完熟
我が家に届いたのである。またもや、女王陛下の人脈の御加護で、美味しい果物が。
今回は、完熟マンゴーである。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
まるで打ち出の小槌でも持っているかのようだな。
まさに、家内への贈り物は、ちょっと常軌を逸していると言っても過言ではない。
確かに、プロジェクトに参画してから、土日もなく、深夜も関係なく持ち帰り仕事をやっている。
休めるときはまとめて休むが、やるときは、昼夜分かたずにやる。
実に、ブラッキー(注1)だ。
家内は、そうと知りつつ、自ら手を上げたのだから、ちょっと理解に苦しむ。
だが。
いろいろと愚痴を言いつつ楽しんでやっている。
家内は、果物は食べないのである。我が家で果物好きは、私と次女くらいで。長男や長女も、好んで食べるわけではなく、当の家内は、果物にはほぼ手をつけない。
今回も、独り占めだろうかと余裕をもっていたら、然に|非(あら)ず。翌日帰宅したら、配給品が机上に置かれていた。
私の心の声が聞こえるわけもないが、家内は、人の心情を読み取る天才的な能力を産まれながらにして持っている。
しまった!と思いつつ恐る恐るソファーをみると、家内が脚を指さして、静かに笑って言った。
コジくん、配給があって良かったね。ふふふ、ふふ。わかってるわね?
なんのはなしです果っ!
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)ブラッキーとは、ブラックな、という意味である。昔からそういう部署を渡り歩いてきた私に対して、家内が称した形容詞だが。今や、家内がブラッキーに染まりきっている。