
アップルID
どうしてこんなことになったのか、記憶が定かではないのである。
実は、我が家はiPhoneを使っており、次女と私のアップルIDが、同じなのだ。
次女の携帯を買ったとき、次女用のアップルIDをつくるのが面倒だと思ったのか、それとも、まだ次女が幼かったから、別にする意味も無いと思ってしまったのかはわからないのだが、同じアップルIDにしてしまったのである。
そして今、大変にややこしいことになってしまっている。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
全ての諸悪の根源は、コジだということは間違いない事実だな。
私は、iPhoneとiPadを両方持っていて。本来ならば、写真などの共有は非常に便利にサクサク行くところなのだが、iCloudを使うと次女とも共有してしまうので、わざわざGoogleDrive、あるいはGooglePhoto経由で同期している。
心の中のリトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
Appleユーザーが、わざわざGoogleを使わねばならないとは、身から出た錆だな。
そして。意を決して、アップルIDを変えるべく、アプリも何もかも、通常の移行をせずに新たなアップルIDでひとつひとつインストールし直して設定するという煩雑な作業を、何ヶ月もかけてやっていったのである。
そんなあるとき、次女から、試合や練習の動画分析をしたりするためにpadが必要だと連絡があり。即座に必要だというので、あまり使っていなかったひとつ型の古いストレージの小さいiPadを譲ったのである。何の気なしに。
すると一週間も経たずに、次女からクレームが来た。
コジの写真やメモが同期されてくるのが、メンドイ。
……。
しまった。あのiPadは、新しいアップルIDだった……。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
もはやこれまで。
AppleIDの移行計画は、暗礁に乗り上げた。
そんなこんなを語らおうとしてソファーを振り向くと、家内が足を指さして笑って言った。
コジくん、ケーシー(注1)に、よく言われてたんでしょ?あのさぁ、ガリョー天才が痒いとかって。笑
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
それを言うなら、画竜点睛を欠く、だ。
なにはともあれ、今宵も、ミッション発動だ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)父は生前、特に、孫ができてから、孫からあるいは、私や兄、義姉、家内を含め、家族から、「ケーシー」というあだ名で呼ばれていた。