー玉が穴を塞がないように少し斜めに傾けながら飲む。つまり、一気には飲み干せない。
この煩わしさがラムネの醍醐味でもあり、味でもある。
ラムネの音、というよりもあの香り。夏の空に溶け込むようなあの甘いお借りが、遠い昔の、少年の頃の思い出を呼び起こす。
たまには暑い日に、冷たいラムネを飲んでみようかなんて、ふと、思った。
そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「ラムネの音」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題【一方通行風呂】で。そして、裏のお題が【発砲通報プロ】
|д゚)チラッ、ということだ。
また、山根あきらさんの、青ブラ文学部のお題は、少し前から出る。
今回は、「雨の七夕」🎋というお題で、記事を投稿してみませんか?、ということで。「雨の七夕」🎋という言葉を、記事のタイトルまたは本文中に用いてください。と、なっている。
お3人の企画はすべて、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。
また、今回は、たつきちさんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を、シロクマ感想文として述べてみる。
とても不思議だが、なんだか淡々としていて、懐かしいような感覚もある作品だと思った。
ソノコ。どうなったのだろうか。とても気になる。
でも。
やっぱり、ソノコが言った、「ラムネの音」という言葉。それが何を意味していたのだろう。そこが一番、気になる。
夏というのは、いろんな思い出のある季節だ。セミが鳴いていて、暑くて、アイスクリームが美味しくて。
ラムネを飲んだのは、私も、いつのことだったか。ふと、思い出したくなり。駄菓子屋に出かけていって、飲みたくなった。
ソノコ。いや、西薗華乃子さん。無事に救出されていて。そして、幸せだったら良いのになぁ、なんて、思った。
なんだか、窓から臨む遠くの空に、入道雲が浮いている風景が、見えるような気がしたのだ。
今日はあいにくの雨。生きていることに感謝して。今宵も、見えぬ月に祈ろう。
心の中の、リトルkojuroが、またもやボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のテーマ、さらには石元みとんさんの企画、4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。
うむ。
これで、荒技。何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、悪ガキだな。
まあな。
そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。
家族からのお題は、バックアップで書いたの?
うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。
私は、この荒技シリーズを、ハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、図らずも、また,珍妙なだけの内容になってしまった感じだ。
なんのはなしです何。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「身捌き」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
ラムネの音が、カランとした。
涼は瓶を回収箱に置き、リュックを背負った。
雨の七夕で。今宵は彦星と織姫は会えそうにない。
番台の老婦人が見ている。
湯船には男がひとり寛いでいる。
体重計に乗った男が目配せをした。
と、瞬時にその3人の銃口が火を噴いた。
涼は軽やかに身を翻して窓の外に飛び出て。一瞥も振り返らずに路地裏を全速力で駆け出した。
外の工作員は銃撃戦が失敗に終わったことを周囲に共有した。
上空のドローンが数機、涼を追尾する。
涼は、銭湯に拘束弾を投げ込み、ドローンを無力化するための妨害電波弾を炸裂させた。
程なく、静かになり。
翻り反撃に出た涼が、武装化した工作員を順に仕留めていく。
ひとり。
またひとり。
ものの3分で制圧され。秘密警察の車両が現場に臨場してきた。
涼への襲撃は久しぶりだったが、彼の身捌きは誰にも止められないくらいのスピードと強さで進化していた。
現場検証のあと、静まり返った銭湯で、ラムネのビー玉が、カランと鳴った。
☆ ☆ ☆