ショートショート_告白
リンゴ箱は、ミカン箱よりも見る機会は少ないように思う。しかも、箱は箱でも、段ボールではなくて木の箱ならなおさらだ。リンゴは赤いと私は思っていたが、あの赤は、農家の人たちのたゆまぬ努力でつけられている赤なのだと、最近、知った。
小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「リンゴ箱」から始まる、小説、詩歌、エッセイということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が「忍者ラブレター」で。裏のお題が「信者ブラスバンド」ということだ。
お2人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。励みになる。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のテーマ、3ついっぺんに書く荒技。ちょっとやりすぎじゃないかな。
うむ。
これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
今週も、シロクマ文芸部、いろいろな作品が投稿されている。その中で、今日は漆さんの作品を読んでみた。
私は、一時、ゲームばかりしていたときがあった。読んでみて、そのときのことを思い出した。私がゲームにハマっていたのは、主人公の男の子のような幼い時期ではなくて。もう、大人の時期だった。ステージをクリアするのは、なかなか痛快だ。だが、それだけのことと言えば言えなくもない。でも、思った。男の子が、今度こそ、ラスボスを倒せるように、と。
日常の、ともすれば見逃してしまうような機微を文章にできる才能。なんだか微笑ましく、清々しく、羨ましく思う。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
シロクマ感想文まで含めると、4つの荒技か。これ。
そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
家族からのお題は、バックアップで書いたの?
うむ。少しずつね。
でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「告白」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
リンゴ箱の上に乗り、義明は部員達にシュプレヒコールを促した。
絶対に勝つ!1部に昇格だ!
3週間前からこれだ。熱血漢だけはある。
ほぼ同時期。泉はゼミルームで不審な人影を見かけたのだ。それは、抜き足差し足で侵入し。ロッカーに何かを差し込んだ。
その後の瞳の様子から、すべてを覚った。
試合当日。勝利を信じて応援団総部は総出で応援し。有志で内野席は満員。ブラスバンドも精魂込めて演奏した。
0-1の9回表。最後の打席は義明で。瞳はひとり、クラリネットを両手で握りしめ、目を瞑り……。
だが。
渾身の一振りは、空を切った。
泣き崩れるナイン。そして瞳も顔を覆ったまま、立てない。
それでもなんだか、青い夕空が、笑っているように見えた。
翌日。ゼミで再会した泉は、残念だったねと声をかけると、瞳は静かに頷き。それでも良かったのよと、こたえた。
手紙には、結果の如何に関わらず俺は瞳を幸せにすると書いてあったという。
さすがの熱血漢だと、ふたりで笑った。
☆ ☆ ☆
■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。